目次

  1. 1. 著作権とは
    1. 1-1. 著作権が発生する「著作物」とは
    2. 1-2. 著作財産権と著作者人格権
  2. 2. 著作権は相続できる?
    1. 2-1. 著作財産権は相続できる
    2. 2-2. 著作者人格権は相続できない|ただし無断改変などは著作者の死後も原則禁止
  3. 3. 著作権者が亡くなったら、著作権は誰が相続する?
    1. 3-1. 遺言書がある場合|指定された人が著作権を相続する
    2. 3-2. 遺言書がない場合|遺産分割協議によって相続する人を決める
    3. 3-3. 相続人がいない場合|著作権は消滅する
  4. 4. 著作権を相続するときにとるべき手続き
    1. 4-1. 相続の対象となる著作権を調査・把握する
    2. 4-2. 遺言書の有無を確認する
    3. 4-3. 遺産分割協議を行う|協議がまとまらないときは調停・審判
    4. 4-4. 著作権の管理体制を整える
    5. 4-5. 相続税の申告を行う
  5. 5. 著作財産権の相続税評価額の計算方法
  6. 6. 著作権の保護期間
  7. 7. 著作権の相続について専門家に相談するメリット
    1. 7-1. 弁護士に相談するメリット
    2. 7-2. 税理士に相談するメリット
  8. 8. 著作権の相続についてよくある質問
  9. 9. まとめ 著作権で相続されるのは著作財産権のみ

「相続会議」の弁護士検索サービス

「著作権」とは、著作物の利用に関して、その著作物を創作した人(=著作者)に認められた権利です。

「著作物」とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものをいいます。たとえば、以下のものは著作物に当たります。

  • 言語的な表現物(小説、脚本、論文、講演、歌詞、俳句など)
  • 音楽
  • ダンスの振り付け
  • 美術的な表現物(絵画、版画、彫刻、宮廷建築など)
  • 図形的な表現物(設計図、地球儀など)
  • 写真
  • 映像作品(映画、テレビ番組、ゲームソフト、YouTube動画など)
  • プログラム(PCアプリ、スマホアプリなど)

著作権が認められるためには、思想または感情を創作的に表現したものであること(=創作性)が必要です。たとえば短文で自由度が低過ぎる表現や、ごくありふれた表現などには創作性が認められないことがあります。

著作権には「著作財産権」と「著作者人格権」の2つが含まれます。著作財産権だけを指して「著作権」ということもあります。「著作財産権」は、著作者の財産的利益を保護する権利です。著作権法により、以下の著作財産権が認められています。

著作財産権の種類 概要
複製権 著作物を複製する権利
上演権、演奏権 著作物を、公衆に直接見せまたは聞かせることを目的として上演し、または演奏する権利
上映権 著作物を公に上映する権利
公衆送信権・公衆伝達権 著作物について公衆送信(インターネット配信など)をし、または公衆送信される著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
口述権 言語の著作物を公に口述する権利
展示権 美術の著作物または未発行の写真の著作物を、これらの原作品により公に展示する権利
頒布権 映画の著作物をその複製物によって頒布する権利等
譲渡権 著作物(映画の著作物を除く)を、その原作品または複製物の譲渡により公衆に提供する権利
貸与権 著作物(映画の著作物を除く)を、その複製物の貸与により公衆に提供する権利
翻訳権、翻案権等 著作物について、翻訳・編曲・変形・脚色・映画化その他翻案(パロディ化)をする権利
二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 二次的著作物の利用に関し、原著作物の著作者が有する権利
※当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する

「著作者人格権」とは、著作者の人格的利益を保護する権利です。著作権法により、以下の著作者人格権が認められています。

著作者人格権の種類 概要
公表権 未公表の著作物または同意を得ないで公表された著作物を公衆に提供し、または提示する権利
氏名表示権 著作物の原作品などに自らの実名・変名を著作者名として表示し、または著作者名を表示しないこととする権利
同一性保持権 著作物およびその題号の同一性を保持し、意に反してこれらの変更・切除その他の改変を受けない権利

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著作者が亡くなった場合でも、著作権のすべてを相続できるわけではありません。著作権は大きく「著作財産権」と「著作者人格権」に分かれており、相続の可否が異なります。

著作権のうち、著作財産権は相続の対象となります。著作者が亡くなった場合、著作財産権は相続人などが引き継ぐことになります。

ただし、著作財産権は、著作者が生前に第三者に譲渡することもできます。著作財産権がすでに譲渡されていた場合、亡くなった著作者は権利者でないため、相続人は著作財産権を相続することができません。

著作財産権とは異なり、著作者人格権は著作者の一身に専属する権利であるため、相続することも、契約によって譲渡することもできません(著作権法59条)。ただし、著作者の死後であっても、著作物を公衆に提供または提示する人は原則として、著作者が生きていれば人格権の侵害となるような行為(作者名の削除や無断での改変など)を行ってはなりません(著作権法60条)。

