相続税の納付方法 クレジットカードは使える? 郵便局は? 支払い手続きや注意点を解説
相続税の納付方法の選択肢は増えました。現在は現金だけでなくクレジットカードやコンビニエンスストアでの納付もできます。ただし、それぞれの納付方法にはメリットとデメリットがあります。納税そのものの注意点も含め、税理士が解説します。
相続税の納付方法の選択肢は増えました。現在は現金だけでなくクレジットカードやコンビニエンスストアでの納付もできます。ただし、それぞれの納付方法にはメリットとデメリットがあります。納税そのものの注意点も含め、税理士が解説します。
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相続税の納付方法はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリットがありますので、自身に合った納付方法を選択して、期限内に相続税の納付を済ませましょう。
相続税の納付方法には下記のような種類があります。
金融機関や郵便局での納付は、実務上では非常にスタンダードで、広く利用されている納付方法です。
納付書を金融機関などに持参すると、窓口で納付処理をしてもらえる流れで、預金通帳があれば利用が可能です。金融機関などの窓口を利用しますので、営業時間内に行う必要がある点が唯一のデメリットになります。
現金と納付書があれば、税務署の窓口で申告書の提出と同時に納付が可能となります。
ただし、実際に申告書を提出した税務署でしか手続きができませんし、相続税は納付額が高額になることが予測されますから、多額の現金を持参しなくていはいけないリスクも存在します。
さらに、銀行のATMでは、引き出し限度額などの理由から、その納税資金の準備も大変になることが予測されます。
クレジットカードで納付をする場合、「国税クレジットカードお支払サイト」を利用します。サイト上で、納付情報の入力およびクレジットカード情報の入力を行って、納付手続きの完了をします。
クレジットカードの引き落とし日は1カ月に1回となりますが、納税期限までに納付手続きが完了していれば、延滞税などが発生することはありません。
また、決済手数料がかかりますが、一方でクレジットカードのポイントが付与される可能性もありますので、検討する場合には決済手数料とポイントを比較して総合的に判断する必要があります。
サイト上で手続きが終わるため、金融機関などや税務署に出向く必要もありませんので、自宅で納税を完了できる点は、メリットになります。
ただし、クレジットカードで納付する場合、1回の手続きの上限は1000万円未満と決められています。納付手続きを複数回にわければ、1000万円以上を納付することはできますが、その分手間がかかります。また、利用するクレジットカードには利用上限額も設定されているので、場合によっては利用上限額の引き上げの手続きを事前にする必要があります。
コンビニエンスストアで納付する際は、電子申告をする場合と紙申告の場合とで、方法は異なりますが、どちらも自宅のパソコンやスマートフォンで作成したQRコードを利用して納付をする方法となります。QRコードを取得したら、利用可能なコンビニエンスストアで読み取ってもらって、納付を完了します。
手数料は不要で、コンビニエンスストアの営業時間内で利用が可能となります。すべてのコンビニエンスストアで利用可能というわけではありません。そのため、事前の確認が必要です。また、納税額の限度が30万円以内の納付に限られますので、利用可能なケースも限定されます。
ダイレクト納付は、電子申告を行ったのちに、納税額などの情報を入力して、納税者自身の口座より指定した期日に口座引き落としで納付する方法です。
納付手続きとしては、簡単な手続きとなり、自宅にいながら完了できる点がメリットです。ただし、税務署に対して事前の利用開始手続きが必要となる点があるため、複数回を予定していない相続税の納付には不向きとなります。
インターネットバンキングでの納付は、インターネットを利用した銀行の取引サービスを利用して納付する方法です。ダイレクト納付と同様に、自宅などで金融機関などの営業時間を気にすることなく、納付が完了するものです。
事前の届出は不要で、電子申告をしたのちに、金融機関のインターネットバンキングのサイトを経由して、そのまま納付をします。電子納税であれば、ダイレクト納付よりはインターネットバンキングによる納付のほうが簡単と言えます。
スマホアプリによって電子マネーなどのキャッシュレス決済で納付することも可能です。決済手数料は不要ですが、コンビニエンスストア納付と同様で、30万円以内の納付が上限となりますので、利用可能なケースは限定されます。
方法としては、電子申告の受信通知からアクセスする方法とe-Taxの確定申告書等作成コーナーで出力されるQRコードからアクセスする方法があります。
ポイントもそのアプリによって対応が異なりますので、利用する場合には注意が必要です。
相続税の納付方法などで迷うことがあれば、税理士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
相続税の納付についての大原則も押さえておきましょう。どの納付方法であっても共通するルールです。
