目次

  1. 1. 空き家を売却する方法 それぞれの特徴と適したシーン
    1. 1-1. 空き家をそのまま売却する
    2. 1-2. 空き家をリフォームして売却する
    3. 1-3. 空き家を解体し、更地にして売却する
    4. 1-4. 買取業者へ売却する
    5. 1-5. 不動産のマッチングサイトで売却する
    6. 1-6. 個人間で売買する
  2. 2. 空き家の売却時にかかる税金や費用
    1. 2-1. 税金(譲渡所得税、登録免許税、印紙税)
    2. 2-2. 仲介手数料
    3. 2-3. リフォーム費用
    4. 2-4. 解体費用
  3. 3. 空き家の売却時にかかる税金や費用を減らす方法
    1. 3-1. 特例や控除を活用する
    2. 3-2. 不動産売買契約書を保管する
    3. 3-3. 解体費用は行政の補助金を活用する
  4. 4. 空き家を売却するときの注意点
    1. 4-1. 名義変更を忘れずにする
    2. 4-2. 更地にするタイミングを見誤らないようにする
    3. 4-3. 売却期間余裕を持つ
  5. 5. 空き家の売却 相談から引き渡しまでの大まかな流れ
  6. 6. 空き家の売却についてよくある質問
  7. 7. 空き家売却は不動産会社選びが成功の鍵

空き家を売却する方法には、以下の6つの方法があります。

  • 空き家をそのまま売却する
  • 空き家をリフォームして売却する
  • 空き家を解体し、更地にして売却する
  • 買取業者へ売却する
  • 不動産のマッチングサイトで売却する
  • 個人間で売買する

どの方法が良いのか、メリット・デメリット、適した場面を把握して選択することが大切です。それぞれについて、詳しく解説をします。

空き家の売却方法のメリット・デメリットの一覧表
空き家の売却方法のメリット・デメリットの一覧表

空き家をそのまま住宅として売却する場合には、二つの方法があります。

一つは「中古住宅として売却をする方法」、もう一つは「古家付き土地として売却をする方法」です。

①中古住宅として売却をする方法
中古住宅としてそのまま売却するメリットは、修繕費や手間をかけずに売却できることです。また、即時入居可能なため急な引っ越しに対応ができ、実際の物件を見て購入検討をしてもらうことができます。

デメリットは、建物の老朽化や設備の機能低下がある場合、購入後にリフォームや修繕の費用がかかるため、売却価格が下がる可能性があります。また、相続後一度も住んでいない物件をそのまま売却する場合は、建物の状態を把握しづらいため、不備や不良などがあった場合に売り主が責任を負う「契約不適合責任」について注意が必要です。

②古家付き土地として売却
古家付き土地とは経済的な価値がほぼない古家が建っている状態の土地のことを言います。老朽化が進んだ空き家の場合は古家付き土地として売却ができます。

メリットは、建物のリフォームや解体費用の負担がなく、そのままの状態で迅速な売却をする点です。

デメリットは、古い建物が付いている土地は、建物のない同じ広さの土地に比べて売却価格が低いことがあります。

リフォーム後に売却するメリットは、壁紙やキッチンなどが新品となり空き家の魅力が高まることです。内見の際は、物件の第一印象が良いイメージとなります。リフォーム費用を上乗せして売却価格を設定することもできます。

デメリットは、リフォーム費用や工期がかかることです。工期中は売却活動ができず、売却のタイミングを逃してしまう可能性があります。また、リフォーム内容が買主の希望と一致しない場合には購入に至らない、リフォーム費用を上乗せした価格では売却できない、といったことがあります。

空き家を解体し、更地にして売却するメリットは、更地になることで売主は建物の維持管理費用がなくなることです。また、新築住宅の建築を希望する人、他の利用方法を検討している人など広く購入者にアプローチでき早期に売却することが可能です。

デメリットは、売主が更地にする解体費用を負担する必要があること、固定資産税が高くなること、土地の条件により同等の住宅が建設できない場合があることです。

空き家を不動産買取業者に売却するメリットは、コストと手間をかけずに迅速かつスムーズな売却ができることです。不動産買取業者は即金での取引が一般的であり、仲介手数料がかからないため、売主は費用を節約できます。

また、業者からの法的手続きのサポートも期待でき、それによって取引がスムーズに進められるようになるだけでなく、契約不適合責任が免除されるメリットもあります。特に急いで現金化したい場合や確実に売りたい場合に、不動産買取業者への売却が有益です。

