目次

  1. 1. 新たな相続人が出てくるケースとは
  2. 2. 相続人調査が不十分で相続人が漏れていた
  3. 3. 死後に子どもを認知する「死後認知」
  4. 4. 遺産分割後に離縁や離婚が無効になった
  5. 5. 遺産分割後に父を定める訴えや母子関係存在確認の裁判が確定
    1. 5-1. 父を定める訴えとは
    2. 5-2. 母子関係確認訴訟とは
  6. 6. 新たな相続人の出現を防ぐために

遺産分割後に新たな相続人が現れるケースには、以下のようなパターンがあります。

  • 相続人調査が不十分で相続人が漏れていた
  • 死後認知が行われた
  • 遺産分割後に離縁や離婚が無効となった
  • 遺産分割後に父を定める裁判や母子関係存在確認の裁判が確定した

それぞれのケースでどう対応すれば良いのか、みていきましょう。

遺産分割協議には相続人が全員参加しなければならないので、遺産分割協議を始める前にはしっかり相続人調査を行う必要があります。ところが相続人調査に不備があり、以前に行われていた養子縁組や認知などを見逃して相続人を外して遺産分割協議をしたら、後で現れた相続人に権利主張されます。
この場合、遺産分割協議は無効になり全部のやり直しが必要です。

遺産分割協議が無効になるかもしれない―。相続人調査に不備があると、遺産分割協議は振り出しに戻ります。そんな不測の事態を避けるには、弁護士への相談が近道です。不安や心配なことがあれば、まずは相談してみてください。

遺産分割協議が有効に成立しても「死後認知」によって新たな子どもが相続人となるケースがあります。死後認知とは、被相続人の死後に子どもを認知することです。
死後認知されたら、認知された子どもは第1順位の相続人として相続権を取得します。

死後認知の場合、すでに行われた遺産分割協議に影響を及ぼすことはなく、遺産分割協議は有効なままです。ただし認知された子どもには遺産の取得権があるので、遺産を受け取った相続人たちは死後認知された相続人に「金銭賠償」によって相続分に相当する金額を支払う必要があります。

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遺産分割後に「離縁」や「離婚」が無効になるケースがあります。
離縁が無効になったら「養子養親関係」が復活するので、子どもや親が新たな相続人になる可能性があります。
離婚が無効になったら「配偶者関係」が復活するので、配偶者が新たな相続人になります。
これらのケースでは、遺産分割協議のやり直しが必要です。新たな相続人を交えた遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停や審判をしなければならない可能性もあります。

遺産分割後「父を定める訴え」や「母子関係存在確認訴訟」が確定する場合があります。

父を定める訴えとは、女性が離婚後すぐに結婚して出産したとき、父親の推定が二重に及んでどちらの子どもがわからなくなったときに訴訟で父親を確定してもらう手続きです。
具体的には前婚の夫と離婚してから300日以内、かつ後婚してから200日以内に出産した場合には、生まれた子どもが前婚の夫と後婚の夫の両方の子どもであると推定されてしまうので、訴訟で父親を確定する必要があります。この訴訟の結果によっては、子どもが新たな相続人になる可能性があります。

母子関係確認訴訟とは、母親が産んだ子どもが別の夫婦の子どもとして届け出られているときに、訴訟によって母子関係を確認するための裁判です。これによっても判明した子どもが新たな相続人とされる可能性があります。

これらの裁判によって新たな相続人(子ども)が現れた場合には、遺産分割のやり直しが必要です。

遺産分割後の新たな相続人の出現を防ぐには、きちんと相続人調査を行うことが第一です。また相続開始時に「離縁訴訟」「離婚訴訟」「父を定める裁判」「母子関係確認訴訟」などが行われているなら、遺産分割協議を進めずにその結果を待った方が良いでしょう。
死後認知された子どもが現れたら、速やかに話し合いをして金銭賠償をすればトラブルになることはありません。

遺産相続で困ったときには司法書士や弁護士に相談するのも有効です。今後の参考にしてみてください。

(記事は2020年1月1日時点の情報に基づいています)

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