前々回の第2回コラムでは、親の老後と相続への備えとして、親が元気なうちに、相続の「前」と「後」について親と支え手となる家族を交えて、将来に備える話し合いの場を設ける。つまり「家族会議」を開くことがもっとも大切だとお話しました。

今回は、「家族会議」について、もう少し詳しくお話しします。

「会議」は親から呼びかけを

老後と相続に備えるべきなのは、70~80代の親世代が想定できます。しかし、支え手となる子世代は、40~50代の働き盛りです。家族が一堂に会する機会は、お彼岸、お盆(夏休み)、ゴールデンウィーク、年末年始でないと、なかなか持てないケースも多いです。

そんな中、敢えて「家族会議」を開くための日程調整をすることは、家族にある程度の負担を強いることになります。しかし、親が元気なうちに、親の今後の生活を子世代がどのように支えるかを話し合う機会は、非常に重要です。この過程を経ないで親が認知症や大病を患ってしまうと、それ以上の負担や困りごとが家族に降りかかる可能性は高くなります。

「家族会議」の構成メンバーは、可能な限り老親とそれを支える子全員が望ましいでしょう。家族構成や親族の関係性によっては、子の配偶者(義息子・義娘)や孫世代を交えて話し合うケースもあります。もちろん、地方や海外に居住・転勤している子世代もいますので、全員が一堂に会することができない家族もいます。

しかし大切なことは、できれば親から家族に対して等しく声を掛け、家族会議への参加を促すことです。参加できない家族には、携帯電話を使った電話会議をしたり、後日メールで議事録を添付して情報共有に努めたりして頂くとよいでしょう。

家族の関係性が破綻していて、一部の子に連絡をすることができない、声を掛けるべきではない家族もいますので、そのようなケースの対処法については、また別の機会にご紹介します。

話し合いには専門家が同席すべき

もう一つ大切なことは、話し合いの場に、老後と相続の備えに精通した専門家を同席させることです。いくら家族で真剣に議論を重ねても、素人同士では、対策の方向性が間違っていたり、生じた疑問・質問についてその場で解決できずにモヤモヤしたりしたまま議論が中途半端になりかねません。場合によっては、客観的な立場の人間がいないことで、感情論に走り会議が紛糾するリスクも生じます。家族内の特定の人物の代理人・サポート役ではなく、家族全員の相談役・アドバイザーとして専門家を同席させる意義は大きいです。

「家族会議」がスムーズに進行できるように、また参加した家族が自由に発言できるように、専門家が議事進行役を務めることが理想と言えます。

今回は家族会議の設定の仕方を中心に読み解きました。
次回は、実際に家族会議で話し合うべき内容や実例を紹介したいと思っています。
よろしくお願いします。

(記事は2019年11月1日時点の情報に基づいています)