デメリットは、買取価格が市場価格よりも低くなることです。

インターネット上で売主自らが物件情報や価格設定をして、個人間売買ができるサイトで空き家を売却する方法です。一例として、全国の自治体の「空き家バンク」があります(参照:空き家・空き地バンク総合情報ページ丨国土交通省)。

メリットは、空き家を売りたいが値段が付かない、不動産会社が扱ってくれない、といった場合に売主自らが買主を見つけるチャンスがあることです。また、掲載料金や仲介手数料が無料なので、費用を抑えられます。

デメリットとして、買主への内見や問い合わせへの対応、契約書の作成などすべてご自身で行うので、専門知識の不足による法的リスク、作業に手間を取られる、売却まで時間がかかる、といったことが挙げられます。

空き家の個人間売買のメリットは、売主と買主が直接交渉しながら行うため、不動産の売却価格が市場価格にとらわれにくい、お互いの要望や条件に対する合意形成が円満に進みやすい、などが挙げられます。また、仲介手数料が発生しないため、売主は売却にかかる手数料の節約ができます。

デメリットは市場価格の正確な調査が難しく、公正な査定が難しいことが挙げられます。専門知識の不足による法的リスクや契約書の不備が発生する可能性もあります。

空き家を売却するときには、税金や費用が発生します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

空き家の売却に関連する税金として、主なものには「譲渡所得税」「登録免許税」「印紙税」があります。

①譲渡所得税
譲渡所得税は、空き家を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税がかかります。※2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税とあわせて申告・納付します。

課税所得税額は次のように計算します。

短期譲渡所得 = 課税短期譲渡所得金額 × 税率39%(所得税30%、住民税9%)
長期譲渡所得 = 課税長期譲渡所得金額 × 20%(所得税30%、住民税5%)

なお、短期譲渡所得とは所有期間が5年以内の不動産を譲渡したときの所得では、長期譲渡所得は所有期間が5年を超える場合の所得を意味します。

②登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更時にかかる税金です。空き家相続後に所有者登記がされていない場合は、手続きをしなければいけません。

相続の移転登記の場合の税金は次のように計算します。

登録免許税= 固定資産税評価額 × 0.4%

③印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書に必要な印紙代です。契約書の売買金額によって必要な印紙代が異なり、取引に応じて適切な金額の印紙を使用する必要があります。詳しくは国税庁の「第1号文書」の欄をご覧ください(参照:No.7140 印紙税額の一覧表〈その1〉第1号文書から第4号文書まで丨国税庁)。

なお、2024年3月31日までに作成された売買契約書には、軽減措置が適用されます。

不動産取引においては、不動産会社に対して仲介手数料が発生します。これは、不動産会社が取引の仲介を行った際の報酬であり、売主と買主双方が負担することが一般的です。

仲介手数料の簡易的な計算方法として「物件価格×3%+6万円」があります。例えば、物件価格が1000万円の場合、計算は以下の通りです。

仲介手数料 = 1000万円 × 3% + 6万円 = 36万円

したがって、この取引では不動産会社に対して36万円(税別)の仲介手数料が支払われることになります。

リフォーム費用は内装の修繕、外装、床面積、工期などの諸条件により費用が変わります。

住宅リフォーム推進協議会がまとめた、住宅リフォームに関する消費者実態調査によると、一戸建ての平均費用は471.6万円です。

空き家の解体費用は、一般的な住宅街にある空き家、老朽化が進んだ空き家、狭い路地奥にある空き家、実施する季節や天候など、様々な要因によって費用が異なります。

NPO法人空き家・空地管理センター「解体費用について」によると、およそ以下のような費用となっています。

  • 木造住宅:4万円/1坪
  • 鉄骨造   :6万円/1坪
  • 鉄筋コンクリート造:1坪7万円/1坪

地方の事例ですが、一戸建て(木造2階建て50坪)で、庭に大きな石と背の高い木があるお宅を更地にする見積もりは300万円ほどでした。庭木は伐根までする場合は費用が高額になります。

解体費用の見積もりは、予想外の追加費用が発生することも想定し、少し多めにしておくと良いでしょう。

【関連】実家の解体費用はいくらかかる? 費用の相場と安く抑えるポイントを解説

空き家を売るときには税金や費用がかかりますが、これらを減らす方法がいくつかあります。知らないうちに損をしないように、ぜひ押さえておくことをおすすめします。

相続した空き家を売却して利益が出た場合、譲渡所得税の支払いがあります。

しかし、その空き家が「被相続人居住用家屋」であるなど一定の要件を満たす場合、「相続空き家の3000万円特別控除」が適用され税金が安くなります。国税庁HPで最新情報を確認しましょう。

