目次

  1. 1. 専門家の対応がイマイチ
  2. 2. 信託契約書が複数になることも
  3. 3. 専門家には豊富な実務経験が必要
  4. 4. どうやって専門家を見極めるか?

「相続会議」の司法書士検索サービス

近年、「家族信託」に関する書籍やWEB上で「家族信託」に関する情報提供サイトが増えてきています。ただ、本当に家族信託の実務を分かっている専門職が書いている書籍やWEB上の記事は、実はごく僅かです。

つまり、新規顧客を獲得したいがための浅い知識・情報・机上の理屈を基に書籍や記事を書いている専門職が多くいることは紛れもない事実です。相談すべき専門家の選び方について紹介します。

弊事務所に寄せられるお客様からの相談のうち、最初に相談した別の専門職の事務所(弁護士・司法書士・税理士・行政書士等)の対応がイマイチだという理由で、セカンドオピニオンとして、弊所に相談をされる方も少なからずいます。

何が「イマイチ」かというと、例えば、お客様の疑問・質問に対する明解な回答が無くモヤモヤした状態のまま相談が終わった、専門用語を並べられ難しい説明で家族みんなが理解できなかった。はたまた、具体的なお打合せの進め方や金銭の分別管理の仕方についての明確な案内がされなかった、自信が無さそうに応対された、打合せもそこそこに信託契約書案をいきなり提示された…。

これらは、実際に家族信託の設計・実行についての相談先・依頼先を探しているお客様の生の声に他なりません。お客様は、親の老後や相続後を安心できるものにするため、安くないコンサルティング報酬を支払う覚悟をもっている、あるいは実際に支払っています。それにもかかわらず、それに対応できる信頼に足る法律専門職が全国に僅かしかいないというのは、由々しき事態と言えます。

世に出回っている信託契約書は「ひな型」ではなく、あくまで想定事例に対し考え得る一つの「契約書例」に過ぎないことを理解している専門職は、実はごく少数です。ほとんどの司法書士・弁護士・税理士・行政書士が、書籍に掲載されている契約書例を「ひな型」だと信じ、1つの信託契約書にどう当てはめるかに注力します。

ただ、実務はそう簡単ではありません。家族構成、保有資産、親側の想い・希望、子側の想い・希望によって、やるべき施策や家族信託の設計が異なりますし、信託契約書が複数になることも頻繁にあります。

家族信託の設計コンサルティング業務に携わるにあたっては、実際の実務をやっていないと分からないことが沢山あります。その業務には、税務的知識、成年後見制度や遺言、遺留分等の民法に関する実務的な知識も必要です。

また、親世代・子世代が一堂に会する「家族会議」の場に同席をして、皆様に分かりやすく家族信託の仕組みやメリット・デメリットの説明をし、家族内のそれぞれの想い・希望をヒアリングしながら、家族みんなが安心・納得できる仕組み作りを提案するには、知識のみならず、場数を踏んでこその経験も不可欠です。

親の認知症に備えておかないとどんな困りごとが起きるのか、『家族信託』を家族全員にどのような言葉で説明するか、家族信託の実行に際して親側がどんな点に不安を感じるか、家族信託の契約を何本に分けて設計するか、家族信託と遺言をどのように組み合わせるか、時には任意後見契約をどのように併用するか、夫婦共有財産をどのように管理し承継するか…。

これらの実務的なポイントは、家族信託の書籍にはほとんど触れられていません。

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『家族信託』の実務に精通しているというレベルというと、少なくとも数十件以上の相談件数、10件以上の組成実績があった方が良いと言えますので、法律専門職に相談・依頼をする際には、これまでの家族信託に関係した相談処理件数や家族信託の組成実績を単刀直入に聞いてみるのもお勧めです。

ただ、誰もは最初は経験が浅い訳ですから、その経験不足をどのように補おうと努力をしているか、学び続けているか、という姿勢こそが重要です。例えば、手前味噌にはなりますが、小生が代表かつ研修講師を務めている一般社団法人家族信託普及協会(注)の研修を受け、日々研鑽を積んでいる法律専門職が全国に着実に増えています。

家族信託普及協会に限らず、日本中には専門職向けのセミナーや勉強会はいくつもありますので、その中で実務に精通した専門職を指南役として切磋琢磨している団体・組織できちんと学び続けているかどうかについても、確認すると良いでしょう。 

『家族信託』は、最先端の医療に例えられることがあります。有効な治療薬が無かった患者の命を救うために常に最新の医療技術を追い求める医者と最新医療は治験が十分ではないからという理由だけで完治の可能性をあきらめる医者。両者をきちんと見極められなければ、患者は救われないかもしれません。依頼する法律専門職を選ぶことは慎重にすべきです。

【注】一般社団法人家族信託普及協会では、法律専門職向けの育成プログラム(「家族信託専門士®研修」や「家族信託コーディネーター®研修」)を毎月開催していると同時に、研修を終えた専門職に対して全面的なバックアップサービスを提供しております。具体的には、信託の設計段階での専門職側の疑問点の解消、お客様の質問に対する回答の仕方のアドバイス、信託契約書のリーガルチェック等です。

(記事は2019年10月1日時点の情報に基づいています)

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