目次

  1. 1. 不動産売却の金額は「売却方法」で変わる
    1. 1-1. 仲介業者に依頼する
    2. 1-2. 買取業者に直接買い取ってもらう
    3. 1-3. 不動産会社を通さない個人売買
  2. 2. 不動産売却の流れ
    1. 2-1. 売却方法を決める
    2. 2-2. 不動産の相場を調べる
    3. 2-3. 不動産会社を決める
    4. 2-4. 売却活動をする
    5. 2-5. 売買契約を結ぶ
    6. 2-6. 決済及び物件を引き渡す
    7. 2-7. 確定申告をする
  3. 3. 不動産売却にかかる期間
  4. 4. 不動産売却にかかる費用
    1. 4-1. 仲介手数料
    2. 4-2. 住宅ローン関連費用
    3. 4-3. 解体費用
    4. 4-4. 測量費用
  5. 5. 不動産売却をスムーズに、高く売却するコツ
    1. 5-1. 売却価格と時期を明確にする
    2. 5-2. 必要書類を準備しておく
    3. 5-3. 内覧準備と内覧対応を丁寧にする
    4. 5-4. より多くの不動産会社に相談する
  6. 6. 不動産売却をする際の注意点
    1. 6-1. 選択した媒介契約によっては売却時期が遅れる可能性も
    2. 6-2. 相続登記をしなければ売却できない
    3. 6-3. 相続不動産は3年以内に売却する
    4. 6-4. 再建築できない場合がある
    5. 6-5. 必ずしも「査定額=売却額」ではない
  7. 7. 不動産売却のよくある質問
  8. 8. まとめ  一括査定サービスを活用し、業者を比較しよう

不動産の「売却方法」は大きく分けて3つあります。それぞれの特徴について解説していきます。

一般的な方法は、売主の代わりに買主を探してくれる不動産会社(仲介業者)へ依頼する方法です。売主は不動産会社と、売買の仲介を依頼する媒介契約を締結します。

仲介業者に依頼するメリットは、高く売れる可能性があることです。デメリットとしては、仲介手数料が必要となること、また売却におよそ6カ月と時間を要することがあげられます。

不動産会社(買取業者)に直接買い取ってもらう方法もあります。

買取業者に依頼するメリットは、売却にかかる期間が短くなることです。早ければ数日から1週間程度、遅くても1カ月程度で売却が完了する場合が多いです。業者に相談すれば大まかなスケジュールを提示してくれるでしょう。

また直接買い取りの場合、仲介手数料がかからないのもメリットです。

デメリットは、売却金額が相場よりも安くなる可能性があることです。ただし、買取業者の得意エリアであったり、都心で人気のエリアの場合には仲介業者に依頼する場合と変わらない価格で買い取ってもらえたり、最近ではもっと高く買い取ってもらえる場合も出てきているそうです。

不動産会社を通さず、隣地や親せき、近所の知人らに直接声をかけて売却する方法もあります。

この場合は、売却期間も金額もケースバイケースです。買手となる方の事情により状況が大きく変化します。

三つの方法を紹介しましたが、売却完了までに時間をかけられず、早く売却したい場合には買取業者に直接買い取ってもらうことを第一に考え、じっくり時間をかけて売却できる場合には仲介業者に依頼するのがよいでしょう。

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不動産売却は次のような流れで進みます。

  • 売却方法を決める
  • 不動産の相場を調べる
  • 不動産会社を決める
  • 売却活動をする
  • 売買契約を結ぶ
  • 決済及び物件を引き渡す
  • 確定申告をする

前述の通り「売却方法」によって、不動産が売れる時期や金額は変わります。最優先すべき条件を決めて、自分に合った売却方法を選択することをおすすめします。

どれくらいの売却金額になるのかを知るためには、相場を知ることが重要となってきます。

不動産の相場を知るためには、国土交通省の「土地総合情報システム」を活用するとよいでしょう。近隣の不動産がどのくらいの金額で取引されているかなどを調べることができます。

サイト内の「不動産取引価格情報検索」で、時期・種類・地域を選ぶと、不動産取引価格情報を検索することが出来ます。取引時期が近く、類似した条件の事例を確認することによりその不動産の相場を知ることができます。

また、インターネットの一括査定サイトで複数の不動産会社に価格査定を依頼することにより、実際の相場感を確かめることができます。無料で利用できますので有効に活用してみましょう。

不動産の売却を仲介業者に依頼する場合、次のいずれかの契約を業者と結ぶことになります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

それぞれについて説明します。

【専属専任媒介契約】
仲介業者と専属専任媒介契約を結ぶと、依頼者(売主)が、ほかの業者に重複して仲介依頼できません。また、売主が自ら探してきた買主と契約する「自己発見取引」を行う際も、契約した業者が仲介することになります。つまり、取引は依頼した1社の業者を介してのみ行える契約です。

