年金受給者が亡くなった時の相続 年金の停止手続きや未支給年金や遺族年金の申請方法
年金を受給していた人が死亡したら、遺族はどのような対応をすればよいのでしょうか?相続手続きとは別に、年金には独自のルールがあるため、それに従って手続きを進めていく必要があります。今回は、年金受給者が亡くなった際の年金停止の手続きや未支給年金や遺族年金の申請など、遺族が必要な年金手続きの種類やルールについて社会保険労務士が説明します。
年金を受給していた人が死亡したら、遺族はどのような対応をすればよいのでしょうか?相続手続きとは別に、年金には独自のルールがあるため、それに従って手続きを進めていく必要があります。今回は、年金受給者が亡くなった際の年金停止の手続きや未支給年金や遺族年金の申請など、遺族が必要な年金手続きの種類やルールについて社会保険労務士が説明します。
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年金を受給している人が亡くなったら、まずは「受給権者死亡届」を年金事務所に提出しなければいけません。なお、この書類は、マイナンバーが日本年金機構に登録されている場合には省略できます。この手続きによって、亡くなられている方の年金がストップすることになりますが、手続きを怠って年金の受給を続けると、「不正受給」とみなされる可能性があります。提出の期限は国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内なので、早めに手続きを済ませましょう。
年金は、偶数月に2カ月分がまとめて振り込まれることになっているため、年金受給者が死亡時点でまだ受け取っていない年金や、亡くなった月分までの未払いの年金が発生します。例えば、令和4年2月10日に亡くなった年金受給者がいたとします。この場合、年金の権利としては令和4年2月分まで発生しますが、2月分が振り込まれるのは令和4年4月であるため、死亡してしまった本人はこれを受け取ることができません。これを「未支給年金」といい、請求することで遺族が受け取ることが可能です。
受け取ることができる遺族の範囲は、年金受給者が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他(1)~(6)以外の三親等内の親族です(受け取る順位もこの順番です)。
請求の手続きは、上述した死亡届とセットになっています。1枚目が未支給年金請求書で、2枚目が死亡届の複写になっているので、実際は同時に提出するような形です。その際、添付書類が必要です。
詳細は日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」のページをご覧ください。
未支給年金の請求は5年の時効がありますが、死亡届と併せて手続きをするのが良いでしょう。
未支給年金は相続財産とはみなされず、遺産分割の対象にならず、相続税もかかりません。これは、未支給年金は相続とは別に、受け取れる遺族の範囲や順位を定め、遺族の生活保障の意味合いがあるためです。ただし、未支給年金を受け取った遺族の一時所得に該当するので、ご注意ください。
一定の要件に当てはまる遺族がいる場合には、遺族基礎・厚生年金を受け取れる場合もあります。詳しい要件については、こちらの記事「遺族年金がもらえないケース 年金の種類別に社会保険労務士が解説│相続会議」ご覧ください。
遺族年金の申請は、指定の様式(請求書)に必要事項を記入し、各種証明書類を添付の上、最寄りの年金事務所に提出します。請求書の様式や書き方は、日本年金機構の「遺族年金を請求するとき」のページに掲載されているので、参考にされると良いでしょう。
仮に、遺族年金の要件には当てはまらなくても、以下のような国民年金からの給付制度があります。
【寡婦年金】
国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間と保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったとき、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時に夫に生計維持された妻が60歳~65歳の間に受給可能
参考:「寡婦年金をうけとるとき│日本年金機構」
【死亡一時金】
国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎・障害基礎年金を受け取ることなく亡くなったときに、その方と生計同一の遺族が受給できる
参考:「死亡一時金を受けるとき│日本年金機構」
遺族年金も、やはり相続財産ではないため相続税はかからず、また、所得税も課税されません。
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相続の相談が出来る税理士を探す年金受給者が勤務していた企業によって、企業年金に加入している場合があります。企業年金は、公的年金にプラスして、会社が独自に設ける年金制度で、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金などがあります。また、個人年金として保険料を支払い、加入している方もいるかと思います。これらの年金制度からも遺族に対する給付(遺族一時金や未支給年金等)が受けられる場合があります。年金証書や振込通知書等があれば、管理機関に連絡をして必要な手続きをしてください。
給付があった場合には、基本的に相続財産とみなされ、相続税がかかることになります。
年金制度は、相続の考え方と異なる基準が存在します。また、請求をしないと本来もらえるはずの年金がもらえなかった、ということにもなりかねません。不明な点がある場合は、最寄りの年金事務所や社会保険労務士に、また、税金については税理士にご相談ください。
(記事は2022年4月1日現在の情報に基づいています)
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