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1. 遺産相続を弁護士に相談・依頼するメリット
遺産相続では法的な専門知識が必要とされる場面が多くあり、弁護士への依頼によって得られるメリットは多岐にわたります。主なメリットは以下の7つです。
- 損をしない遺産分割のアドバイスを受けられる
- 代理人としてほかの相続人と交渉してもらえる
- 複雑な相続トラブルの解決を依頼できる
- 遺留分侵害額請求を一任できる
- 相続放棄すべきかどうかを相談できる
- 複雑な相続手続きを一任でき、手間やストレスを軽減できる
- 【生前対策】将来の相続トラブルの対策についてアドバイスを受けられる
1-1. 損をしない遺産分割のアドバイスを受けられる
遺産分割において、争いが起こる原因はさまざまです。特に、特定の相続人が被相続人から生前贈与を受けているケースや、特定の相続人が被相続人の介護や家業に従事するなどして財産形成に貢献しているケースでは、遺産をめぐるトラブルが起こりやすい傾向にあります。
また、遺産のなかに不動産が含まれている場合には、不動産の評価方法や分割方法で争いになりやすいです。
このようなケースでは、弁護士に相談してアドバイスを受けるのがお勧めです。弁護士は法律のプロとして、依頼者が正当な利益を確保できるように的確なアドバイスをします。
1-2. 代理人としてほかの相続人と交渉してもらえる
相続人同士で直接やりとりをすると、感情的になりがちで、トラブルが泥沼化するおそれがあります。また、相手との交渉の手間やストレスも軽視できません。
弁護士が介入すれば、冷静な話し合いによる解決が期待できるうえ、代理人として相手方とやりとりをしてくれるため、手間やストレスが軽減されます。サポートしてくれる味方がいることは、心理的にも大きな支えになります。
1-3. 複雑な相続トラブルの解決を依頼できる
「遺産を独占しようとする相続人がいる」「遺産を使い込まれている疑いがある」などの複雑なトラブルが発生している場合、個人で解決するのは困難です。決定的な証拠がないまま使い込みを指摘した結果、話し合いに応じてもらえなくなるなどのトラブルが起こる可能性があります。
弁護士は証拠の収集、ほかの相続人との交渉や訴訟など、紛争解決のためのサポートをしてくれます。
1-4. 遺留分侵害額請求を一任できる
兄弟姉妹以外の法定相続人には、法律で保障された最低限の相続分である「遺留分」があります。遺留分は遺言によっても奪うことができません。遺留分が侵害された場合、侵害された分に相当する金銭の支払いを求めることができ、この手続きを「遺留分侵害額請求」と言います。
遺留分侵害額請求は、相続トラブルのなかでも法律の解釈や証拠収集、相続人との交渉など、複雑な要素が絡みやすい案件です。そのため、弁護士に依頼するかどうかで結果に大きな差が生じる場合があります。
また、弁護士が介入すると遺留分侵害額請求に対する本気度が相手に伝わり、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。訴訟せざるを得なくなった場合でも、そのまま対応を一任できるので安心です。
1-5. 相続放棄すべきかどうかを相談できる
「相続放棄」とは、相続人としての権利や義務をすべて放棄する手続きです。亡くなった人に借金しか残っていない場合など、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄を選択するケースが多いでしょう。
相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」という厳格な期限があります。弁護士に依頼をすれば、迅速に財産調査を行うなどして、相続放棄をすべきかどうか的確なアドバイスをしてくれます。
1-6. 複雑な相続手続きを一任でき、手間やストレスを軽減できる
相続手続きにあたっては、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成や預貯金の解約などさまざまな手続きが必要となり、かなりの手間を要します。仕事が忙しいなどの理由で手続きを後回しにすると、相続放棄や相続税申告などの期限を過ぎてしまい、不利益を被るおそれがあります。身近な人を亡くしたばかりの状況で、期限に気をつけながらさまざまな手続きを行うストレスは大きいものです。
弁護士に依頼をすれば、さまざまな手続きを一任できて手間を大きく削減できるうえ、司法書士や税理士と連携して相続登記や相続税申告がスムーズに進められるようにサポートしてくれる場合もあります。
1-7. 【生前対策】将来の相続トラブルの対策についてアドバイスを受けられる
相続トラブルを避けるためには、生前の予防が大切です。弁護士は相続発生後のトラブルを日常的に扱っているため、何が原因でトラブルが発生しているかを経験上理解しています。その経験に基づいて、遺言書の作成などトラブルを予防するための方策についてアドバイスをしてくれるでしょう。
2. 遺産相続を弁護士に依頼するデメリットと注意点
遺産相続を弁護士に依頼する場合には、以下のようなデメリットと注意点があります。
2-1. 弁護士費用がかかる
最大の懸念点は「弁護士費用」です。相続手続きを弁護士に依頼した場合、当然ながら弁護士費用が発生します。
費用は依頼する弁護士事務所によって異なるため、見積もりをとって内訳を確認したうえで依頼することが大切です。弁護士費用の相場については後述します。
2-2. ほかの相続人との関係性がこじれる可能性がある
交渉の場面に弁護士が登場すると、「大きな問題である」というイメージを持つ人もいます。そのため、弁護士の介入によってほかの相続人との関係性にひびが入る可能性があります。
弁護士としては、依頼者の要望があれば相続人同士の関係性がこじれないように尽力するものの、弁護士の介入が必要な状況では、すでに争いが生じているなど、円満な解決が難しいケースが多いです。
ほかの相続人と争う意思がなく関係性を維持したい場合は、預貯金口座解約の代行など、どのような目的で弁護士に依頼するのかを事前にほかの相続人に伝えておくほうがよいでしょう。
3. 遺産相続で弁護士ができること|ほかの専門家との違いは?
