相続不動産は活用すべきか、それとも売却すべきか?
日本には「持ち家」文化が深く根付いています。そのため、親族のどなたかがお亡くなりになった場合、必ずと言っていいほど「相続した不動産をどうするのか」という問題が発生します。そこで今回は、相続した不動産をどのように活用、処分するのか、その考え方について解説していきます。
日本には「持ち家」文化が深く根付いています。そのため、親族のどなたかがお亡くなりになった場合、必ずと言っていいほど「相続した不動産をどうするのか」という問題が発生します。そこで今回は、相続した不動産をどのように活用、処分するのか、その考え方について解説していきます。
目次
処分か活用か、とにかくまずは遺産分割協議を行いましょう。相続した不動産は相続人全員の共有財産なので、誰かが勝手に決めて処分することはできません。ほかの相続財産と照らし合わせて、誰が相続するのか決める必要があります。場合によっては、不動産を相続した代わりに他の相続人へ、その分の資産を渡さなければならないこともあるでしょう。
もしくは、分割できる資産にする、つまり売却して売却金額を分割する、といった方法を取ることもできます。相続の仕方や、不動産以外の資産によっても、どのように処分・活用するかの判断が分かれるといえます。
「自分が住んでいるところから遠方の土地で土地勘が無い」「売却して売却代金を分割したい」といった場合には、売却する方法がおすすめです。ただし単純に売却といっても、不動産の名義を相続人に変更する相続登記費用や(約10万円~)、測量費用(30万円~)などの費用がかかります。これらの費用は、土地の場所や大きさにより変わってきます。まずは、地元の司法書士や不動産会社に相談してみましょう。
「土地勘がある」「先祖代々の土地なので処分はしたくない」「遺産分割協議で相続人の1人が相続することに決まった」といった場合には、活用方法がたくさんあります。
車が多い場所であれば「駐車場として賃貸」、最近はなかなか少ないですが、隣に工場や会社があれば「土地だけ賃貸してほしい」ということもあるかもしれません。新築のマンションやアパートを建設して賃貸にしたり、一軒家を建てて自分で住んだりということもできます。
処分か活用か、決める基準は土地+建物の時も同じです。しかし、処分や活用にかかる費用が土地のみの場合と変わってきます。まず、売却する場合には二つの選択肢があります。
一つ目は、そのまま売却することです。こちらであれば相続登記のみで済む場合が多いです。その理由は、そんなに古い建物でなければ、測量もきちんとされていて土地の境界が分かるようになっているからです。もちろん土地の境界杭がずれている、見つからないという場合には、測量費用がかかってきます。
二つ目は建物を取り壊して更地にし、売却することです。ファミリー層が多い地域なのに1人暮らし用のアパートであったり、建物がかなり老朽化していたりなど、「建物があることによって売れない」場合には、更地にして次の所有者が活用しやすい状態にして売却しましょう。
建物にもよりますが、取り壊しの費用は100万円以上かかることが多いため、土地の売却価額によっては、利益が出ないこともありそうです。特に問題のない建物で入居者がいる場合には、そのまま賃貸しておくのもいいでしょう。かかる費用は相続登記だけなので、司法書士に相談してください。
費用が高額になるため、今まで不動産投資をしていない方にはおすすめしませんが、取り壊して新築するという方法も考えられます。また、不動産を相続したものの、他の相続人に現金を渡さなければならない場合には、売却した上で住み続けられる「リースバック」という方法もあります。
処分する場合も活用する場合も、知識のある不動産業者を選ぶことが重要です。必ず相続登記が必要になるため、あてがなければ、司法書士を窓口にして不動産業者を紹介してもらうのもよいでしょう。
そして「活用」する場合には、不動産投資をすることとなりますが、投資には必ずリスクがあります。初期投資が低いからといって、リスクが低いわけではありません。場所がいいから活用しようと安易に決めるのではなく、きちんと不動産投資について学び、リスクについて理解した上で、活用方法を考えることをおすすめします。
(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)