相続税申告でマイナンバーは必要

申告でマイナンバーが必要になった背景

2016年から行政手続きのうち社会保障、税、災害対策等に活用するため、効率的に個人を特定するものとして個人番号制度が利用されるようになりました。

個人の税務申告において、番号確認書類としてマイナンバーカードの写し等の提供が必要となっています。代表的なものが個人の所得税の確定申告ですが、相続税の申告においても同様です。

ただ、相続税の申告の場合、所得税の確定申告と異なり、申告書に被相続人や他の相続人の名前も記載して提出するのが一般的です。誰の分のマイナンバーカードが必要になるのか確認しておきましょう。

亡くなった被相続人のマイナンバーは不要

結論から申し上げますと、亡くなった被相続人のマイナンバーは必要なく、相続人全員のマイナンバーの記載が必要です。

相続税申告書の1ページ目である第1表を見ると、亡くなった被相続人の名前を筆頭に相続人全員の名前が記載され、各人の課税価格や税額等が記載されます。一見、亡くなった人を含めた全員分のマイナンバーの記載が必要に思えてきます。しかし、申告書には、各相続人の名前の下にマイナンバーの記載欄はあるものの、亡くなった被相続人にはマイナンバーの記載欄はありません。これは、個人が死亡するとマイナンバーが失効するため、記載しても無意味であるためです。

相続税の申告書は、国税庁のホームページ「相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用) 第1表 相続税の申告書」もご確認ください。

余談ですが、平成28年の相続税申告書の初期様式は、被相続人の名前の下にもマイナンバーの記載欄がありましたが、様式改訂により廃止されました。

マイナンバーカードを持っていない人は

相続人全員のマイナンバーの記載と共に、番号確認書類及び身元確認書類としてマイナンバーカードの写し等の提供が必要となります(電子申告は除く)。マイナンバーカードを発行していない人は、番号確認書類として通知カード等と身元確認書類である免許証等の写しの提供が必要となります。

なお、通知カードは個人番号制度が創設された当時に通知したものなので、住所や氏名が変更になっている場合もあるでしょう。そのまま提供すると後日税務署から確認される場合があるので、変更になった旨を併記するかマイナンバーカードの提供にしましょう。

相続税申告を税理士に依頼する場合に必要な書類

相続税申告は所得税の確定申告と異なり計算が複雑なため、税理士に依頼する人がほとんどです。その場合、マイナンバー関係の書類は何を用意すればよいのでしょうか。

本人が作成申告する場合と異なり、免許証等の身元確認書類は必要ありません。これは、税理士が税務代理を行う際、相続人の身元確認は済んでいると考えられるからです。その代わり、税理士の方では、代理権の有無を証明する税務代理権限証書及び代理人である税理士の身元確認書類である税理士証票の写しを提供することになっています(電子申告除く)。

マイナンバーが記載された書類は取扱注意

相続税申告では、他の相続人と共同して提出することが多いため、税理士は番号取扱事務者として、他の相続人の番号情報が漏れないよう特に注意をしています。

また、相続税も所得税等と同様に、申告書控えにはマイナンバーを記載しないよう、欄が設けられていないのもこれが理由と考えられます。

相続税申告書や添付書類の控えを税理士から渡される際、他の相続人のマイナンバーをマスキングするなどの管理をきっちり行っていない税理士は、情報管理が徹底されていないといえます。

【余談】マイナンバーの不記載について

マイナンバーは個人特定のため行政にとっては便利な制度ですが、個人からすると「マイナンバーで行政に管理されたくない」という感想を抱いている人も少なくないかもしれません。そのため、相続税申告でマイナンバーを提供せずに申告する人もいます。

住民票提供等が要件である小規模宅地等の特例等を除き、マイナンバーの不記載によって相続税申告に影響は特にありませんが、非協力的な態度として審査時に不利な印象を持たれる可能性は否めません。元国税調査官の筆者の立場からすると、マイナンバー不記載にするような人は、「何かやましいことがあるのでは」と疑いの目で見てしまうのです。不記載にしたところで、有利になることはないとお伝えしたいです。

(記事は2021年2月1日時点の情報に基づいています)