【専任媒介契約】
専任媒介契約も専属専任媒介契約と同様、売主が、ほかの業者に重複して仲介依頼できません。ただし、自己発見取引の際には、契約した業者に仲介してもらう必要はありません。また、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告義務がありますが、専任媒介契約では2週間に1回以上となります。

【一般媒介契約】
一般媒介契約では、複数の仲介業者に仲介を依頼することができます。同時に複数社との契約が可能なため、買い手が見つかる可能性が高くなる点がメリットです。また、一般媒介契約でも自己発見取引が可能なため、売却の自由度が高い点も特徴です。

ただし、デメリットとしてオンライン物件情報システム「レインズ」への登録義務がないため、広く購入希望者を探せない可能性があります。

また、1社が先に買主を見つけてしまった場合、ほかの業者は仲介手数料を得られず、かけた広告費も回収できないリスクがあるため、積極的に販売活動をしてくれない恐れもあります。

どの種類の媒介契約を結ぶにせよ、高く売却するためには不動産会社選びが極めて重要ですので、次のような点をチェックしましょう。

  • そのエリアに詳しく、エリアにおける売買実績が豊富かどうか
  • 営業担当者のレスポンスが早く、丁寧かどうか
  • 多くの成約取引事例があり査定の精度が高いかどうか

選定した仲介業者と話し合い、売出価格や売却可能価格を決め、不動産ポータルサイト掲載・チラシ・DMなどの販売活動を業者にしてもらいます。また、隣地の住民に物件売買の情報を提示することで買主となるケースもあります。

買主が決まったら、売買契約を締結します。価格交渉や決済時期の交渉がある場合があるので、どこまで条件を妥協できるかを事前に考えておくことが大切となります。売出価格を少し高めに設定しておくのも手段の一つとなります。

売買契約が締結できたら、決済及び物件の引き渡しの準備をします。決済と同時に、抵当権抹消登記や所有権移転登記が必要です。登記のプロである司法書士に依頼するとよいでしょう。

また、このタイミングで鍵や竣工図面や検査済証等の書類の引き渡しも必要となります。

不動産売却で利益がでた場合(譲渡所得=譲渡収入-譲渡費用-取得費>0の場合)は、ほかの所得と合算して売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をする必要があります。

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不動産売却にかかる期間については、媒介契約を締結するのか買取なのかで大きく期間が変わります。

仲介業者との媒介契約であれば、次のような流れで進み、買主への引き渡しまで6カ月程度かかります。

  1. 不動産会社への査定依頼・契約 1カ月
  2. 販売活動 1〜3カ月
  3. 引き渡し 1カ月

ただし、駅近物件であったり、都心の人気エリアの物件だったりする場合には、より短い期間で売却できる傾向が強くなります。

一方、買取業者による買取の場合であれば、早ければ数日から1カ月程度で売却できるケースもあります。

不動産売却にかかる必要について解説します。

不動産会社に仲介を依頼した場合、仲介手数料が発生します。

不動産の売買価格(税抜)に応じ、以下のように仲介手数料の上限が決まっています。
(1)200万円以下まで=5%
(2)200万円超400万円未満まで=4%
(3)400万円超=3%

例えば、2,000万円の物件を売却する際の不動産仲介手数料は、
(1)200万までの部分:200万円 × 5% = 10万円
(2)200万円超 400万円までの部分:200万円 × 4% = 8万円
(3)400万円超 2,000万円までの部分:1,600万円 × 3% = 48万円
(1)+(2)+(3) = 66万円

これに消費税分(10%)を加算し「66万円 × 1.1 =72万6,000円」、これが不動産仲介手数料(税込)の上限となります。

また2018年1月1日に報酬告示改正が行われ、400万円以下の不動産に関しては実費として「現地調査等に要する費用」を不動産仲介業者が請求できることとなり、不動産仲介手数料の上限は18万円(税別)となりました(売却時に支払う仲介手数料のみ)。

住宅ローン返済中の不動産を売却する際には、住宅ローン関連費用として、繰り上げ一括返済手数料や抵当権抹消費用等が必要となります。

売買契約書において、売主が更地化して売却する場合は、建物の解体費用が必要となります。一軒家の解体費用は、構造によって異なり、おおむね以下のようになっています。

木造 :3~5万円/坪
鉄骨造:5~7万円/坪
RC(鉄筋コンクリート)造:6~8万円/坪

これらの解体費用は、建物本体の廃棄物運搬処理費用や解体後の整地費用を含んだおおよその額です。資材や立地・建物の階数・形状によっても費用は異なってきます。

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隣地との境界が確定していない場合は、買主から求められ測量が必要となる場合があります。費用については、売主・買主の折半とする場合が多いようです。