相続税の申告は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」に所轄の税務署へ提出する必要があります。相続税の納付も申告期限と同様に「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」に行う必要があります。
税金の納付は現金で一括払いが鉄則で、相続税も同様に、基本的に現金で一度に納付をしなければなりません。
ただし、その相続人の財務状況によっては、相続税を年賦により分割納付する「延納」と、相続財産で納付する「物納」の方法で納付することも可能になっています。
相続税の申告は税理士に依頼していても、納付そのものは相続人自身が手続きをしなくてはいけません。
相続税の申告書を提出したあと、所轄の税務署から納付書が送られてくるわけではありません。そのため、税理士に作成をしてもらった納付書、または相続人自身で納付書を用意して、期限までに納付する必要があります。
また、納付するのは、相続人自身に課税された相続税のみとなります。ほかの相続人に自分自身の相続税を立て替えてもらったり、納付の期日を過ぎてしまったりすると、贈与税や延滞税などほかの税金が生じる可能性もあります。
相続が発生してからの、相続税の納付までの流れを解説します。下の図表「相続手続きの流れ」を参考にしてみてください。
相続税の申告期限および納税期限の基準となる「相続の開始があったこと」は人が亡くなったことを意味します。つまり、亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内が、相続税の申告期限および納税期限となります。
例外として、長い間行方不明で生死がわからない場合など、法律の規定により死亡したものとみなす「擬制死亡」で申告期限および納税期限が決まることもあります。
相続が発生したら、被相続人(以下「亡くなった人」)の遺産を調査しなければなりません。不動産であれば課税明細書など、預貯金であれば預金通帳、有価証券であれば残高報告書などにより、漏れることなく財産を把握することが重要です。
相続人を漏れなく把握するために、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を収集する必要があります。遺産の分割については原則的に遺言書が最優先されるため、自宅などで遺言書を探すことも重要になってきます。
遺言書の指定のない遺産については、相続人同士の遺産分割協議で、誰がどの財産を、どのような割合で相続するかを話し合う必要があります。
遺産分割協議が完了したら、その確定した内容を遺産分割協議書にまとめて、原則的には、相続人全員が署名と実印の押印をします。
遺言書や遺産分割協議書によって、遺産の分割方針が確定したら、相続税の計算を行います。
同時に相続税の申告書も作成して、提出の準備を進めます。
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相続の相談が出来る税理士を探す相続税の納付は納税手段の選択肢が広がって便利になりましたが、その一方で注意すべき点がいくつかあります。
相続人自身が現金一括で納税できない場合に、問題が発生する可能性が高いと言えます。
納税するお金がないからといって納税をしないでいると、ほかの相続人に迷惑をかけることになりかねません。「相続税について、各相続人がお互いに連帯して納付しなければならない」という「連帯納付義務」が適用されるからです。
まずは、本人宛に未納の通知や督促状が届きますが、それでも未納状態が続いてしまうと、ほかの相続人に納税を求められるケースもあります。
相続人本人がお金がないからといって、ほかの相続人が肩代わりすると、実質的に贈与を受けたものとされ「みなし贈与」として贈与税がかかるので注意しなくてはいけません。
仮に肩代わりをする場合には、金銭の貸し借りにすることなどの対策を講じることが必要です。
相続税の申告が申告期限に間に合っても、納税が期限に間に合わなければ延滞税というペナルティがかかるので注意する必要があります。
すでに述べたとおり、現金一括納付がどうしても難しければ、延納や物納という手段もあります。ただし条件がいろいろつきますし、早めに書類などの準備をする必要がありますので、しっかり調べてから検討することが重要となります。
相続が発生してからの10カ月というのは、葬儀や役所手続きなどと並行して進める必要があるため、想定している以上に時間がありません。働いている場合は特に余裕がないでしょう。
「納税なら誰でもできる」と思いがちですが、相続税は高額になることが多い税目です。
現金で一括納付となると難しい人がいてもおかしくありません。
生前に対策できることもありますし、相続が発生してから資金のねん出をする場合にもある程度の時間を要するケースがほとんどです。納税資金が不安という場合は、生前の対策や相続税申告も含めて税理士に相談すると安心できるはずです。
(記事は2023年7月1日時点の情報に基づいています)
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