目次

  1. 1. なぜ? 土地・不動産の相続がトラブルになりやすい理由
  2. 2. よくある不動産(土地・建物)の相続トラブル10選
    1. 2-1. 「実家に住み続けたい」「実家を残したい」など、特定の相続人が売却や分割に反対する
    2. 2-2. 誰が不動産を相続するかについて争いになる
    3. 2-3. 不動産の分割方法について争いになる
    4. 2-4. 遺産が不動産のみで、相続したい人が代償金を払えない
    5. 2-5. 不動産の評価方法について争いになる
    6. 2-6. 相続登記が長年行われておらず、手続きが複雑になる
    7. 2-7. 共有のままになっている相続不動産の取り扱いについてもめる
    8. 2-8. 相続不動産に抵当権や借地権が設定されていた
    9. 2-9. 相続税が払えない
    10. 2-10. 田舎の土地や空き家で「負動産」として誰も相続したがらない
  3. 3. 不動産の相続トラブルを未然に防ぐ生前対策は?
    1. 3-1. 相続発生前に不動産について家族間で話し合う
    2. 3-2. 遺言書を作成する
    3. 3-3. 不動産を生前贈与する
    4. 3-4. 活用予定のない土地は生前のうちに売却しておく
    5. 3-5. 代償金や納税に充てる資金を準備しておく
    6. 3-6. 遺産分割協議を早めに行い、共有状態を解消する
  4. 4. 不動産の相続トラブルを放置するとどうなる?
  5. 5. 不動産の相続トラブルが起こってしまった場合の対処法
  6. 6. 不動産の相続について相談できる専門家は?
  7. 7. 不動産(土地・建物)の相続トラブルについてよくある質問
  8. 8. まとめ 不動産の相続トラブルには、弁護士のサポートが有用

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不動産の相続がトラブルに発展しやすい最大の理由は、「お金のように均等に分けることが難しい」という点にあります。預貯金であれば簡単に分けることができるものの、土地や建物は物理的に切り分けることが困難です。

また、不動産には「思い出の詰まった実家」「先祖代々の土地」といった感情的な価値があるため、単純な経済的合理性だけでは割り切れない問題が生じます。「実家を売りたくない」「自分が住み続けたい」といった相続人それぞれの思いがぶつかり合い、話し合いが長期化するケースは珍しくありません。

被相続人(亡くなった人)やほかの相続人との長年の関係性があるからこそ、不公平感や感情的な対立が生じて話し合いができなくなることが多いものです。そのうえ「分けるのが困難」「思い入れが強くなりがち」という要素が不公平感や感情的な対立を高めているように思えます。

筆者の弁護士としての経験上、「うちの家族は仲がいいからもめない」と言っていたにもかかわらず、いざ相続が始まると深刻な対立に陥ることはまったく珍しくありません。不動産が絡む相続は、誰にでもトラブルが起こり得るものだと認識しておくことが大切です。

不動産の相続では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。特に多いトラブルの事例は次の10個です。

  • 「実家に住み続けたい」「実家を残したい」など、特定の相続人が売却や分割に反対する
  • 誰が不動産を相続するかについて争いになる
  • 不動産の分割方法について争いになる
  • 遺産が不動産のみで、相続したい人が代償金を払えない
  • 不動産の評価方法について争いになる
  • 相続登記が長年行われておらず、手続きが複雑になる
  • 共有のままになっている相続不動産の取り扱いについてもめる
  • 相続不動産に抵当権や借地権が設定されていた
  • 相続税が払えない
  • 田舎の土地や空き家で「負動産」として誰も相続したがらない

被相続人と同居していた相続人が「自分はずっとここに住んできたのだから、この家は自分のものだ」と主張し、遺産の分け方を相続人全員で話し合う遺産分割協議に応じないケースがあります。長年にわたり親の介護をしてきた一人の相続人が、その貢献を理由に不動産の単独取得を求めることもあります。