また、空き家を解体してから更地にして売却する際であっても、1年以内に売却の契約を買主と結ぶなど一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3000万円の特別控除の特例を受けられます。

【関連】空き家特例とは 売却益から3000万円控除が可能! 適用要件や必要書類を解説

譲渡所得税の計算の際、取得費用を売買契約書や領収書で証明できると、譲渡所得税の節税になります。譲渡所得額の基本的な計算式は次のとおりです。

課税譲渡所得金額 = 収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額

「取得費」が証明できない場合は、売却した金額の5%相当額が取得費となります。

例えば、1000万円で売却の場合(長期譲渡所得)で、取得費用の有無によって税金は次のようになります。

・取得費の証明がある場合(取得費:1500万円)
 1000万円 -(1500万円)= 課税譲渡所得 0万円 × 20.315% = 0.0万円

・取得費の証明がない場合(取得費:1000万円〈売却金額〉 × 5% = 50万円)
 1,000万円 -(50万円)= 課税譲渡所得 950万円 × 20.315% = 193.0万円

解体費用は、行政の補助金を活用することで費用負担を減らせることがあります。

多く場合、手続きや対象要件があり、助成率や上限があり「解体工事費の○分の1、上限○○万円」、このような形で案内されています。空き家がある行政のホームページで補助額の確認をしましょう。

空き家の売却をするときは、税金や費用以外にも次の点に注意しましょう。

相続後、対象の空き家の名義変更の登記がずっとされずに、すでに亡くなった人が所有者のままになっていることがあります。そのような場合は、買主からすると誰が売主なのかわからないため、空き家の売却ができません。なお、相続した不動産の名義変更は2023年4月から義務化されます。

固定資産税は毎年1月1日の状態で判断されるため、更地にするタイミングとしては、1月1日を過ぎてから取り壊しがベストタイミングです。取り壊し後1年以内に売却できれば、固定資産税が安いまま売却することができます。

不動産を売却するためには、さまざまなステップを踏むための時間が必要です。緊急の売却希望は不動産の価格に影響します。売却期間に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

空き家を売却するときの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 不動産会社に売却の相談をする
  2. 不動産会社による物件調査
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 売却活動を開始する
  5. 買主と売買契約を結ぶ
  6. 物件の引渡し・決済

六つのステップを進める目安として、不動産会社に売却の相談をするのに1カ月程度、不動産会社と媒介契約を結び販売活動を開始、そして買主と売買契約を結ぶまでに少なくとも3カ月から6カ月程度、その後不動産の引渡しを完了するのに1カ月から3カ月程度かかります。

Q.空き家売却のメリットは?

空き家売却のメリットは固定資産税の納付や、建物維持管理費用の負担がなくなり、経済的・心理的負担が減ることです。筆者は多くの空き家売却のサポートをしていますが、実際、売主の人から「売ってよかった」という安堵の声をよく聞いています。

Q. 空き家売却に向けて自分でできる工夫は?

空き家の中の不用品処分です。荷物はできるだけ自分で処分すると、処分費用が節約できます。自治体の指定に従って家庭ごみとして分別処分しましょう。

Q. 空き家売却の相談は誰にすればいい?探すときのコツは?

空き家の売却が得意な不動産会社または不動産の専門家に相談をしましょう。空き家売却が得意か判断する方法はさまざまですが、まずはWebサイトを見て、売却実績が豊富か見ることをおすすめします。

Q. 売却がどうしてもうまくいかない場合は?

売却がうまくいかない理由を正確に把握してみましょう。空き家の場合、条件や立地によって売却までに多くの時間がかかる場合があります。また、一つの不動産会社に固執せず、幅広く相談をしてみるのも一つです。

【関連】特定空き家とは 固定資産税が大幅増? 認定基準から対処方法までわかりやすく解説

Q. 空き家の売却を検討するタイミングはいつ?

空き家になったときがベストタイミングです。ご自身が住まない、活用する予定もないといった場合でも、税金や維持管理費用などがかかります。負担になる前に売却を検討し始めましょう。

相続した空き家の売却手段、売却時にかかる税金や費用などの発生、その費用を減らす方法をお伝えしました。

空き家売却の成功は、相談先となる不動産会社選びがその後の鍵を握ると言っても過言ではありません。どの不動産会社に依頼するのか、複数の不動産会社を比較し信頼のおける不動産会社を見つけることが売却成功への一歩です。

(記事は2023年12月1日時点の情報に基づいています)

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