目次

  1. 1. 死因贈与の概要
    1. 1-1. 死因贈与とは
    2. 1-2. 負担付き死因贈与とは
    3. 1-3. 死因贈与と遺贈の違い
    4. 1-4. 死因贈与を活用すべき場面
  2. 2. 相続税と遺留分への影響
    1. 2-1. 死因贈与に相続税がかかるか
    2. 2-2. 死因贈与は遺留分侵害額請求の対象か
  3. 3. 不動産の死因贈与を受けた場合の登記手続
  4. 4. まとめ 死因贈与を活用する場合の注意点

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死因贈与と遺贈は利用される場面が似ていますが、いくつか違いがあります。

死因贈与とは、贈与する側の死亡を条件として、相手に特定の財産を贈与する旨の契約です。したがって、贈与する側と贈与を受ける側との合意の上で行われます。贈与契約は、口約束でも成立しますので、契約書を作成していないからといって死因贈与が成立しないわけではありません。

とはいえ、財産を譲り渡すことは重大な意思表示であるため、口約束の場合、亡くなった人の真意と認められないリスクがあります。また、そもそも口約束だと、死後に死因贈与の約束をしたことの証明が困難になるでしょう。

このため、死因贈与をする際には贈与契約書を作成するべきです。また、後からトラブルが起きないよう、公正証書の形式とすることがおすすめです。

例えば、不動産の死因贈与では、生前に始期付所有権移転仮登記を行うことができます。公正証書でこれを定めた場合には、贈与を受ける側が単独で仮登記申請ができるようになります。

死因贈与には負担付き贈与があります。例えば、生活の面倒を見てもらうかわりに贈与をするといったようなものです。普段から面倒を見ている相手から財産の贈与を提案された場合には、負担付き贈与にしたほうが実態に合うでしょう。

負担付き贈与の場合、贈与を受ける側が決められた負担を履行した後は、原則として贈与契約の撤回ができないなど、贈与を受ける側を保護する効果もあります。

死因贈与と遺贈との違いは次のような点にあります。

死因贈与で財産につく2

死因贈与を遺贈と比較すると、贈与を受ける側の保護が手厚いという特徴があります。例えば、負担付き贈与とすることで日頃の貢献が評価され、撤回も制限されます。また、生前に仮登記ができることも、贈与を受ける人にとってメリットとなるでしょう。

ここからは、死因贈与を行う場合に、相続税や遺留分への影響があるかについて見ていきます。

死因贈与により財産を取得した場合は、贈与税ではなく相続税の課税対象となります。相続税の申告は法定相続人が行いますので、その際に死因贈与についても一緒に申告を行ってください。死因贈与を受けた人が法定相続人でない場合には、法定相続人に申告をしてもらうよう依頼する必要があります。

遺留分を侵害されたと主張する人からの遺留分侵害額請求は、死因贈与も対象となります。ただし、順序としては遺贈が優先であるため、まずは遺贈を受けた人が遺留分侵害額を支払い、不足する場合にのみ死因贈与を受けた人が負担を負います。

不動産の死因贈与を受けた場合には、公正証書を作成することで生前に始期付所有権移転仮登記をすることができるのは先に述べた通りです。

贈与者が亡くなってから不動産の所有権移転登記を行うためには、相続人全員と死因贈与を受けた者が共同で申請を行う必要があります。ただし、贈与契約を公正証書としておき、その中で贈与を受けた者を遺言執行者と指定しておけば、贈与を受けた者が単独で所有権移転登記をすることができます。

登記申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に対して、死因贈与契約書、不動産の登記識別情報、遺言執行者の印鑑証明書、固定資産評価額証明書、贈与を受けた者の住民票などを提出して行います。

なお、所有権移転登記をする際には、登録免許税や不動産取得税が必要です。これらの税率は、遺贈より死因贈与のほうが高くなることがあるため、こちらも確認しておきましょう。

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死因贈与の対象が不動産である場合には、公正証書を作成して、死因贈与を受ける者を遺言執行者に指定しておいたほうが良いといえます。また、負担付き贈与とした場合には、贈与契約の撤回が難しくなる点も知っておくと良いでしょう。

死因贈与の活用にあたっては、公正証書の作成や仮登記申請など複雑な手続きが必要となりますので、相続に強い弁護士へ早めに相談しておくと安心です。

(記事は2020年10月1日時点の情報に基づいています)

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