土地活用の相談はどこにすればいい? 業者や専門家の選び方、注意点を解説
相続した土地があるけれど、どのように活用していったらよいか分からないと思っている方もいらっしゃるでしょう。 こうした土地活用の方法は、どこに相談したらよいのでしょうか? 土地活用について相談先や相談する際の注意点などを、宅建士の資格を持つライターが解説します。
相続した土地があるけれど、どのように活用していったらよいか分からないと思っている方もいらっしゃるでしょう。 こうした土地活用の方法は、どこに相談したらよいのでしょうか? 土地活用について相談先や相談する際の注意点などを、宅建士の資格を持つライターが解説します。
目次
相続した土地の活用を考えた場合、設計プランから建築、竣工後の管理、メンテナンス、資金繰り、税金対策など、長期にわたってさまざまな専門家の力を借りることになります。以下のような相談先があります。
特に、アパートやマンションなどの建築には大きな費用がかかるため、慎重な業者選びが求められることになります。
土地に関することは、まず土地や建物の専門家である不動産会社へ相談してみることをおすすめします。アパート・マンション経営といった自分が思い描く土地活用プランだけでなく、立地などの状況によっては売却や買取といった提案を受ける可能性もあります。なかには生前対策や相続トラブルについてコンサルティングをしてくれる不動産会社もあります。
ただ、一口に不動産会社といっても、さまざまな種類と特徴がありますので、以下で説明します。
比較的大きな土地を相続したというケースでは、マンションや商業施設等による土地活用が検討できる建設会社への相談がおすすめです。小さな規模の土地活用の相談には対応してくれない可能性もあるため注意しましょう。
一戸建て賃貸や小・中規模のアパート・マンション等での土地活用を検討しているのであれば、総合ハウスメーカーへ相談してみるとよいでしょう。総合ハウスメーカーであれば、建物の「設計」「施工」だけでなく、工事が完了した後の「管理」や「メンテナンス」まですべてに対応してくれるため、手間がかかりません。
ハウスメーカーと同じく一戸建て賃貸や小・中規模のアパート・マンション等での土地活用の際には、工務店へ相談してもよいでしょう。地域に密着しているため、その地域のニーズをよく知っています。また、ハウスメーカーとは違い商品が規格化されていないため、設計にも柔軟に対応してくれます。
なお、ハウスメーカーは広告に大きな費用をかけているといった理由から、建築費が高くなりやすいため、工務店の方が安く抑えられる可能性があります。
ただし、ハウスメーカーは同じ規格の建物を大量に建設することで、材料費など安く抑えています。このため、規格商品に満足できるのであれば、ハウスメーカーの方がお得なケースもあるでしょう。
さらに、ハウスメーカーはグループ内で不動産会社や管理会社もあることが多いのと比べ、工務店の場合はそれぞれ個別に相談しに行かなければならず、竣工後の管理・メンテナンス先も自分で探す必要があります。
土地が狭かったり、形状が悪かったりすると、建物のサイズなどに規格があるハウスメーカーでは対応できない場合があります。そんなときに柔軟に対応してくれる可能性があるのが、設計会社です。
ただし、設計会社が担うのは設計だけなので、工務店などに建物を建ててもらう必要があります。竣工後の管理会社についても自分で手配することが必要です。
投資用のアパートなどの物件の建築を専門に扱っている業者もあります。中には建物を販売するだけでなく、管理まで担ってくれる専門業者もあります。利回りや空室対策など投資家目線で建築、提案してくれるのが特徴です。
土地活用の方法が決まったら次に考えるべきことは、お金です。資金繰りや融資、土地活用の運営にかかわる税金の問題については、ファイナンシャル・プランナーや税理士、金融機関に相談しましょう。不動産業者に相談する際に、ある程度資金面での計画がないと業者の言いなりになってしまうこともあります。
土地活用する際には、初期費用にどのくらいの費用がかかり、いくらの利益を見込めるのかシビアに計画を立てる必要があります。
そのためにはお金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのがおすすめです。企業に属さない独立系のファイナンシャル・プランナーであれば、中立的な立場からアドバイスをもらうことができるでしょう。
なお、総合ハウスメーカーや金融機関には、企業内にFPがいる場合もあります。ただし、この場合は中立的な立場からのアドバイスかどうなのか、相談者が見極める必要があります。
多くの場合、アパートなどの建築費はアパートローンでまかなうことになるため、金融機関に融資相談に行く必要があります。普段付き合いのある金融機関や、アパートローンに積極的な金融機関に相談にいきましょう。
また不動産会社から、提携している金融機関を紹介され、有利な金利で借りられるケースもあります。
まず、活用しようとしてる土地が相続したものであれば、その相続税対策が必要となります。また土地活用は、毎年の税金がどのくらいかかるのか想定した上で計画を進めることが大切です。土地活用の規模が大きくなればなるほど、その対策は必要になります。FPや金融機関に相談するより、さらに専門的なアドバイスを受けることができるでしょう。
土地活用では、建築法規などの法律の問題をクリアしなければならないこともあります。法的な問題はやはり弁護士や司法書士にサポートを依頼するのがおすすめです。
