贈与税はどう納付したら良い? 納付書の書き方から納付方法までを解説
贈与税は他の税金よりもなじみの薄い税金かもしれません。財産をもらったら、いつまでにどこで税金を納付したら良いのでしょうか。また、納付書はどこでもらえるのでしょうか。納付書がない場合の納付方法も含め、税理士が贈与税の基礎知識を解説します。
贈与税は他の税金よりもなじみの薄い税金かもしれません。財産をもらったら、いつまでにどこで税金を納付したら良いのでしょうか。また、納付書はどこでもらえるのでしょうか。納付書がない場合の納付方法も含め、税理士が贈与税の基礎知識を解説します。
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贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人(以下「受贈者」)が財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までに手続きをすることになっています。
贈与税の申告書は、郵便もしくは信書便による送付、または税務署の時間外収受箱へ投函するほかに、インターネットなどを使って電子的に手続きが行えるe-taxを利用して提出することができます。
ただし、申告書を提出したからといって贈与税の納付が完了したわけではありません。納付については後述しますが、申告書の提出とは別に納付手続きをする必要があります。
贈与税は現金に納付書を添えて受贈者の住んでいる地域の税務署か銀行、または郵便局などの金融機関で納付することができます。納付書がない場合は、税務署、またはその税務署管轄内の金融機関で納付書を入手することが可能です。
自分の住んでいる地域の税務署がわからない場合は、国税庁のホームページなどで確認することができますので、必ず確認をしてください。
納付書を用いて納付する場合は、記入漏れがないように納付書を記載する必要があります。納付書のサンプルと書き方は以下のとおりです。
①「年度」贈与税を納付する年度(税務署の年度は4月1日~3月31日)を記入します。
②「税目番号」税目ごとに番号が異なりますが、贈与税は「051」と記入します。
③「税務署名」納税者が住んでいる地域の税務署名を記入します。通常は税務署番号と併せて記入済みの場合が多いです。
④「整理番号」税務署が決めた納税者の管理番号になります。この整理番号はマイナンバーとは異なりますが、整理番号が不明な場合は空欄でも大丈夫です。
⑤「納期等の区分」(自)(至)の欄がありますが、贈与税の場合は(自)の欄に贈与があった年のみを記入します。また、申告区分は通常は「4」に〇をします。修正申告の場合は「5」に〇をします。
⑥「本税」「合計額」贈与税の申告書に記載した納付額を記入します。合計額の欄には金額の前に必ず「¥」を記入します。
納付書がなくても以下の方法により納付をすることができます。納付方法の詳細はNo.4429 贈与税の申告と納税|国税庁 (nta.go.jp)でご確認ください。
e-taxにより電子データの形式でインターネットを通じて申告書を提出したあとに、受贈者自身の預貯金口座から、即時、または指定した期日に口座引落しにより電子納付する手続きがダイレクト納付です。
ダイレクト納付を利用するためには事前に税務署へe-taxの利用開始手続きを行ったうえに、専用の届出書を提出する必要があります。この専用の届出書は、提出してから利用が可能になるまで約1カ月かかりますので、早めの届出書の提出が必要になります。
インターネットバンキングやペイジー対応の金融機関のATMを利用して電子納付する手続きもあります。利用するためには事前にe-taxの利用開始手続きを行う必要があります。
インターネットを利用して「国税クレジットカードお支払サイト」から納付することができます。ただし、納付税額に応じた決済手数料がかかります。
国税庁のホームページからQRコードを作成し、コンビニエンスストアの店舗に持参して簡単な手続きをすることで、レジで贈与税を納付することができます。ただし、納付可能な金額は30万円以下になります。
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相続の相談が出来る税理士を探す贈与税は納付期限がありますが、納付を遅延すると延滞税がかかります。特に下記2点に注意しましょう。
①納付期限の翌日から2カ月を経過する日までは、年7.3%と延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合(令和3年1月1日以降の期間)の延滞税がかかります。令和3年の場合、2カ月を経過する日までは年2.5%の延滞税がかかります。
②納付期限の翌日から2カ月を経過した日以降は、年14.6%と延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合(令和3年1月1日以降の期間)の延滞税がかかります。令和3年の場合、2カ月を経過した日以降は年8.8%の延滞税がかかります。
なお、納付手続きは期限内に対応しても申告書の提出が期限までに間に合わない場合は他に無申告加算税が課税されますので、提出期限と納付期限は注意が必要になります。
贈与税は、納付期限までに一括で納付することが原則です。ただし、一度に多額の納税をすることが困難な場合は、一定の条件を満たせば最長5年間の分割納付をすることができます。ここでいう一定の条件とは下記のとおりです。
①納付税額が10万円を超えていること
②金銭で一度に納付することが困難な理由があること
③担保を提供すること
②の「納付することが困難な理由」とは、納付期限までに金銭による納付が可能な金額よりも贈与税額が多い場合をいい、その差額を限度に分割納付が可能になります。なお、金銭による納付が可能な金額とは、納付期限の時点で保有している預金などから生活費などに必要な資金を差し引いた金額をいい、預金などを十分に保有している場合は延納を利用することができません。
③に関しては、延納する税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合、担保は不要です。
延納するためには、贈与税の納付期限までに、贈与税の申告書に延納申請書及び担保提供関係書類を添付して受贈者の住んでいる地域の税務署に提出することが必要になります。延納する場合はこの手続きを忘れてはなりません。
また、延納する場合は納付する贈与税の他に利息として利子税を納付しなければなりません。利子税の利率は6.6%×延納特例基準割合÷7.3%になります。なお、令和3年の利子税の利率は0.9%になります。
相続税では現金による一括納付や延納の他に物納という納付方法がありますが、贈与税は物納という制度はありません。そのため、現金による一括納付、または延納のどちらかで納付手続きをすることになります。
贈与税は所得税と異なり毎年の手続きではないこともあり、税理士は贈与税の納付手続きについてよく相談を受けます。
特に不動産や株式の贈与を受けたものの贈与税を支払うための納税資金が足りない人は延納手続きや他の手段により納税手続きを行う必要があります。ただし、延納する場合、提出書類は専門家でないと難しい書類になります。そのため、贈与税の納税方法など不明な点があれば税理士に相談することをお勧めします。
(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています)
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