このような場合、ほかの相続人との間で感情的な対立が深まり、話し合いが一向に進まなくなる可能性があります。筆者の事務所で扱った案件にも、不動産に居住していた相続人が「出ていくつもりはない」と主張し、遺産分割協議が数年間停滞していたケースがありました。最終的には、ほかの相続人が賃料相当額の支払いを求める訴訟を起こし、家族関係の修復が非常に困難になってしまいました。こうした事態を避けるためにも、専門家を交えた早期の対応が重要です。

不動産に対して思い入れのある相続人が複数いる場合、誰が相続するかをめぐって激しい争いになることがあります。たとえば、きょうだい全員が「自分が実家を継ぎたい」と主張するケースです。

反対に、固定資産税や維持管理費だけがかかる活用の難しい土地、いわゆる「負動産(ふどうさん)」の場合は、誰も相続したがらないという逆のトラブルも起こります。相談者のなかには「きょうだい全員が『自分は不動産を継ぎたくない』と言い張って、まったく協議が進まない」というケースもあります。また、たとえば被相続人の介護を献身的に行っていた長男の妻など、相続人以外が「特別寄与料(親族が無償で介護した際の金銭報酬)」を主張してくると、問題がさらに複雑になります。

不動産を含む遺産の分割方法には、主に次の4つがあります。どの分割方法を採用するかは相続人それぞれの生活状況や希望によって意見が分かれやすく、話し合いが長期化する原因にもなります。

遺産分割の4つの方法を図解。どの分割方法を採用するかは、相続人それぞれの生活状況や希望によって意見が分かれやすい
遺産分割の4つの方法を図解。どの分割方法を採用するかは、相続人それぞれの生活状況や希望によって意見が分かれやすい

「現物分割」は、土地をそのまま分筆して各相続人に分ける方法です。公平に分けやすい反面、分筆ラインをめぐって争いになることがあり、分筆後の土地の形状や接道条件によっては資産価値が大きく下がるリスクがあります。このような難しさがあるので、実際にこの方法がとられることはほとんどありません。

「代償分割」は、特定の相続人が単独で不動産を取得し、ほかの相続人に金銭(代償金)を支払う方法です。不動産をそのまま残せるメリットがある一方、代償金を用意できるかが課題になります。

「換価分割」は、不動産を売却して売却代金を分配する方法です。公平に分けやすいものの、「安くてもいいから早く売りたい」「時間がかかっても高く売りたい」と、売却方針でもめることがあります。

「共有分割」は、不動産を相続人全員の共有名義にする方法です。一見平等に見えるものの、管理費用の負担や売却時に共有者全員の同意が必要になるなど、将来的に大きなトラブルの原因になりやすく、問題の先送りになるため安易な選択は避けるべきです。共有分割を選択する場合には、共有物の使用方法などについてきちんと合意を得ておくことが望ましいでしょう。

遺産の大半が不動産で、現金がほとんどないケースは非常に多くあります。たとえば、長男が「実家を相続したい」と考えても、遺産に現金がなく長男自身も資力がない場合には、ほかのきょうだいに支払う代償金を用意できず協議がまとまらないという事態が生じます。特に現代においては不動産価格が高騰しているため、昔よりも問題が生じやすいです。

このような場合は、不動産を担保にローンを組む、不動産の一部を売却して資金を確保するなどの方法が考えられます。ただし、いずれも相続人全員の合意が必要となるため、簡単には進みません。

遺産分割協議において不動産をいくらと評価するかは、各相続人の取り分に直結する重要な問題です。不動産の評価方法には、路線価(相続税評価額)、固定資産税評価額、不動産鑑定士による鑑定評価、実勢価格(時価)などがあり、どの方法を採用するかによって評価額が大きく異なります。

民法上、不動産の価格は実際に取引が成立した時価で評価することになるものの、売却しない場合に実際の時価をいくらと評価するかは簡単には決まりません

代償分割をする場合、不動産の評価額が高くなると代償金も高くなるため、不動産を取得したい相続人は評価額を低くしたいと考えます。一方、代償金を受け取る側の相続人は評価額を高くしたいと考えるため、意見が対立しやすくなります。

