相続で不動産取得税はかからない? 贈与や遺贈でかかる税額の計算方法
建物や土地のような不動産を相続した場合は、原則として、不動産取得税は課税されません。 しかし、相続以外で取得した場合や、相続時にも例外的に不動産取得税がかかる場合があり、想定外の税負担が生じてしまうケースもあります。この記事では、不動産取得税が課税されるのはどのような場合かをまとめ、税額の計算方法についても解説していきます。
建物や土地のような不動産を相続した場合は、原則として、不動産取得税は課税されません。 しかし、相続以外で取得した場合や、相続時にも例外的に不動産取得税がかかる場合があり、想定外の税負担が生じてしまうケースもあります。この記事では、不動産取得税が課税されるのはどのような場合かをまとめ、税額の計算方法についても解説していきます。
目次
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まずは、不動産取得税の概要も含め、課税されるケースと非課税となるケースについて確認していきましょう。
不動産取得税とは、不動産を取得した場合に課税される国税であり、毎年支払う固定資産税とは違い、取得時の1回のみ支払う税金です。不動産取得税が課税される「取得」には、売買・新築・増改築・贈与・交換の5つが該当します。
特に、建物を新たに建築した場合や、贈与によって無償で不動産を譲り受けた場合でも、不動産取得税が課税されるので注意が必要です。
これらの理由により不動産を取得した場合には、取得した本人が取得日から60日以内に、不動産の所在地を管轄する県税事務所に対し「不動産取得申告書」を提出しなければなりません。
期限までに申告しなかった場合には、後述する不動産取得税の軽減措置が受けられなくなってしまう可能性もあるため、必ず期限内に提出するようにしましょう。
不動産取得税が課税される不動産の取得には「相続」が含まれておらず、原則として相続によって被相続人から不動産を承継した場合には、不動産取得税は課税されません。
これは、本人の意志にかかわらず「相続によって不動産を含む財産や負債を承継する相続人に対し、不動産取得税をかけるべきではない」という税務上の配慮に基づくものです。なお、相続によって不動産取得税が非課税となる場合には、「不動産取得申告書」の提出も不要となります。
原則として、相続による取得であれば不動産取得税は発生しませんが、相続の方法によっては、課税対象となる場合もあります。また、取得者が非課税だと考えていても、思いがけず不動産取得税が課税されてしまう場合も少なくありません。以下では、実務上誤りの多い代表的な課税事例を3つご紹介します。
相続対策として、生前に財産を子や孫へ贈与することがあります。このように、生前贈与によって不動産を移した場合には「贈与による取得」に該当し、不動産取得税の課税対象となります。
また、相続時精算課税制度を活用し、同様に生前贈与を行うケースがありますが、こちらの制度も「贈与」に該当するため、同じく不動産取得税の課税対象となります。
遺贈とは、遺言によって財産を承継させることをいいます。遺言を作成することによって、法定相続人以外の人物にも財産を承継させることが可能となります。
遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があり、包括遺贈は、「全体の財産のうち、半分をAへ遺贈する」というように、特定の財産を指定せずに一定割合を承継させる方法に対し、特定遺贈は「B土地をCに遺贈する」というように、特定の財産を指定して承継させる方法をいいます。
「包括遺贈」の場合には、一定割合に相当するプラスの財産だけでなく、負債についても同様に引き継ぐこととなるため、相続人と同等の地位を有するものとして不動産取得税は非課税となります。
しかし「特定遺贈」の場合、負債を承継せずにプラスの財産を遺贈することも可能です。そのため、財産を承継する人物が法定相続人であれば、不動産取得税は非課税となりますが、法定相続人以外が承継する場合には課税対象となります。
死因贈与とは、「自分が死んだらこの土地をあげる」というように、死亡を原因とする贈与契約をいいます。死亡時に実行されるとはいえ、あくまで贈与者と受贈者の間で交わされた「贈与契約」であることから、生前贈与と同様に不動産取得税の課税対象となります。
不動産取得税が課税される場合、その税額は下記の算式によって計算されます。
取得した不動産の価格(課税標準)×税率=税額
「取得した不動産の価格」に関しては、実際の購入価格や建築工事費ではなく、原則として固定資産税評価額が用いられます。固定資産税評価額は時価の60~70%程度が評価水準とされているため、時価よりも低い金額となることが一般的です。
なお、令和6年3月31日までに宅地等を取得した場合には、その土地の価格が2分の1に軽減されます。
「税率」については、原則は4%ですが、令和6年3月31日までに取得した土地(住宅、非住宅を問わない)や家屋(住宅のみ)については3%に軽減されます。なお、貸家やアパートなどについても、“住宅用”として貸し付けることを目的に取得した場合には、3%の税率が適用されます。
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相続の相談が出来る税理士を探す生前贈与や遺贈を受ける場合には課税されるため、不動産の移動は慎重に行う必要があるでしょう。相続によって不動産を取得する場合には非課税となります。
しかし、「特定遺贈」によって相続人以外が不動産を取得する場合や、「生前贈与」や「死因贈与」によって取得する場合には課税対象となってしまいます。不動産を他者へ移す場合には、不動産取得税がかかるかどうかも忘れずにチェックしておきましょう。また、不明点等がある場合には、税理士などの専門家にご相談ください。
(記事は2021年4月1日時点の情報に基づいています)
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