このように、著作者人格権そのものは死亡とともに消滅しますが、著作者の名誉や意図などの人格的利益は、死後も一定程度保護されることになっています。

亡くなった人が有する著作財産権を誰が相続するのかは、遺言書の有無によって異なります。遺言書がなく相続人もいない場合は、著作権は消滅します。

遺言書がある場合は、原則としてその内容のとおりに遺産を分けます。著作財産権についても、遺言書によって相続する人が指定されていれば、その人が相続します。

遺言書では、相続人以外の人に対して遺産を与えても構いません。たとえば相続人ではない親族のほか、お世話になった人などに著作財産権を与えることもできます。

ただし、遺言書の方式が民法の規定に従っていない場合や、遺言書が作成された時点で本人に意思能力がなかった場合などには、遺言が無効となってしまいます。この場合は、遺言書がない場合に準じて著作権を含む遺産の分け方を決めます。

遺言書がない場合は、遺産分割協議によって著作権を含む遺産の分け方を決めます。遺言書があるものの、著作権を相続する人が指定されていない場合も同様です。

遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を取り決める手続きです。相続人となるのは、亡くなった人(=被相続人)の配偶者と以下の順位に従った最上位者で、その全員が遺産分割協議に参加しなければなりません

【第1順位:被相続人の子】
※相続発生時点で子が既に亡くなっている場合は、さらにその子(被相続人の孫)が代襲相続人となる

【第2順位:被相続人の直系尊属(最も親等が近い人のみ)】

【第3順位:被相続人の兄弟姉妹】
※相続発生時点で兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、さらにその子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となる

遺言書によって著作権を相続する人が指定されておらず、亡くなった人の相続人もいない場合は、著作権は消滅します(著作権法62条1項1号)。この場合、著作物は「パブリック・ドメイン」となり、誰でも自由に利用できるようになります。

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亡くなった家族が著作権を有していた場合、相続の際は以下の手順で対応してください。

  1. 相続の対象となる著作権を調査・把握する
  2. 遺言書の有無を確認する
  3. 遺産分割協議を行う|協議がまとまらないときは調停・審判
  4. 著作権の管理体制を整える
  5. 相続税の申告を行う

まずは、どの著作権が相続の対象になるのかを正確に把握することが重要です。著作権も財産の一種であるため、相続財産として漏れなく調査する必要があります。

特に作家やミュージシャンなどのクリエイターは、たくさんの著作物について著作権を有しているケースがあります。どのような著作物があり、誰が管理しているのかを慎重に調べ上げ、見落としがないように注意してください。

遺言書がある場合は、原則としてその内容に従います。したがって、遺産分割協議を行う前に遺言書の有無を確認しなければなりません。

遺言書は、亡くなった人の遺品の中から見つかるケースがあるほか、公証役場や法務局で保管されているケースもあります。遺言書の見落としがないように、可能性がある場所はすべて探しましょう

遺言書がない場合や、遺言書があるものの相続する人が指定されていない遺産がある場合は、遺産分割協議を行います。

遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。念のため、戸籍謄本などを取り寄せて相続人全員を確定してから遺産分割協議を始めましょう。

協議では、各相続人が希望を出し合い、話し合いによって合意を目指します。合意に至った場合は、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名し、実印で押印します。

遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停では、中立の調停委員が各相続人の話を公平に聞き、歩み寄りを促すなどして合意形成をサポートします。

調停も不成立に終わった場合は、家庭裁判所が審判を行って、著作権を含む遺産の分け方を決定します。

【関連】遺産分割協議とは  話し合いの準備や進め方、まとまらなかった際の対処法

著作権を相続することが決まったら、その著作権の管理を行う必要があります。著作権の管理には、以下の作業などが含まれます。

  • 著作物の利用を希望する人と許諾契約を締結し、ライセンス料を徴収する
  • 著作物が無断で利用されていないかどうかを調べる

著作権の管理を自力で行うのはかなり大変です。そのため、管理団体(音楽ならJASRACなど)や出版社などに著作権の管理を委託するケースがよく見られます。

相続などによって取得した財産の合計額が基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告・納付が必要になります。

相続税の申告・納付の期限は、相続の開始(≒被相続人が亡くなったこと)を知った日の翌日から10カ月以内です。期限までに遺産分割が完了していない場合は、法定相続分に従って暫定的な申告を行い、後から修正申告や更正の請求によって税額を修正します。

著作財産権についても、税法のルールに従って相続税評価額を計算する必要があります。具体的な計算方法は、次の項目で解説します。

相続税申告の手続きは、税理士に任せるのが安心です。

著作財産権の相続税評価額は、以下の式によって計算します。

著作財産権の相続税評価額=年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

【年平均印税収入の額】
「年平均印税収入の額」とは、相続が発生した年の前年からさかのぼって3年間に得られた印税収入の年平均額をいいます。たとえば、著作権者が2026年に亡くなった場合は、2023年から2025年までの印税収入の総額を3で割った金額が、年平均印税収入の額となります。

