成人年齢引き下げの影響 18歳以上で贈与税の特例が可能に
前回、朝日さん一家は、成人年齢の引き下げが相続に与える影響を学びました。今回は、贈与税での変更点を教えてもらいます。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士法人山田&パートナーズ、税理士清三津裕三さんです。
前回、朝日さん一家は、成人年齢の引き下げが相続に与える影響を学びました。今回は、贈与税での変更点を教えてもらいます。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士法人山田&パートナーズ、税理士清三津裕三さんです。
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成人年齢の引き下げは、生前贈与にも影響を与えるのです。お二人は、生前贈与について覚えていますか。
亡くなる前に、子どもたちに財産を引き継ぐことですよね。相続税の軽減効果も期待できたはず。
そうです。今回は、生前贈与に課税される贈与税がテーマです。成人年齢の引き下げがもたらす影響を説明しましょう。
贈与税といっても、計算方法はさまざまでしたね。
代表的なのは、1年間に贈与する財産の合計額が110万円を超えると課税される「暦年課税制度」ではないでしょうか。この税率には「特例税率」と「一般税率」の二つがあります。このうち、お得なのは特例税率ですが、今年3月31日までは、父母と祖父母からの贈与で受贈者が20歳以上の子や孫でないと活用できませんでした。しかし、成人年齢の引き下げで、4月1日から、18歳以上でも使えるようになりました。
それは、大きな変更だ。でも、生前贈与には、ほかにもいろいろな制度があったはず。そっちにも使えるんですか。
(1) 相続時精算課税制度 (2) 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置――といった制度がありますね。これらも、受贈者は「20歳以上」とされてきましたが、「18歳以上」に変わりました。
住宅取得資金に関わる贈与の特例は助かるだろうな。若いうちは収入も低いかもしれないから、とっても助かると思う。でも、財産を贈与する相手となると、だいたい、僕みたいな30代以上になるんじゃないかな。
確かに、そういったケースは多そうですね。でも、贈与の対象は子どもだけではなく、孫を含むことがありますよね。
そうか。孫が18歳以上であれば、これまでよりも前倒しでの贈与が可能になりますね。
成人年齢引き下げ前の今年3月31日までは、前倒しで18歳や19歳の孫に財産を渡しても贈与税は高かったのです。しかし、4月1日からであれば、それまでより2年早く贈与税を低く抑えられるようになりました。
2年の前倒しは大きな変更に感じる。
もしも、この制度を孫に使おうとする場合は、18歳になった翌年から贈与を開始してください。
まだ経済力が心もとない若い世代にとって、親の財産を少しずつでも譲ってもらえるのは、生活の安心にもつながるね。
でも、生前贈与の活用には注意も必要です。制度が複雑で、どれを活用すれば有利になるのかが異なり、贈る側、受け取る側それぞれの人生設計も考えての判断になります。失敗なく活用するためには、一度、税理士に相談してみるのがいいでしょう。
せっかく活用しても、失敗するのは避けたいな。まずは、相談に行くのがよさそうだ。
・これまでより2年前倒しで贈与税の特例を使える
・18歳になった翌年から贈与を開始する
(今回のソーゾク博士=税理士法人山田&パートナーズ、税理士清三津裕三さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年11月1日時点での情報に基づきます)
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