目次

  1. 1. 葬儀の手配から相続は始まっている?
  2. 2. 葬儀でトラブルになりやすいポイント
  3. 3. PCに入った親の写真を確認したい
  4. 4. 連絡先を知るにも欠かせないスマホへのアクセス
  5. 5. デジタル終活をきっかけに

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こんにちは、終活弁護士の伊勢田篤史です。
前回は、相続で揉めやすい家庭と相続で揉めにくい家庭のお話をしました。内容を覚えていない、忘れてしまった!という方は、「あなたの家族は相続でもめる?もめない?子どもの数、不動産の有無で診断」をご覧ください。

さて、今回は、揉めないための相続対策として、子が考えるべき、親のデジタル終活についてお話したいと思います。なお、「デジタル終活」については、コラム第1回「今日から始める終活!年賀状より大事なのは…PCスマホのパスワード共有」で述べましたとおり、親の死後、親のパソコンやスマホをどのように処理するかを考えることをいいます。
 親が亡くなった場合、他の兄弟といきなり相続の話になることは少ないでしょう。多くの場合、葬儀の手配とともに諸々の事務手続に関する話し合いがなされます。

しかし、相続は、葬儀の手配等の延長線上にあります。葬儀の手配等で、兄弟間で揉めると、相続まで尾を引くことになります。つまり、相続の話をする前から、揉める火種を抱えてしまう可能性があります。
そこで、出だしからつまずくことがないよう、葬儀や事務手続等の前段階でいかに注意すべきかをお話しします。

葬儀について、子の立場から、親に対して「どのように葬儀をやってほしいか」などと聞くのは、なかなか難しいものです。もし何も対策をしていなかった場合、葬儀を執り行う上で、遺族はどんなところが困るかというと、
 1.遺影の選定
 2.関係者への連絡
が実際に困ったポイントとして挙げられているようです。
この2つについて、親にあまり「葬儀」を意識させずに、確認することが可能な方法があります。それが、「デジタル終活」です。

まず、遺影については、最近ではプリントアウト(現像)せずにデータで持っていることが多いものと思います。そのため、最近の写真は、パソコンやスマホに保存されているケースが多いのではないでしょうか。仮に、事前のデジタル終活としてパソコンやスマホのログインパスワードを共有しておけば、多くの写真の中から選ぶことが可能となります。なお、もし可能であれば、「最近撮った写真の中で、お気に入りはどれか」と確認してみるのもよいでしょう。

次に、連絡先については、スマホの電話帳が役立ちます。手書きの電話帳を使っている方であればよいのですが、最近では多くの方が携帯やスマホの電話帳を利用しているのではないでしょうか。スマホのログインパスワードをしっかりと押さえておくことで、電話帳へのアクセスを可能にしておきましょう。なお、もし可能であれば、親の交流関係について確認してみるのもよいでしょう。
実は、親のスマホのパスワードが分からなかったために、遺影にいい写真を使用できず、また連絡すべき人に連絡ができなかったというトラブルが現在多く発生しているようです。あらかじめ、しっかりとした対策をしたいものですね。

デジタル終活では、あくまでパソコンやスマホのログインパスワードを共有するだけで、葬儀等に関する具体的な内容について聞きだすわけではありません。
しかし、パソコンやスマホ内へのアクセスができれば、いざというときに、色々な情報へアクセスすることができ、対応できる幅も広がります。
相続問題については、感情的な対立が多いため、相続問題の話し合いに至る段階までに、少しでも感情的な対立を生まないよう自然なやりとりや会話のもとに進めていきたいですね。 

次回も、すぐにできる相続対策についてお話したいと思います。

(記事は2020年1月1日時点の情報に基づいています)

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