弁護士は法律のプロとして相続全般に幅広く対応できます。具体的には、相続人調査、相続財産調査、相続放棄の申立て、遺産分割協議書の作成、預貯金などの相続手続き、相続人同士の紛争解決などです。
相続人同士の紛争解決は、基本的には弁護士にしか対応できません。法務大臣から認定を受けた認定司法書士は、140万円以下の遺留分侵害額請求に関する案件には対応できるものの、それ以外の紛争については弁護士以外の専門家は対応できません。そのため「遺産の分け方でもめている」「これから相続トラブルが起きそう」というケースでは、弁護士に相談するのがお勧めです。
もちろん、争いごとが生じていなくても弁護士への相談は可能です。たとえば「相続人や相続財産を調査したい」「相続放棄をしたい」「相続手続きを代行してほしい」というケースでも相談できます。
弁護士や司法書士、税理士、行政書士それぞれが対応できる業務については下記の表をご参照ください。
相続において各専門家ができる業務の一覧。弁護士の対応できる範囲が最も大きい
4. 遺産相続を弁護士に「相談すべきケース」と「しなくてよいケース」
遺産相続について、弁護士に相談すべきケースや弁護士以外の専門家に相談すべきケース、弁護士に相談せず自分で手続きを進められるケースについてそれぞれ解説します。
4-1. 弁護士に相談や依頼をすべきケース
弁護士に相談や依頼をすべきケースの一例は下記のとおりです。
- 相続人間でもめごとが発生しそう、またはすでに発生しているケース
- 相続人のなかに行方不明者や認知症の人、未成年者がいるケース
- 相続人や相続財産が多数いるなど複雑なケース
- 被相続人の財産を使い込んでいる人がいるケース
- 相続放棄をすべきかわからないケース
なお、弁護士事務所のなかには初回無料相談に対応しているところもあります。無料相談をしても必ず依頼をしなければいけないわけではないため、まずは無料相談を活用し、その内容を踏まえて正式に依頼すべきかどうかを判断するのがお勧めです。
4-2. 遺産相続を弁護士以外の専門家に相談すべきケース
相続は登記や税金など幅広い分野が関わるため、弁護士以外の専門家への相談や依頼が必要なケースもあります。弁護士以外の相談先となる専門家をまとめましたので、参考にしてみてください。
【税理士】
税理士は税金のプロです。遺産総額が大きい場合などには相続税の申告が必要となります。遺産の分け方に争いがなく、相続税について相談したい場合はまずは税理士への相談が望ましいと言えます。
【司法書士】
司法書士は登記のプロです。不動産を相続した場合、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。トラブルがなく遺産に不動産が含まれる場合は、まずは司法書士に相談するとよいでしょう。
【行政書士】
行政書士も相談先の候補となる専門家です。遺産の分け方に争いがなく、遺産に不動産が含まれない場合などには、必要書類の収集や遺産分割協議書の作成などについて行政書士に相談するのも選択肢の一つです。
4-3. 遺産相続を弁護士に相談せず、自分で手続きをしてもよいケース
下記のように必要な手続きが少ないケースでは、自分で調べて手続きをしてもよいでしょう。必要に応じて自治体の窓口や各専門家の事務所に相談して、アドバイスを受けるのがお勧めです。
- 相続人が一人だけ、相続財産が預貯金のみなど、状況が複雑ではない
- 相続税申告が不要である
- 相続人が複数いるが、遺産分割について争いがない
- 相続手続きに手間や時間をかける余裕がある
5. 遺産相続を弁護士に依頼した場合の費用相場
遺産相続を弁護士に依頼した場合にかかる費用の内訳と金額相場について解説します。また、実例を挙げながら弁護士費用についてシミュレーションします。
5-1. 弁護士費用の内訳
弁護士に依頼した際には、主に以下のような費用がかかります。
【法律相談料】
弁護士に正式な依頼をする前に相談をする際にかかる費用です。相場は30分5000円(以下、金額は税別)程度ですが、初回相談料を無料に設定している事務所も多いです。
【着手金】
弁護士に正式に依頼した段階で支払う費用です。事案の結果に関係なく支払うもので、不成功に終わっても返還されません。
