目次

  1. 1. 指紋認証や顔認証つきのスマホも必ず使える鍵が残る
  2. 2. 持ち主が使っていそうなパスワード等を探すのが常道
  3. 3. 当てずっぽうで何度も入力するとデータが消えてしまう場合も
  4. 4. デジタル遺品サポートサービスに頼む手も

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故人がスマートフォン(スマホ)やインターネット上に残したデータをどのように残したり、処分したりするべきか分からないと不安に思う人は少なくありません。約10年前からデジタル遺品問題を取材してきたライターの古田雄介さんが読者の皆様の相談・質問に答え、不安解決につなげます。

第1回は編集部スタッフからの質問です。

質問:「父が亡くなったとき、スマホにロックがかかっていて開けられませんでした。中には思い出の写真やメッセージ、それにお金のやりとりなども残っていると思うのですが・・・。解除する方法はありませんか?」

率直に言いますと、確実な方法はありません。キャリアショップやメーカーはスマホのロック解除には応じてくれませんし、パソコンのように中身を物理的に取り出してコピーするといった技も使えません。スマホのセキュリティは非常に強固で、米国のFBIすら、銃乱射テロで死亡した容疑者が残した一台のiPhoneが自力で開けられず、司法を通じてアップルに協力を要請したことがあるくらいです。

例外的な手段は最後にお伝えしますが、基本的にはお父様が設定されたロック解除の鍵を見つけ出せるか否かにかかっていると思ってください。

ロック解除の鍵には、指紋認証や顔認証といった生体認証タイプと、パスワードやパスコード、パターンなどを入力するタイプがあります。

前者の生体認証は持ち主が亡くなった時点で使用不可能になりますが、生体認証登録時には必ずパスワード等の認証も設定するように作られているので、「お父さんは普段から指紋認証しか使っていなかったな」という場合でもスマホでも諦める必要はありません。パスワード等が見つかりさえすればいいのです。

パスワード等はデジタルで残されているとは限りません。過去に私が相談を受けた事例では、スマホの契約書類にメモ書きが残されていたということがありましたし、エンディングノートに書いているという方にも出会ったことがあります。スマホを購入した日の日記帳やシステム手帳を当たってみるのも有効でしょう。ただ、これらの調査でパスワードそのものが見つかるのはラッキーだと思ってください。

多くの場合、遺族は生前に残されたヒントに頼ることになると思います。故人本人や家族の誕生日を設定していたり、そこにペットの名前を掛け合わせたり。かつて私が受けた相談には、自動車のロックを解除する予備パスワードと同じものを使っていたというケースがありました。セキュリティ上は好ましくないですが、「123456」や「0000」というシンプルな鍵にしていた事例もあります。このあたりは本当に持ち主の方次第といえるでしょう。

スマホのパスワード探しをする上で、確信の無いまま当てずっぽうに何度も入力して試すのは注意が必要です。たとえばiPhoneの場合、10回連続でミスすると中身を工場出荷時、つまり初期状態に戻す設定になっている機種があります。初期化されなくても、同回数のミスからの回復には複雑な処理が必要になることもあります。5回連続ミスの時点で「1分後にやり直してください」と注意メッセージが表示されますから、当てずっぽうはそれより前の3回くらいまでで止めておくのが無難です。それ以降のチャレンジは確度の高いパスコードを発見したり思い出したりしたときのためにとっておきましょう。

Androidの場合は機種ごとに異なりますが、ここ最近売られているタイプなら何度チャレンジしても状態が変わらないようです。

以上を試してみて、開けない場合は一旦諦めたほうがよいと思います。スマホが開けなくても、パソコンやインターネット上にあるバックアップを探すという次善策もありますから(このあたりはコラムを通して追々お伝えできればと思います)。

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最後に「例外的な手段」に触れておきます。

デジタル遺品問題をサポートしてくれる会社のなかには、スマホにも対応してくれるところがあります。たとえば、全国対応しているデジタルデータソリューションは、特殊な技術を使ってスマホ内部のストレージからデータを取り出せるか検討してくれます。ただし、必ずしもロック解除できるわけではありません。また、それなりの費用がかかることも念頭に置いてください。初期相談は無料ですが、成功報酬は平均23万円かかります。

(記事は2019年10月1日時点の情報に基づいています)

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