2024年4月から相続登記が義務化され、不動産の所有権の取得を知ったときから3年以内に登記手続きをする必要があります。しかし、それ以前は義務ではなかったため、何代にもわたって名義変更がされていない不動産が数多く存在します。このような不動産を相続する場合、まず過去にさかのぼって不動産の権利者を特定する必要があります。過去の権利者がすでに亡くなっている場合には、その相続人全員から登記への協力を得なければなりません

こうしたケースでは相続人が数十人に及ぶこともあります。そのうえで連絡先がわからない相続人がいたり、海外に住んでいる相続人がいたりすると、手続きはさらに困難を極めます。現在の権利者を確定するだけでも相当な時間と労力を要することは容易に想像できるでしょう。

過去の遺産分割協議がまとまっておらず、とりあえず相続人全員の共有名義にしたまま長期間が経過しているケースは、不動産の相続時になって大きな問題になることがあります。

共有不動産は、売却や賃貸などの処分行為に共有者全員の同意が必要です。共有者の一人でも反対すれば、売却も賃貸もできません。また、固定資産税などの維持管理費をめぐって「自分は不動産を使っていないのに、なぜ払わなければならないのか」といった不満が生じやすくなります。さらに、共有者が亡くなるとその持分がさらに細分化され、子どもや孫の世代でますます権利関係が複雑になっていきます

このようなことにならないように、共有のままにすることは避けるべきです。仮に共有分割にする場合には使用方法や維持管理費、修繕費などについての分担をあらかじめきちんと決めておくべきです。

もし過去の遺産分割協議で共有のままになった不動産に関して紛争がある場合には、共有物分割という手続きで解決することになります。これは共有物の共有状態を解消し、各共有者の単独所有に分ける方法であり、厳密には遺産分割ではないものの、遺産分割に端を発した典型的な紛争の解決法の一つです。

相続した不動産を売却しようとしたところ、抵当権が設定されていることが判明するケースがあります。抵当権とは、住宅ローンなどの返済が滞った際に、金融機関などが担保として設定していた不動産を競売にかけてお金を回収する権利です。

抵当権が残っている不動産は、残債務を完済して抵当権を抹消しなければ、事実上売却が困難です。数十年前に抵当権が設定されており、すでに借金をすべて返済していると思われるケースや、債権(返済を求める権利)が時効消滅しているのではないかと思われるケースでも、抵当権は自動的には抹消されません。抵当権抹消の手続きをする必要があります

また、他人の土地を借りて自分の建物を建てる権利である借地権が設定されている場合は、地主との関係や借地契約の内容によって、不動産の活用方法が大きく制限されます。特に定期借地権で残余年数が短く、地方に所在する物件の場合は、かなり価格を下げなければ買い手がつかないこともあります。

不動産の価値が高い場合や、遺産のほとんどが不動産であるケースでは、相続税の支払いに充てる現金が不足することがあります。相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。

対処法としては、不動産を売却して納税資金を確保する、金融機関からローンを借り入れる、「延納」と呼ばれる分割払いや不動産での「物納」の制度を利用するなどの方法があります。ただし、いずれも一定の要件や手続きが必要で、対応が簡単ではないため、早めに税理士や弁護士に相談することをお勧めします。

地方にある山林や農地、老朽化した空き家などは、売却も活用も難しく、固定資産税や維持管理費だけがかかり続ける「負動産」になりがちです。誰も相続したがらないため、相続人間で押し付け合いが始まることもあります。

特に空き家については、適切に管理されていないと市区町村から「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家に指定されると、固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が適用されなくなり、税額が最大で6倍に跳ね上がるケースもあります。