また、算式中の「0.5」は、印税収入が将来にわたって必ずしも同じ水準で得られるとは限らないことを踏まえ、相続税評価において将来の不確実性を考慮するために用いられる係数です。

【評価倍率】
評価倍率とは、相続が発生した年以降も印税収入の額が年平均印税収入の額と同程度で継続するものと仮定したうえで、将来得られる印税収入を現在の価値に換算するための係数です。具体的には、著作物について精通している者の意見等を基に推算した印税収入期間に応じ、国税庁長官が通達で定める基準年利率による複利年金現価率が用いられます

【印税収入期間と基準年利率】
著作権の印税収入期間は、理論上は著作権の保護期間が満了するまで、すなわち原則として著作者が亡くなった年の翌年から数えて70年が経過するまでとされています。しかし、実際に70年間にわたって印税収入が継続するとは限らないため、実務上は著作物の種類や市場性などを踏まえ、有識者の意見等を基に、現実的な印税収入期間を推算します。

基準年利率は、市場金利を基に国税庁長官が通達によって定められており、印税収入期間が1年または2年の場合は短期、3~6年の場合は中期、7年以上の場合は長期に区分され、それぞれ相続が発生した月ごとに適用される利率が決まっています。たとえば、著作権者が2025年(令和7年)5月に亡くなり、その後の印税収入期間が10年と見込まれる場合、基準年利率は年1.50%となります。

国税庁が公表している複利表を参照すれば、この基準年利率と印税収入期間に対応する複利年金現価率(評価倍率)を確認できます。前述の例では、基準年利率1.50%、印税収入期間10年に対応する複利年金現価率は「9.222」です。

したがって、年平均印税収入の額が100万円である場合、著作財産権の相続税評価額は、100万円 × 0.5 × 9.222 = 461万1000円となります

著作財産権が存続している間は、複製権や公衆送信権などの各種権利を著作権者が専有します。著作財産権が相続された場合は、相続した人がこれらの権利を専有することになります。

著作財産権の存続期間(保護期間)は原則として、著作者が死亡した年の翌年から70年間です。ただし例外的に、以下のルールが設けられています。

例外が適用されるケース 著作財産権の保護期間
無名または変名の著作物 著作物が公表された年の翌年から70年間
団体名義の著作物 著作物が公表された年の翌年から70年間
映画の著作物 著作物が公表された年の翌年から70年間
ベルヌ条約の加盟国等を本国とする著作物 本国における著作権の保護期間が、日本の著作権法に基づく保護期間よりも短いときは、本国の保護期間が適用されます。

著作権の保護期間が終了すると、その著作物は「パブリック・ドメイン」として誰でも利用できるようになります。

著作物を相続することになった場合は、弁護士や税理士に相談することをおすすめします。

弁護士には、主に遺言執行や遺産分割の手続きについて相談できます。著作権などの遺産をトラブルなく分けるにはどうすればいいか、どのような手続きが必要になるのかなどについてアドバイスを受けられます。

特に著作権などの遺産を巡って、相続人間で対立が生じるおそれがある場合は、弁護士に依頼して間に入ってもらうのがよいでしょう。また、調停や審判に発展した場合でも、弁護士であれば一貫して対応を任せられる点がメリットです。

税理士には、主に相続税の計算や申告、相続税対策について相談できます。

著作権の相続税評価の方法は複雑ですが、税理士に相談すれば適切な方法で計算してもらえます。税額が少なくなるような遺産の分け方についてもアドバイスを受けられるほか、正式に依頼すれば相続税の申告も代行してもらえるので安心です。

Q. 著作権も相続放棄できる?

著作権についても相続放棄ができます。相続放棄をすれば、他の遺産や借金などと同じく、著作権も相続しなくなります。相続放棄をするなら、被相続人(故人)が亡くなったことを知った時から3カ月以内に手続きを行いましょう

Q. 著作者がペンネームを使用していた場合の相続はどうなる?

ペンネームで公表された著作物についても、実名の場合と同様に著作権が認められます。そのうち著作財産権は相続の対象となります。遺言書で相続する人が指定されていればその人が、そうでなければ遺産分割協議等で決まった人が著作財産権を相続します。

ペンネームの使用自体が相続に影響することはありません。

Q. 著作物が海外でも利用されている場合は、特別な手続きが必要?

日本での手続きは特に必要ありませんが、海外でも著作物に関する権利の保護を受けたい場合は、その地域における法に従って手続きをとるべきケースがあります。具体的な対応については、現地法に詳しい専門家に相談してください。

著作権には著作財産権と著作者人格権の2つが含まれており、そのうち著作財産権だけが相続の対象となります。

著作財産権を相続する際には、誰が相続するのか、相続税評価額はいくらか、相続税申告は必要かどうかなど、さまざまな事項について慎重な検討が求められます。弁護士や税理士のアドバイスを受けながら、スムーズに相続手続きを終えられるように対応を進めましょう。

(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)

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