遺贈者の望んでいることは何でも実現してあげたい

いま多くの団体では、みなし譲渡課税などがあるために不動産の遺贈寄付に難色を示しますし、包括遺贈も債務などのリスクが高いとして受け入れないことがあります。そんな中、不動産も包括遺贈も受け入れると、パンフレットにも明記しているのが、公益財団法人「プラン・インターナショナル・ジャパン」(以下、プラン/東京都世田谷区)です。

「遺贈者の望んでいることは何でも実現してあげたい。大切な財産をいただく立場ですし、苦労を厭わず努力するのは当然だと思うのです」と遺贈寄付の担当者は明言します。

プランは、スペインで英国人ジャーナリストが戦災孤児を保護することから始まり、世界70カ国以上の子どもたちを支援する国際的なNGOです。日本では1983年に活動が始まり、途上国の子どもを支援しながら成長を見守る「フォスター・ペアレンツ」の募集などをしてきました。現在は特に女の子を様々なリスクから守り、生きる力を高められることを目指すプロジェクトに力を入れています。コロナ対策緊急支援の一環として、国内の女の子向けのチャット相談も実施しました。日本では約6万人の支援者がいます。

遺贈寄付は2019年度に約1600万円、20年度は約3億6900万円といったように、当然ながら波はありますが、最近は毎年のように数千万円が寄せられています。半分以上が長年の支援者やその家族からだそうです。

遺贈寄付によって完成した井戸(公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン提供)
遺贈寄付によって完成した井戸(公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン提供)

娘の命が希望の水に

20年6月に清算を終えた包括遺贈は、長年のサポーターだった女性からでした。現金や有価証券以外に古い家屋がありました。家屋は遺産分割協議が終わっていなかったため、女性の父親名義のままで土地は借地。関係者の同意を取り付けて更地にして地主に返還するなど、手続きは大変だったといいますし、費用も100万円以上かかりました。それでも、いただく財産と諸費用のプラスマイナスが1円でもプラスになるのであれば、遺贈者の「思い」を尊重しようというのが法人としての意思でした。

使途もできるだけ希望する形に添いたいと、オーダーメイドのプロジェクトにも力を入れています。34歳で亡くなった娘さんの退職金を寄付してカンボジアの7つの村に井戸を掘った母親がいました。生前は貧困問題に関心を持ち、「カンボジアの人のためにできることはないだろうか」と話していた娘さんの思いを活かしたいと、プランに相談しました。当初は学校建設を希望しましたが、予算が合わず井戸の設置をプラン側が提案して実現しました。

当初、母親は自分の自己満足ではないかと思ったそうですが、地元の人たちの喜びの言葉を読んで、どれだけきれいな水を待ち望んでいたかがわかり胸をなでおろしたといいます。母親は「娘の命が、たくさんの人たちの希望の水になりました。同時に私たち家族も生きる希望をいただいたと、感謝しています」とプランの会報誌に寄せています。

プランでは「徹底した情報開示」を掲げており、詳細な会計報告書、活動報告書などを公開しています。団体への信頼があってこその寄付だと考えているからです。特に遺贈寄付は人生最後の社会貢献だけに、こうした姿勢が多くの団体にも共有されることを筆者は願っています。

(記事は2021年2月1日時点の情報に基づいています)