目次

  1. 1. 固定資産評価証明書とは
    1. 1-1. 所有する土地や建物などの資産評価額を証明する書類
    2. 1-2. 固定資産評価証明書の見本と見方
    3. 1-3. 固定資産課税明細書との違い
  2. 2. 相続で固定資産評価証明書が必要となるケース、計算方法
    1. 2-1. 不動産登記の添付書類
    2. 2-2. 相続税・贈与税の申告書に添付
  3. 3. 固定資産評価証明書の取得方法
    1. 3-1. どこで取得できるのか
    2. 3-2. 固定資産評価証明書を本人以外で取得できる人
    3. 3-3. 固定資産評価証明書を取得するのに必要な書類
  4. 4. 固定資産評価証明書の「年度」に注意
  5. 5. まとめ 司法書士など専門家に相談を

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「固定資産評価証明書」は、土地や建物など、固定資産税の課税対象となる資産について、その評価額を証明する書類です。固定資産税の課税対象は土地や家屋といった不動産のほか、機械設備や車両など事業用の償却資産も含まれます。

以下が、固定資産評価証明書のイメージ図(東京23区)です(東京都主税局のホームページより)。

固定資産評価証明書のイメージ図
東京23区の固定資産評価証明書のイメージ図。東京都主税局のホームページより引用

固定資産評価証明書には、以下の内容が記載されています。

  • 不動産の所有者の氏名・住所
  • 土地と建物〔家屋)の住所
  • 土地の地番・地積・地目(土地の用途)、共有部分など
  • 建物(家屋)の建物(家屋)番号・構造・床面積、種類など
  • 土地と建物(家屋)の評価額
  • 土地・建物(家屋)の課税標準額

よく似た書類として、「固定資産課税明細書」があります。こちらは、課税額の内訳を納税者に伝えることが目的の書類です。

従って、公衆用道路である土地など非課税資産については、一般的に記載されません。一方、固定資産評価証明書には、非課税資産を含めた所有物件が記載されます。

また、「固定資産課税明細書」は固定資産税の納付書とともに、年に1回郵送で届きます。申請は不要です。一方で、固定資産評価証明書は申請をしなければ取得できません。

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相続手続きにおいて、固定資産評価証明書は、不動産の相続登記(相続した不動産の名義変更)の際に添付書類として法務局に提出することがあります。

不動産を相続した場合、登記上の所有者は自動的に変更されません。

相続登記を申請しないと、被相続人(亡くなった人)名義の不動産は、そのまま被相続人が所有者として登記簿に記録されたままになります。所有者を相続人に変更するためには、相続登記の手続きを行う必要があります。

相続登記の申請には、登記申請書にあわせて、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを添付することが求められます。そして名義変更の際に、登録免許税の納付を行います。

登録免許税は不動産の評価額に税率0.4%をかけた額が課されることとなっています。登記申請にあたっては申請者が納付すべき登録免許税額を申告しますが、金額の正しさを証明するための書類として、固定資産評価証明書などの添付が求められます。

なお、公衆用道路は、固定資産税は課されませんが、相続登記においては登録免許税が課されます。具体的には、近傍宅地(きんぼうたくち)の1平方メートルあたりの単価に相続登記の対象となる公衆用道路の面積をかけ、さらに10分の3をかけた金額を評価額に加えることとなっています。

地域によっては、固定資産評価証明書ではなく、固定資産課税明細書を添付して相続登記を申請できることもあります。公衆用道路などの非課税資産が申請対象となる場合は、原則として固定資産評価証明書の添付が求められます。

固定資産課税明細書を添付して相続登記を申請することをお考えの場合には、お近くの司法書士に相談するか、申請先の法務局に事前に照会してみることをおすすめします。

相続登記の手続きは法律で細かくルールが決められています。不安があったり、手間をかけたくなかったりする人は、司法書士に相談しましょう。

固定資産評価証明書は相続税申告の際も添付が求められる場合があります。

相続税や贈与税の申告において、家屋の評価額は、固定資産評価額に1.0をかけて計算した金額になります。つまり、家屋の評価額は固定資産評価額と同一になります。

また、土地の評価においても、路線価の設定されていない倍率地域では、固定資産評価額に評価倍率表で定められた倍率をかけた金額が評価額になります。

従って、相続税や贈与税の申告にあたって固定資産評価額を計算の基礎とする資産が含まれている場合は、固定資産評価証明書を取得して、申告書に添付することとなります。

固定資産評価証明書は、不動産が所在する市町村役場の窓口で取得できます。また東京23区内の固定資産に係る固定資産評価証明書は、都税事務所の管轄になります。大阪市のように、マイナンバーカードがあればコンビニで取得できる自治体もあります。

窓口に直接行くほか、申請書と手数料を送って、郵送で取得することも可能です。申請書は一般的に、各自治体のホームページに掲載されており、ダウンロードできます。

手数料は自治体によって異なり、300円ほどからになります。不動産の数に応じて手数料が変わる自治体もあるため、郵送で請求する場合は電話で事前に確認しておくことをおすすめします。郵送で取得する場合、1~2週間ほどかかりますので、余裕をもって申請したほうがよいでしょう。 

固定資産評価証明書は取得できる人に制限があります。相続人、成年後見人、代理人などに限られます。

固定資産評価証明書を窓口で取得する際は、本人確認が求められるため、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証などの身分証明書を持参しましょう。

本人以外が申請する際は、証明書を取得する権限があることを示す書類が必要となり、また窓口に来た人の本人確認の書類も必要です。

一般的に本人以外が取得する際に必要とされる書類は以下の通りです。

・相続人:所有者が亡くなったことがわかる除籍謄本等と申請人が相続人であることがわかる戸籍謄本等

・遺言執行者:相続が発生していることを確認できる除籍謄本等と、遺言執行者であることを確認できる遺言書等

・相続財産管理人:相続財産管理人に選任されたことを証する書類

・代理人:固定資産評価証明書を取得できる人から受領した委任状が必要です。

なお、委任状以外の書類は原本ではなくコピーも認められる場合がありますので、原本が手元にない場合は事前に照会するとよいでしょう。

相続登記にあたって固定資産評価証明書を添付する場合は、年度に注意しましょう。評価証明書は4月1日に切り替わるため、4月以降に登記を申請する場合は、新年度に取得したものが必要になります。適切な年度のものを取得しましょう。

今回は固定資産評価証明書について説明しましたが、相続には専門知識が必要な手続きは数多く存在します。不明な点がある場合はひとりで抱え込まずに、司法書士など専門家に相談することをおすすめします。

(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)

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