目次

  1. 1. 相続税はお金持ちの問題じゃない
  2. 2. 遺贈寄付した分は控除の対象に

遺贈寄付に関係する税金といえば、まずは相続税です。一定額以上の財産を相続した場合にかかる税金です。

「お金持ちが払うものでしょ? 家ぐらいしか財産がないから関係ないよ」というのは昔の話。2015年に相続税の基礎控除が見直され、相続税を払う人が増えています。以前は「5000万円+法定相続人の数×1000万円」が基礎控除でした。これが「3000万円+法定相続人の数×600万円」となったのです。

仮に妻と子ども2人が相続すると、以前なら基礎控除は8000万円でしたが、現在は4800万円。ざっくりいえば、相続財産がこの額以上ならば相続税を払う対象となったのです。実際には葬儀費用が控除されたり、相続財産に生命保険や退職金が含まれると一部が控除の対象になったりします。また、相続開始前3年以内に生前贈与された財産も相続財産に含まれます。今回の記事では、わかりやすく伝えるため、単純な形にしています。

ご参考までに、国税庁によると2018年中に亡くなった人(被相続人数)は約136万人で、このうち相続税の課税対象となったのは約11万6千人、全体の8.5%です。この年の相続税額は合計2兆1087億円で、被相続人1人当たりでは1813万円でした。

被相続人数の推移
被相続人数の推移
課税割合の推移
課税割合の推移

さて、遺贈寄付について話を進めます。さきほど説明した基礎控除と同じように、実は遺贈寄付した分が相続税の控除対象として扱われる場合があるのです。遺言による遺贈と相続財産からの寄付で違いがあるので、順番に説明します。

まず、遺贈の場合は「第三者」の法人が対象なら原則、全額が基礎控除と同じように、相続税の対象からは外されます。この場合、法人であればNPO法人でも公益法人でも、一般社団法人や大学、自治体でもOKです。ただし、法人であっても「税逃れ」とみなされれば、基礎控除と同じ扱いは受けられません。親族が運営する法人に遺贈して親族が過大な報酬を得たり、適正な運営がなされていない名義だけの「幽霊団体」に寄付したりする場合です。これは当然ですね。

次に、相続財産からの寄付の場合、遺贈のように幅広い法人が控除の対象となるわけではありません。認定NPO法人や特定公益増進法人といった税制優遇団体へ相続税の申告期限までに寄付をした場合に限り、控除されます。一般のNPO法人や一般社団法人では対象にならないのです。ここは大きな違いですから、十分ご注意ください。

相続税とは別に、1月1日から被相続人が亡くなった日までの所得を申告する「準確定申告」という制度があります。この所得に対する課税も、税制優遇団体に遺贈していれば、寄附金控除(総所得金額の40%を上限に、寄付した金額から2千円を引いた額が所得控除される)の対象となります。相続財産から税制優遇団体に寄付をした場合は、相続人が控除を受けられます。

次回も税金の話です。

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(記事は2020年8月1日時点の情報に基づいています)