なお、相続放棄をした場合でも、現に占有している不動産については保存義務が残る点には注意が必要です(民法940条) 。その不動産に出入りしたり鍵を保有していたりするなど、事実上の支配や管理をしている状態にある場合は、鍵の管理や不法侵入の防止、周囲に危害を及ぼさないための管理を行わなければなりません。

誰も相続したがらない状況では、相続人がいない遺産を管理する相続財産清算人の選任などの手続きが必要な場合があるため、専門家に相談することが大切です。

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不動産の相続トラブルは、生前に適切な対策を講じておくことで防げる可能性が大きく高まります。主な生前対策は6つあります。

最も基本的で、かつ効果的な対策は、元気なうちに家族で相続について話し合っておくことです。「長男に実家を継いでほしい」「山林は売却してほしい」など、被相続人自身の意向を明確に伝えておくことで、相続人がその意思を尊重しやすくなります。

また、各相続人の生活状況や希望を共有しておくことで、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。「相続の話をするのは縁起が悪い」と避ける家庭も多いですが、筆者の経験上、生前に家族で話し合いをしていると、相続発生後のトラブルが圧倒的に少ない印象です。

遺言書を作成しておけば、遺産分割協議を経ずに、特定の相続人に不動産を引き継がせることができます。特に公正証書遺言であれば、形式不備で無効になるリスクが低く、紛失のおそれもないため安心です。

ただし、一部の相続人に著しく偏った内容の遺言書は、かえって遺留分侵害額請求などのトラブルの原因になりかねません。遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産の取り分です。たとえば、遺言に「全財産を長男に相続させる」と書いた場合、ほかのきょうだいは長男に対して遺留分相当額の金銭を請求することができます。「被相続人の意向を尊重したい」「自分の取り分を主張したい」という意見の衝突からトラブルに発展する可能性があります。

「公平さ」と「自分の意思」のバランスをとることが大切ですので、遺言書の内容は、弁護士のアドバイスを受けたうえで慎重に検討することをお勧めします。

生前贈与によって不動産を渡しておけば、その不動産は原則として遺産分割の対象になりません。自分の意思で確実に引継先を決められるメリットがあります。ただし、贈与税が発生する点や、ほかの相続人の遺留分を侵害する可能性がある点には注意が必要です。

贈与税については、累計2500万円の特別控除に加え、年110万円の基礎控除も受けられる「相続時精算課税制度」を利用することで、実際に相続が発生するまで税金を納めなくてもよい場合があるため、弁護士や税理士などの専門家に相談してください。

誰も住む予定のない不動産のほか、活用が難しい山林や農地などは、生前のうちに売却して現金化しておくことも有効な選択肢です。現金であれば相続人間で平等に分けやすくなり、トラブルの芽を事前に摘むことができます。

売却にあたっては、不動産会社に相談して適正な価格を把握しておくことが大切です。なお、売却によって得た利益に譲渡所得税がかかる場合があるため、税理士にも相談しておくとよいでしょう。

代償分割を想定している場合は、被相続人が生前のうちに代償金を準備しておくことで、スムーズな遺産分割が可能になります。また、相続税の納付に備えて生命保険に加入するなど、あらかじめ資金を確保しておくことで、資金不足によるトラブルを回避できます。

納税資金の準備は10年単位の時間をかけて準備していく必要があります。準備には保険を活用する方法や贈与を活用する方法などいくつかあるため、生前相続対策に詳しい弁護士や税理士へ早いうちに相談しておくとよいでしょう。筆者としては資産家であれば60歳から、遅くとも70歳からは相続対策を考えるべきだと考えています。

すでに共有状態になっている不動産がある場合は、できるだけ早期に遺産分割協議または共有物分割協議を完了し、共有状態を解消することが重要です。共有状態が長引くほど、権利関係が複雑化してトラブルのリスクが高まります。

相続トラブルが発生したからといって、手続きを放置してしまうのは非常に危険です。

まず、相続登記が完了しないと、不動産を売却することも担保に入れることもできません。期限内に相続税の申告をしなければ「小規模宅地等の特例」や「相続税の配偶者控除」など、相続税を軽減できる特例の適用ができなくなり、相続税が高くなるおそれもあります。