ここでは、不動産売却をスムーズに、高く売却する4つのコツを解説します。

希望する売却価格と時期を明確にすることで、それを実現するための売却方法や対応可能な不動産会社が絞られ、選定がスムーズになってきます。

売却にあたって必要書類を事前に準備しておけば、売却までの時間を短縮することができます。必要書類は、以下の8点です。

  • 印鑑証明書(発行3カ月以内のもの)
  • 住民票の写し(発行3カ月以内のもの)
  • 実印
  • 公的な身分証明書(運転免許証など顔写真があればよい)
  • 登記済権利書・登記識別情報
  • 建築確認済証・検査済証
  • 固定資産税評価証明書
  • 地積測量図・境界確定書

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売却をスムーズに進めるには、買主に気に入ってもらえるかが鍵です。ハウスクリーニングをしたり、ステージングをしたりする方法も有効です。また、最近の傾向としては、室内の動画撮影をしてもらい、SNSから集客する等も内覧につながる有効な手段となっています。

最終的に売主仲介会社として売買契約手続きをするのは1つの仲介業者となることが多いのですが、まずは、より多くの不動産会社に相談しましょう。

業者にも、物件種別やエリアなどの得意分野があるため、複数の不動産会社に価格査定を依頼しましょう。査定内容に加え、業者の対応か積極的かどうかも比較した上で、業者を選ぶとよいです。

インターネットの一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社から査定が送られてくるため便利です。

選択した媒介契約によっては売買時期が遅れてしまう可能性もあります。

例えば、仲介業者が1社のみとなる「専属専任媒介契約」は、販売活動を活発にしてもらえるケースもありますが、一社しか契約できないので、ライバルがいない状況となります。

この状況では競争が生まれず、仲介業者が売主と買主の双方から手数料を受領する「両手取引」ができる場合しか売主に報告が行われないリスクがあります。したがって、どの仲介会社を選ぶか、どの媒介契約を選ぶかが重要となってきます。

相続した不動産を売却する場合、相続登記しないと売却できません。

相続登記とは、不動産を相続した人が「相続を原因とする所有権移転登記」を申請することで、被相続人(以下「亡くなった人」)が所有していた不動産の名義を相続人の名義へ変更することです。

現在は相続登記を申請するかどうかは相続人の任意とされていますが、2024年4月1日から義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

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不動産を相続した際、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに、その不動産を売却すると譲渡所得税が節税になる特例があります。具体的には相続で取得した財産の売却利益を計算する際に、取得費に相続税の一定金額を加算できるという特例で、「相続税の取得日加算」と呼ばれます。

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土地の立地・形状・面積、接道条件、建物の建築時期等によっては、現時点の建築基準法等を満たせず、再建築できないケースも出てきます。

再建築できない場合には、買手が限定的となるため、検討が長くなり、売却完了まで時間がかかったり、価格が低くなったりする場合があります。

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査定額は、査定時点において売却できそうな金額であって、実際に売却できる金額と一致するとは限りません。仲介業者によっては媒介契約を結ぼうとするために、査定額を無理やり高くして、媒介契約を結ぼうとするケースもあるので注意が必要となります。

そういった悪徳会社を見極めるためにも、一括査定サイトを活用し、複数の不動産会社に査定を依頼するべきです。

Q.住宅ローン返済中でも不動産売却はできる?

住宅ローン返済中でも、金融機関の了承があれば売却可能です。住宅ローンより売却金額が低ければ、基本的にローン全額を一括返済することになるので注意が必要です。

Q.認知症の親の不動産を売ることはできる?

認知症で親に判断能力がない状態であれば売却は難しいです。成年後見制度を活用することで、売却できるようになるケースも稀にありますが、不動産売却は財産処分に該当するため、売却できないケースが多いです。

基本的には、認知症になる前、もしくは、相続手続き完了後に売却することとなります。

Q.家具や家電付のままでも売却できる?

売主・買主が了承すれば売却できます。ただし、内覧時の印象が悪くなって売主が見つかるまで時間がかかったり、売却金額から処分費用分を差し引いたりしなければならないケースもあります。

不動産の売却方法や不動産売却の流れ、不動産売却にかかる期間・費用、スムーズに高く売却するコツ、不動産売却をする際の注意点をみてきました。

一括査定サイトを活用し、複数の不動産会社を比較しつつ、自身に合った売却方法・不動産会社を選定し、満足できる不動産売却に導きましょう。

(記事は2024年2月1日時点の情報に基づいています)

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