相続した農地の名義変更に必要な手続きは? その後の活用方法や注意点も解説
相続した不動産の中に農地がある場合、もともと農業をされている人ならば、そのまま利用を続けていくことが多いと思います。しかし、そうではない場合、農地の活用法が悩みの種になるかもしれません。この記事では、農地の相続があった場合の名義変更はどのような手続きを踏むのか、どのような活用方法があるのかについて解説します。
相続した不動産の中に農地がある場合、もともと農業をされている人ならば、そのまま利用を続けていくことが多いと思います。しかし、そうではない場合、農地の活用法が悩みの種になるかもしれません。この記事では、農地の相続があった場合の名義変更はどのような手続きを踏むのか、どのような活用方法があるのかについて解説します。
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親から子などへの相続で農地の登記名義を変える方法は、原則として他の土地や建物と変わりません。戸籍・除籍・原戸籍や住民票などの戸籍類と遺産分割協議書、または遺言書といった書類を用意し、法務局で登記申請します。遺言で相続人以外の方が特定の農地の遺贈を受けるような場合を除いて、その農地が存在する市町村役場の農業委員会の許可手続きは不要です。
農地の名義を変更したら、農業委員会に届出書を提出します。相続して所有者が変わった旨を報告する書類です。市町村役場が作成した届出書に必要事項を記入し、登記事項証明書のコピーを添付するのが一般的ですが、中には農業委員の印鑑を必要とするなど、自治体によって方法が異なります。名義変更の手続きが終了したら一度、各自治体に届出の方法を確認して提出してください。
田や畑といった農地は宅地などとは違い、農業委員会の手続きを必要とする場面が多々あります。
例えば、相続した農地を他人に売却するにしても農業委員会の許可がない場合は売却できませんし、名義変更もできません。無許可あるいは指示を無視して農地に建物を建設したような場合には、元の状態に戻しなさいという命令が出る場合もあります。
許可を得るには、農業委員会に必要書類を提出して審査を受けます。許可を得てから売買や転用をします。この手続きは、市町村によって運用が違う場合が多々あります。
例えば農地を農家として譲り受けるような場合は、「農家の条件として1反(991,736㎡)以上保有している必要がある」という自治体もあれば、「3反以上必要」という自治体もあります。自身が考えている活用方法に対して、農地の許可がいるのか、必要である場合にはどのような手続きを踏むのか、役所で確認するようにしてください。
人に農地を貸す方法です。農地を放置して雑草が生い茂ってしまうと、農業委員会から所有者宛に通知が来る場合があります。他者に貸して耕してもらえるのであれば、農地として活用できるので、現状に合う選択肢と言えるでしょう。ただし、この場合も農業委員会の許可等の手続きが必要になります。
平たく言うと利用者に農業を体験してもらう形です。具体的には「ブドウ狩り」などの観光農園がこのカテゴリーに入ります。この方法は利用者に農業を経験してもらうのであって、農地を第三者に貸すのではありません。施設を造るような場合は別として、特に農業委員会の許可などは不要です。利用者に作物を作ってもらえる、又は収穫してもらうことになるので農地として活用できます。ただし、農地の所有者は利用者を指導する立場にありますから、農業経験のない人には難しい選択肢です。
体験農園と同じような制度として、市民農園があります。都市部などに住む農業経験の浅い方に対して農地を利用してもらう制度ですが、こちらは農地を区割りして利用者に貸し出す制度です。この方法は相続した方に農業経験がない場合でも実現できる活用方法ですが、市町村との協定締結や農業委員会の許可等の手続きが必要となります。
農地として維持していくのが難しい、駐車場や他の目的で使用したい場合に考え得る選択肢です。非農地に変えることで選択肢は増大しますが、農業委員会の許可などが必要です。また、土地の状況によっては転用が難しい場合もあります。
所有しているだけでは固定資産税などの税金もかかるので、他の人に売却して活用してもらう方法です。この場合、農地として売却するのか、農地以外の土地に形状を変更して売却するのかで許可手続きの内容が変わります。
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相続の相談が出来る司法書士を探す相続による農地の名義変更手続きは他の不動産と特に変わりはありませんが、活用するとなると農業委員会への手続きが必要となるケースが多々あります。また、手続きも自治体によってローカルルールがあることが多いため、活用方法を考える際は、自身の希望と必要となる手続きを確認しながら進めていきましょう。迷うことがあれば、登記の専門家である司法書士に相談してみることをお勧めします。
(記事は2022年11月1日現在の情報に基づきます)
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