請求額に応じて着手金を算定する事務所や、着手金を30万円から50万円などの固定金額にしている事務所など、さまざまです。
かつて日本弁護士連合会(日弁連)が設けていた報酬基準では、経済的利益に応じて下表のように着手金が定められていました。この基準は現在廃止されているものの、多くの事務所では現在も廃止前の基準を目安にしています。
【弁護士の着手金の相場と計算方法】
| 経済的利益の額 |
着手金の計算方法 |
| 300万円以下 |
経済的利益の8% |
| 300万円超3000万円以下 |
経済的利益の5%+9万円 |
| 3000万円超3億円以下 |
経済的利益の3%+69万円 |
| 3億円超 |
経済的利益の2%+369万円 |
【報酬金】
依頼をした事案が成功に終わった場合、事案終了の段階で得られた経済的利益の額に応じて支払う費用です。相場は下記の表のとおりです。
【弁護士の報酬金の相場と計算方法】
| 経済的利益の額 |
報酬金の計算方法 |
| 300万円以下 |
経済的利益の16% |
| 300万円超3000万円以下 |
経済的利益の10%+18万円 |
| 3000万円超3億円以下 |
経済的利益の6%+138万円 |
| 3億円超 |
経済的利益の4%+738万円 |
【手数料】
着手金や報酬金などの費用体系になじまない、事務的な手続きを依頼する場合などに支払う費用です。たとえば、相続人や相続財産の調査のみを依頼する場合や、相続放棄を依頼する場合などには手数料がかかります。着手金と同様、弁護士に依頼した段階で支払います。
5-2. 【事例別】弁護士費用のシミュレーション
どのような費用がどのぐらいかかり、総額がいくらになるのか、事例別に見ていきましょう。なお、着手金と報酬金は上記の表をもとに、税別で計算します。
【事例①】遺産分割を依頼して1000万円の遺産を取得したケース
弁護士に依頼してほかの相続人との遺産分割協議を代理してもらい、1000万円の遺産を取得した場合です。着手金と報酬金の目安は以下のようになります。
・着手金:59万円(=1000万円×5%+9万円)
・報酬金:118万円(=1000万円×10%+18万円)
・合 計:177万円
【事例②】相続放棄を依頼したケース
弁護士に依頼して相続放棄の手続きを代理してもらった場合、着手金や報酬金ではなく、手数料とすることが多いです。相続放棄を弁護士に依頼した場合の手数料の相場は、申述人1人につき5万円から10万円程度です。
【事例③】遺留分侵害額請求を依頼して500万円の金銭を取得したケース
ほかの相続人への遺留分侵害額請求を弁護士に依頼し、500万円の金銭を取得した場合の弁護士費用の相場は以下のとおりです。
・着手金:34万円(=500万円×5%+9万円)
・報酬金:68万円(=500万円×10%+18万円)
・合計:102万円
5-3. 費用倒れを防ぐためのポイント
弁護士に依頼して支払った費用の総額が得られる利益の額を上回る状態を「費用倒れ」と言います。
法律事務所はそれぞれ個別の料金体系を設けているため、同一の事案であっても事務所によって料金が異なり、依頼する内容や事務所によっては費用倒れになる可能性があります。そのため、複数の弁護士に相談して見積もりをとり、比較検討するとよいでしょう。初回相談無料の事務所を選べば、複数の見積もりをとるにあたっても費用を抑えられます。
6. 遺産相続に強い弁護士を選ぶ際のポイント
遺産相続に強い弁護士を選びたい場合は、以下のポイントに留意しながら探しましょう。
- 遺産相続の解決実績が豊富か
- 税理士や司法書士などの他士業と連携しているか
- 説明が丁寧か
- 費用体系が明確で、見積もりを出してくれるか
- 相性が合うか、スムーズに連絡がとれるか
- リスクやデメリットも説明してくれるか
6-1. 遺産相続の解決実績が豊富か
相続分野は専門性が必要で、弁護士によって結果が大きく変わる可能性があるため、どの弁護士に依頼するかが重要です。
弁護士にはそれぞれの得意分野があり、相続を得意とする弁護士への依頼がお勧めです。相続の事案を年に数件程度しか担当しない弁護士と、数十件以上も担当する弁護士とでは、知識やノウハウに差があります。