さらに、2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記を行わなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。放置すればするほど相続人の数が増え、権利関係が複雑化し、解決がますます困難になっていきます。相続人が認知症になったり、行方不明になったりすると、判断能力が不十分な人を支える成年後見人の選任や、不在者財産管理人の申立てが必要となり、さらに時間と費用がかかります。

トラブルが生じた場合は、問題を先送りにせず、すみやかに専門家に相談することが大切です。

不動産の相続トラブルが実際に起きた場合は、早い段階で弁護士に相談することが最も重要です。弁護士は、遺産分割協議のサポートやほかの相続人との交渉を代理で行うことができます。当事者同士では感情的になりがちな場面でも、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが可能になるケースは多くあります。

話し合いでの解決が難しい場合は「ADR(裁判外紛争解決手続)」を利用する方法もあります。ADRは、調停人や仲裁人が間に入って当事者間の合意を促す手続きで、裁判よりも迅速かつ柔軟な解決が期待できます。

それでも解決に至らない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。調停では、裁判官と調停委員が間に入って話し合いを進めます。調停でも合意できない場合は審判に移行し、裁判官が分割方法を決定します。審判で決まった内容に従わない相続人がいる場合には、強制執行を行うことも可能です。

不動産の相続に関して相談できる主な専門家は、弁護士、司法書士、税理士です。

弁護士は、相続トラブルの解決や予防について幅広く対応できる専門家です。相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、相続放棄の手続きに加え、調停や審判の代理人として活動することもできます。また、税金や登記の問題についても税理士や司法書士と連携して解決してくれる場合が多いでしょう。トラブルが発生している場合や、トラブルの予防策を講じたい場合は、まず弁護士に相談するのがお勧めです。

司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)の専門家です。トラブルは起きていないものの、長い間名義変更がされていないケースや、相続人の数が多く手続きが煩雑なケースで頼りになります。

税理士は、相続税の申告や節税対策の専門家です。相続税がかかる可能性がある場合や、相続税をなるべく抑えたい場合に相談するとよいでしょう。万が一、税務調査が入った場合にも対応してもらえます。

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Q. 相続放棄をしたら、相続不動産の維持管理をする必要はなくなる?

相続放棄をしても、現に占有している相続不動産については、ほかの相続人または相続財産清算人に引き継ぐまでの間、保存する義務を負います(民法940条)。たとえば、被相続人と同居していた実家を相続放棄した場合でも、次の管理者が決まるまでは建物を適切に管理しなければなりません。一方、占有していない相続不動産については、相続放棄により維持管理の義務はなくなります。

相続放棄をしたい場合で、相続人が現に占有している不動産がある場合には、相続財産清算人を選任する必要があります。弁護士に相談して相続放棄の手続きと一緒に手続きをするとよいでしょう。

Q. 相続不動産の名義変更前に支払った固定資産税は、ほかの相続人に請求できる?

遺産分割が成立する前の期間に対応する固定資産税は、法定相続分に応じて各相続人に負担を求めることができます。また、遺産分割後の期間に対応する固定資産税は、不動産を取得した相続人に対して請求できます。後のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議のなかで固定資産税の精算方法についてもあわせて合意しておくとよいでしょう。

不動産の相続は分割の難しさや相続人の感情が絡み合い、トラブルに発展しやすいものです。不動産の相続トラブルにはさまざまなパターンがあるものの、いずれも早期の対応が解決のカギとなります。

生前であれば、遺言書の作成や不動産の生前贈与、あるいは家族間の話し合いなどの対策を講じておくことで、トラブルを未然に防げる可能性があります。すでにもめ事が起きている場合は、問題を放置せず、なるべく早く弁護士に相談しましょう。弁護士のサポートを受けることで、相続人全員が納得できる解決策を見つけやすくなります。

(記事は2026年6月1日時点の情報に基づいています)

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