相続登記(不動産の名義変更)の手続きに難しさを感じていたら司法書士に、相続時に権利関係で問題を抱えて法的なトラブルに発展しそうなケースは弁護士に相談しましょう。
土地活用にもいろいろな方法があり、どのような土地活用を目的とするかで相談先が変わることもあります。ここでは、土地活用の例とおすすめとなる業者を詳しくご紹介していきます。
マンション・アパート経営であれば、ハウスメーカーや工務店、建設会社、投資物件の専門会社などに相談するとよいでしょう。
小・中規模のものは工務店やハウスメーカー、大規模なものは建設会社やゼネコンなどに相談するのがおすすめです。
駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングがあります。この内、月極駐車場であれば、不動産会社に管理を任せるのが一般的です。
一方、コインパーキングの場合は、設備の問題などもあるため、コインパーキングの専門業者に相談するとよいでしょう。
高齢者施設であれば、工務店やハウスメーカー、建設会社に相談するのが一般的です。
ただ、高齢者施設の建設には特殊な設備が必要であったり、法規制をクリアする必要があったりするため、過去に高齢者施設を建てた実績のある会社を選ぶことをおすすめします。
太陽光発電による土地活用は、不動産会社や太陽光発電の専門業者に相談しましょう。
業者によって取り扱いできるメーカーの種類に違いがあったり、同じ設備でも価格が違ったりするため、複数の業者で相見積もりを取ることをおすすめします。地方の土地活用の例としては、使わなくなった農地に太陽光発電の設備を設置して活用するケースもあります。
トランクルーム経営であれば、不動産会社やトランクルームの専門業者へ相談します。こちらも見積もりを取るようにしましょう。トランクルームの専門業者のサイトでオーナーを募集していることもあります。
土地を貸したり、売却したりすることを検討しているのであれば、不動産会社へ相談しましょう。不動産会社は土地を扱う業者ということもあり、賃貸や売却を含めて総合的に相談することにも向いています。
ただし、不動産会社を介して専門業者を紹介してもらうといったケースでは、それぞれの専門業者に直接相談するケースと比べると別途手数料が加算されている可能性もあるため注意しましょう。
最後に、専門家に相談する上での注意点を紹介していきます。
土地活用について相談するにあたって、土地について何も分からない状態で相談に行っても、具体的なアドバイスを受けることは難しいでしょう。
周辺環境について自分で調べたり、土地の情報について登記簿謄本を取得したりしておくとスムーズに相談できます。
また、どのくらいまで費用をかけてよいのか、収益はどのくらいを希望するのかなどある程度考えをまとめておくことも大切です。
権利書や登記簿謄本、測量図など土地に関する書類は、一通り準備しておくことをおすすめします。
あらかじめ、相談に行く前に必要な書類について確認しておくとよいでしょう。登記簿謄本や測量図などは、法務局に行くと簡単に取得できます。
基本的には、不動産会社やハウスメーカー、専門業者などへの相談はほとんどの場合無料です。税理士や弁護士についても、初回は無料で相談に応じてくれる事務所が増えていますが、有料の事務所もありますので事前にチェックして下さい。
先述の通り、土地活用についてプランの提案を受ける際には、同じ内容でも業者によって金額が違うこともあるため、複数の業者への相談をおすすめします。
最終的にはどのようにして業者を決めるとよいのでしょうか。次のような点を押さえておくことをおすすめします。
土地活用の活用法が決まったら、その業者の実績を確認することが大切です。施工数や入居率といった数字を確認するほか、その業者が施工した物件を実際に見学してみるとよいでしょう。実物を見ることで、建物のデザインや管理の質を実感できます。
契約した業者は少なくとも土地活用のための建物が完成するまでの長い付き合いとなります。
場合によっては、完成後の管理を任せることもあるでしょう。そのことを前提に、長く付き合っていく上で気持ちのよい対応をしてくれる会社(担当者)かどうか、ということは重要なポイントとなります。
プランの提案を受けるときにはシミュレーションの提示も受けますが、これはあくまでもシミュレーションです。
実際に運営してみるとその通りに行かないことも、残念ながらよくあります。そうしたことを防ぐためにも、現実を見据えた、納得感のある収支計画(シミュレーション)になっているのかチェックしましょう。具体的には、「空室率を5%程度で見込んでいるか」「家賃下落や修繕費を想定しているか」「経費や税金は計算に入っているか」などを確認します。
自分で判断がつかない場合は、中立的なファイナンシャル・プランナーや税理士にチェックしてもらう方法もあります。
土地活用の相談先にはいくつかあり、相談の目的や相談の段階(お金の相談なのか、実際に土地活用の内容を決める際の相談なのか)によっておすすめの相談先は変わります。
不動産会社やグループ内に多数のグループ会社を持つハウスメーカーに相談すれば、そこだけで済むこともあります。ただし、同じ内容でも見積もりの内容が変わることもあるため、できる限り複数の相談先に相談することが大切です。
当サイト「相続会議」の土地活用プラン一括請求サービスを利用すれば、朝日新聞が提携する業者に一括でプラン請求できるので、活用を検討してみて下さい。
(記事は2023年2月1日時点の情報に基づいています)