6-2. 税理士や司法書士などの他士業と連携しているか
遺産相続では、相続登記や相続税申告など、司法書士や税理士といった弁護士以外の専門家への相談や依頼が必要となるケースも少なくありません。
遺産相続に強い弁護士であれば、依頼者を総合的にサポートできるように、ほかの士業と連携しているケースも多いでしょう。
6-3. 説明が丁寧か
遺産相続は一生に何度も経験するものではありません。そのため、どのような手続きをすべきか、どのような流れで進むのかなど、わからないことばかりで不安な気持ちになるはずです。
相続について相談した際に、弁護士が難しい法律用語をかみ砕いて説明してくれるか、手続きや流れを具体的に教えてくれるかなど、説明が丁寧かどうかは大きなポイントとなります。
6-4. 費用体系が明確で、見積もりを出してくれるか
提示された費用の内訳が曖昧な場合は、その弁護士が相続案件をあまり取り扱っておらず相場を把握していない可能性や、追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
相続案件では弁護士費用が高額となるケースも多いので、費用の総額や追加費用が発生するタイミングなどを明確に説明してくれるかを確認してください。
6-5. 相性が合うか、スムーズに連絡がとれるか
相続について弁護士に依頼した場合、事案によっては数カ月から1年以上の長期間にわたる付き合いになるため、相性が合うかどうかも重要です。
また、事案を進めるにあたっては、弁護士と依頼者の間で多くのやりとりが発生します。特にトラブル案件や期限のある手続きは早めに対応する必要があるため、スムーズにやりとりができるかもポイントになります。
6-6. リスクやデメリットも説明してくれるか
弁護士は依頼者の利益を図るために尽力しますが、遺産相続にはリスクやデメリットが伴うケースも少なくありません。そのため、依頼者のメリットだけではなく、リスクやデメリットも隠さずにきちんと説明してくれるかも重要なポイントです。
リスクやデメリットを知らないまま手続きを進めると、いざリスクやデメリットが現実化した場合に取り返しがつかない事態になりかねないため注意が必要です。
7. 遺産相続を弁護士に相談するメリットに関して、よくある質問
Q. 遺産相続を弁護士に相談すべきタイミングは?
弁護士への相談は早ければ早いほどよいです。遺産相続では、相続放棄や相続税申告など、期限を過ぎると不利益を被る手続きも多いためです。「遅いかもしれない」と思っても何か手立てがある可能性もあるので、思い立ったら早めに相談することをお勧めします。
また、遺言書作成や家族信託などの生前対策は、被相続人が元気なうちに進めることが大切です。認知症などで判断能力が低下すると生前対策の選択肢が少なくなってしまうため、早めの相談をお勧めします。
Q. 遺産相続に強い弁護士は口コミやランキングから選んでもいい?
ネット上の口コミやランキングは参考にはなりますが、それだけで決めるのは避けたほうがよいでしょう。実際に弁護士に相談し、説明が丁寧か、相性が合うかなどを確認したうえで、その弁護士に依頼するかどうかを判断するのがお勧めです。
8. まとめ 遺産相続の困りごとに直面したら早めに弁護士に相談を
遺産相続の困りごとに直面した際、弁護士に相談や依頼をすると、ほかの相続人と交渉して相続トラブルを解決に導いてくれるだけでなく、相続放棄や相続手続きの代行など、トラブル以外の側面でも対応を一任できるなど、さまざまなサポートを受けられます。
実際に弁護士に依頼をする際は、遺産相続の実績が多いか、他士業と連携しているか、説明が丁寧であるかなどのポイントに着目してください。また、依頼前には弁護士費用のシミュレーションをしておきましょう。
遺産相続に関する手続きのなかには、期限内に済ませないと過料の対象になるものもあるため注意が必要です。遺産相続について困りごとに直面した場合は、弁護士へのすみやかな相談をお勧めします。
(記事は2026年9月1日時点の情報に基づいています)
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