12月は「寄付月間」 コロナ禍で寄付の傾向にも変化
12月は「寄付月間」です。「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に、1日~31日までの1ヵ月間を中心に、寄付に関係する様々なキャンペーン行事が開催されます。2020年は、コロナ禍で寄付の傾向にも変化がみられるようです。遺贈寄付の“土壌”でもある寄付の現状と、寄付月間について紹介します。
12月は「寄付月間」です。「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に、1日~31日までの1ヵ月間を中心に、寄付に関係する様々なキャンペーン行事が開催されます。2020年は、コロナ禍で寄付の傾向にも変化がみられるようです。遺贈寄付の“土壌”でもある寄付の現状と、寄付月間について紹介します。
寄付月間は、歳末助け合いやクリスマスなど、人を思いやることの多い12月にあわせ、寄付にもっと関心を寄せてもらおうと2015年から始まりました。NPOや大学、企業など最初は120団体、23の公認企画で始まりましたが、年々規模が大きくなり、2020年は679団体が「寄付月間推進委員会」(小宮山宏委員長)に参画し、162の公認企画が予定されています。コロナの影響を受け、オンライン企画が約半数と目立ちます。
2015年から企画に関わり、寄付の動向を見続けてきた日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆さんは、「コロナ禍で選択的寄付が広がりました」と、寄付の傾向に変化があったと言います。
特徴的なのは、対象分野が広がった点です。日本の「寄付元年」と呼ばれる多額の寄付があった東日本大震災の2011年は、被災地支援など震災に関係する分野への寄付が中心でした。
2020年は、コロナ禍で影響を受けた社会的弱者や、医療や介護などのエッセンシャルワーカー、休業を余儀なくされた店舗などを支援するといった、これまでにない支援の流れが生まれたといいます。様々な分野が対象となり、自分で寄付対象を選択する動きが広がった、それが「選択的寄付」です。
中心になったのは、インターネットでテーマを決めて寄付を募るクラウドファンディングと若者です。
クラウドファンディング最大手「READYFOR」のキュレーター事業部マネージャー、小谷なみさんによると、READYFORでコロナ関連寄付を募ったプロジェクトの平均寄付単価は一人あたり16120円で、前年までの平均約1万円を上回っています。マスクや医療物資の支援、ひとり親家庭支援などに充てることを目的にした「拡大防止活動資金」には4月~7月の90日間で、2万人を超える人から約7億3千万円が寄せられました。日本のクラウドファンディング史上最高額です。そのほかにも5件のプロジェクトが1億円を超える寄付を集めました。
このうち1件は、家や仕事を失った人たちに支援付き住宅を提供しようというプロジェクトでした。従来、多額の寄付を集めるのがなかなか難しかった貧困支援分野で、これだけの支援が寄せられたのです。対象分野の広がりが感じられる一例でした。
「特別定額給付金の10万円を使って支援したいと考えた人が多かったこと。震災のボランティアのように自分で動くわけにもいかないコロナ禍で、困っている人をせめてお金で支援したいと考える人が多かったことが、クラウドファンディングでの支援が増えた背景だと思います」と小谷さんは分析します。
給付金の使い道に関する意識調査では、年代別で20代が最も寄付に前向きで、給付金以外の寄付でも20代が実際に最も寄付の回数が多いという結果がありました。
若者が積極的に支援に回る傾向がみられたのです。これまでは、年齢があがるほど寄付する傾向が強まっていたので、世代を超えた広がりも今年の特徴です。
2011年が寄付元年の「ホップイヤー」だとすれば、2020年はクラウドファンディングの広がりで、対象も支援者も広がりを見せる「ステップイヤー」になっているように思います。実は、遺贈寄付に関しても、2020年は多くの団体から「問い合わせが増えている」という声が聞かれます。
生前に寄付をしたことがない人がいきなり遺贈するのは難しいでしょうし、相続財産寄付にしても寄付というものがあることを前提にしなければ思いつきにくいでしょう。だから寄付の広がりは、遺贈寄付への関心を高めると考えられています。2020年の寄付の広がりが遺贈寄付への関心を高めているのは間違いないと思います。さらに、コロナ禍で死が身近に感じられたこと、生活困窮など困っている人たちの存在が浮き彫りになったことも背景ではないでしょうか。自身の死を思い、遺産は社会のためにと考える。そんな人が増えているのかもしれません。
そんな2020年の寄付月間公認企画からいくつか紹介します。オンライン企画が多いのは、やはりこの年の特色でしょう。より詳しくはHPをご覧ください。
12 月中、ランニング時に寄付月間Tシャツを着用し、SNS にアップすることで寄付月間をPRするなどの参加方法もあるようです。一年の最後に、寄付について考える時間をもってみてはいかがでしょう。
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(記事は2020年12月1日時点の情報に基づいています)