「世の中に恩返しを」 日本発の国際的支援団体へ遺贈寄付する思い
国際的な支援活動は様々ですが、日本で始まった活動もあります。その中から歴史のある2団体を紹介します。
国際的な支援活動は様々ですが、日本で始まった活動もあります。その中から歴史のある2団体を紹介します。
認定NPO法人「シャプラニール=市民による海外協力の会」(東京都新宿区)は1972年に活動を始めた、日本における国際支援の草分け的団体の一つです。バングラデシュとネパールで児童労働削減に向けた取り組みや、教育支援、サイクロン・洪水防災事業、フェアトレードを通じた自立支援などを行っています。活動資金の約45%が寄付で支えられています。
遺贈寄付は年に1~2件と多くはありませんが、歴史のある団体らしく、活動を長年支えてくれた会員や寄付者とその家族から寄せられることが多いそうです。使途の指定がない場合は活動全般に活かしますが、これまでは「子どもたちのために使ってほしい」という声が多く、その場合は「子どもの夢基金」に充当しています。家事使用人として働く少女が勉強したり、遊んだりして子どもらしい時間を過ごすことができる支援センターなどに活用しています。
遺贈の意思によって、新たに活動分野を広げたこともありました。2010年に数千万円を遺贈してくれた男性は「バングラデシュ先住民のために」と要望していましたが、当時、シャプラニールは先住民に特化した活動をしていませんでした。そこで、他の団体と連携しながら活動を模索し、2012年に先住民族の子どもたち多数派民族と同じように教育が受けられるようにするための「みんなの学校プロジェクト」を始め、現在も活動を継続しています。このプロジェクトでは、教育支援と同時に、先住民の独自の文化や言語に誇りをもって受け継ぐことができるような働きかけをすることにも力を入れています。これまでに1万人以上の人々が支援を受けています。
認定NPO法人難民を助ける会(AAR Japan/東京都品川区)は1979年に創設された日本生まれの国際NGOです。アジアやアフリカを中心とする難民への人道支援のほか、地雷や不発弾の除去などに取り組んできました。東日本大震災や西日本豪雨など国内の被災者支援にも携わり、現在は新型コロナウイルス対策支援を国内外で実施しています。
遺贈の事例として、自身の死後、自宅の売却代金と預貯金の全額を同会にと遺言して亡くなった80代女性がいました。生前は新聞を毎日欠かさず読み、ニュースに関心を持っていました。子どものいなかった女性は「世界の子どもたちのために、少しでも遺産を役立てて」と友人を通して会に伝えていました。経済的に不自由なく暮らしていたので「世の中に恩返しを」という気持ちもあったといいます。遺産は難民の子どもへの支援に使われました。
両親からの相続財産の一部をシリア難民のために使ってと同会に寄付した60代男性もいました。社会問題に関心の高かった両親の思いを大切にしたかったといいます。「寄付の領収書を仏壇に備えて報告しました。両親も満足してくれていると思います」と男性は語っていたそうです。
2020年に、遺贈に関する知識や会の活動をまとめた遺贈寄付パンフレットをリニューアルするなど、同会ではこれまで以上に「まずは活動を広く知ってもらう」ことに力を入れています。「コロナ禍で、一人では生きられないと、支え合いに注目する人が増えたと感じます。寄付への関心の一環として遺贈寄付への関心も高まれば」と東京事務局広報・渉外担当の中坪央暁さんは話します。
寄付を受け入れている社会貢献団体の資料を一括お取り寄せ!
遺贈による寄付の始め方や遺言書の作成例、各団体の寄付の使い道など、失敗しない遺贈寄付の仕方がわかる、国や自治体が認めた社会貢献団体のパンフレットを無料でお届けします。
(記事は2021年1月1日時点の情報に基づいています)