そもそも遺贈寄付とは何なのか?

遺贈寄付とは、個人が亡くなったとき、亡くなった人や相続人が、遺言や契約にもとづき財産を公益法人やNPO法人、学校などに寄付して役立ててもらうことです。一般社団法人全国レガシーギフト協会副理事長の山北洋二さんは、遺贈寄付を「死後に自分の社会貢献の意思を伝える方法」だと言います。

「遺贈寄付は誰でもできるもの」と語る、全国レガシーギフト協会副理事長の山北洋二さん
「遺贈寄付は誰でもできるもの」と語る、全国レガシーギフト協会副理事長の山北洋二さん

そもそも寄付の文化があまりないと言われてきた日本ですが、近年、個人の寄付額が増加しています。その要因は2011年に起こった東日本大震災。被災地を応援したいと、寄付が一気に増えました。金額を見てみると、2009年には5455億円だった個人寄付額が2011年には1兆182億円になり、その後いったん低下したものの、また年々増加し、2016年には7756億円になっています。

では遺贈寄付についてはどうでしょう。日本では寄付総額における遺贈寄付の割合が明らかにされていませんが、国税庁の統計による「遺贈・寄付・支出した財産の統計」によると、2013年の369件269億円から2018年には691件486億円に増えました。

また、「国境なき医師団日本」がおこなった「遺贈に関する意識調査2018」によると、「遺贈してもよい」までを含め、遺贈に前向きな答えが全体の49.8パーセントを占めました。20〜70代までの世代間に大きな差はなく、寄付意識の高まりとともに、遺贈寄付を人生最後の社会貢献ととらえる人は増えていると言えそうです。

遺贈寄付ウィーク2020をそれぞれが考える機会に

2009年から、英国を始め欧州、北米を中心とした多くの国で、9月13日の「国際遺贈寄付の日(International Legacy Giving Day)」の前後に遺贈寄付の普及啓発キャンペーンが行われてきました。

今回、日本で初めて遺贈寄付推進キャンペーン「遺贈寄付ウィーク2020 – Legacy Giving Week」を開催する目的と意義を、一般社団法人全国レガシーギフト協会事務局長の小川愛さんは次のように話します。

「まず、増えつつあるとはいえ、日本の中でまだそれほど広がりを見せていない遺贈寄付を多くの人に知っていただきたいというのが大きなテーマです。そして、遺贈寄付として自分の思いを託したい人、思いを受け取り社会課題解決のため活用する非営利組織の受遺団体、その間に立って思いを橋渡しする士業の方や専門企業の方々に、それぞれの立場で考える機会にしてほしいです」

特に今年は新型コロナウイルスの影響もあるのか、同協会が運営する「いぞう寄付の窓口」への問い合わせが多くなっていると言います。

キャンペーンは2020年9月5日から14日まで、オンラインでの開催。期間中は毎朝午前8時半から同9時までFacebookライブで「モーニング・セッション」と題したライブ配信を行います。「遺贈寄付とは」「自分の記憶に残る遺贈寄付は」といったテーマで有識者や協賛団体がトークイベントを開きます。

メインイベントは9月11日午後3時〜同5時に開催します。「遺贈寄付をもっと身近に〜遺言・遺贈寄付の最新動向」と題したZoomによるオンライン特別イベントを開催します。「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」の著者である星野哲さんが講演に立つほか、司法書士の三浦美樹さんが遺贈寄付に対する意識調査の結果を報告。公募による遺贈寄付の体験ストーリーの発表などもおこなわれる予定です。いずれも参加は無料。

同時期に22か国が遺贈寄付の啓発キャンペーンを予定しており、国際遺贈寄付の日はグローバルでも大きな動きを見せます。

遺贈寄付は誰もができる身近なもの

遺贈寄付ウィーク2020の特別協賛団体である日本ファンドレイジング協会の代表理事・鵜尾雅隆さんは「我々の協会ではこの社会で寄付が進んでいくことを目指していますが、なかでも遺贈寄付は日本の寄付文化が育っていくうえで非常に重要な位置づけにあると考えています」と話します。

その言葉を裏付けるように、同協会が主催する「FRJ2020 オンライン|ファンドレイジング・日本 2020」(9月5日〜12日開催)というカンファレンスでも、遺贈寄付に関するセッションが2コマ予定されています。

日本の寄付文化における遺贈寄付の位置づけを強調する日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆さん
日本の寄付文化における遺贈寄付の位置づけを強調する日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆さん

「遺贈寄付ウィークを通じて、遺贈寄付に関してなんとなく緊張感を持ってしまうという方にも、さまざまな事例やストーリーを通じて、こういうやり方があるんだと見えてくるといいなと期待しています」

山北さんは、「多くの人が、遺贈寄付を一部のお金持ちがするもので、大きな金額が大きな団体に贈られるとイメージしています。それを変えていくのが私たちのミッションの中でも大事なことの一つ。たとえば私は『遺贈寄付の地産地消』と表現しているんですが、地方の方はその地方の問題解決のために自分のできる金額で遺贈寄付をおこなえばいいんです」と強調します。

実際、山北さんが関わったケースでは遺贈寄付が30万円という事例もあると教えてくれました。

「遺贈寄付は、誰もができる身近なものだと感じてほしい。人生の最後に、自分が望む社会貢献をするための選択肢のひとつなんです」

自分のこれまで生きてきた証であり、次世代の幸せにつながる方法のひとつである遺贈寄付。この機会に考え、学び、行動してみませんか。

遺贈寄付ウィークの詳細については、こちらのURLへ

遺贈寄付ウィーク2020 – Legacy Giving Week

(記事は2020年9月1日現在の情報に基づきます)