調査したのは、司法書士など相続の実務家でつくる「一般社団法人日本承継寄付協会」(三浦美樹代表)です。今年8月、50代~70代の男女1千人を対象にインターネットでアンケートしました。
アンケートでは、遺贈寄付について「亡くなったときに残った財産の一部(少額も可)または全部を遺言等によって、社会課題の解決のために使ってもらうよう非営利活動法人などに寄付をすることを言います。人生で使わずに残った財産を自分がやりたかったことを自分らしく未来に届けることができ、お金の心配をしないで社会貢献や自分のかなえたかったことに使えます」と説明しています。

遺贈寄付を「考えたことがある」は2割超

その上で、遺贈寄付を「考えたことがある」人の割合は、「具体的に考えたことがある」(3.0%)と「なんとなく考えたことがある」(19.9%)を合わせて22.9%でした。これまでも日本財団など受遺団体側が実施した調査がありますが、そうした結果ともほぼ合致するので、「2割の人が遺贈寄付に関心」が日本の現状のようです。
では、実際にどれくらいの人たちが遺贈寄付への行動を起こしているのでしょう? 「遺言作成による遺贈」と「遺言以外の信託などの方法」の2通りで状況をたずねたところ、いずれも「すでに実践している」は約1%にとどまりました。遺贈寄付の現状の一端が垣間見えます。「まだまだこれから」の状況ですが、関心がある人の割合とのギャップを考えれば、伸びていく余地がたっぷりあるともいえます。
後述するように、関心を抱きながらも、あと一歩を踏み出せない背景には、「老後の不安」や情報不足があるのでしょう。さらなる浸透を考えると、遺贈寄付する財産は、あくまで最後に残ったものが対象で、金額を指定する必要はなく額の多寡も問題にならない点など、正確な情報提供が必要だと改めて感じます。
「考えたことがある」人にその理由も聴きました。「何かしら社会貢献をしたいと思っているから」が57.6%と最も多く、「特定の支援したい団体などがあるから」(17.0%)、「相続すべき人がいないから」(14.0%)と続きます。やはり「社会のために」という思いが根底にあるようです。
遺贈寄付する場合、寄付したい金額を聴く設問もありました。もっとも多かったのは、「寄付したくない」(53.0%)でした。次いで「1万円未満」(10.5%)、「100万円以上」(9.2%)と続きました。「1万円未満」と回答した人が多かったのはおそらく、遺贈寄付を通常の寄付と同じように考えて答えた人が多かったのではないでしょうか。
一方、遺贈寄付を考えたことがない人にその理由をたずねたところ、最も多かったのは、「今後の生活費や医療費が不安だから」で、45.3%に上りました。その後は、「相続時に残る財産が無いから」(35.3%)、「家族や親族に全て相続したいから」(34.2%)、「寄付はお金持ちがするイメージがあるから」(25.7%)という順になりました。遺贈寄付が実行されるのは亡くなった後です。このため、「今後の不安」が一番のネックになっているのはちょっと意外ですが、老後の生活不安がそれだけ大きく、死後のことにまで気がまわらないのだと考えられます。

重要なのは「寄付する団体の信頼性」

遺贈寄付に関する不安点

遺贈寄付を考える際の不安点もたずねたところ「寄付する団体の信頼性」(32.2%)、「遺贈に関する知識不足」(30.6%)、「寄付する相手を選定すること」(22.9%)などと続いています。今後、遺贈寄付を広めるには、相談機関の充実や情報提供が大切だと考えます。
実際、今回の遺贈寄付ウィークは、多くの方に遺贈寄付への関心を持っていただくための大きなきっかけになったと感じています。このアンケートを実施した日本承継寄付協会のように、司法書士ら相続の専門家の間でも遺贈寄付への関心が高まり始めており、遺贈寄付をするための第一歩ともいえる相談窓口が広がっていきそうです。
次回は、遺贈すると決めて遺言を作成した女性の思いを取り上げます。

(記事は2020年10月1日時点の情報に基づいています)