目次

  1. 1. 年金受給者が亡くなったら年金停止の手続きを行う
  2. 2. 未支給年金の申請
    1. 2-1. 未支給年金と税金
  3. 3. 遺族年金の申請
    1. 3-1. 遺族年金と税金
  4. 4. 企業年金や個人年金の取り扱い
  5. 5. まとめ

年金を受給している人が亡くなったら、まずは「受給権者死亡届」を年金事務所に提出しなければいけません。なお、この書類は、マイナンバーが日本年金機構に登録されている場合には省略できます。この手続きによって、亡くなられている方の年金がストップすることになりますが、手続きを怠って年金の受給を続けると、「不正受給」とみなされる可能性があります。提出の期限は国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内なので、早めに手続きを済ませましょう。

年金は、偶数月に2カ月分がまとめて振り込まれることになっているため、年金受給者が死亡時点でまだ受け取っていない年金や、亡くなった月分までの未払いの年金が発生します。例えば、令和4年2月10日に亡くなった年金受給者がいたとします。この場合、年金の権利としては令和4年2月分まで発生しますが、2月分が振り込まれるのは令和4年4月であるため、死亡してしまった本人はこれを受け取ることができません。これを「未支給年金」といい、請求することで遺族が受け取ることが可能です。

受け取ることができる遺族の範囲は、年金受給者が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他(1)~(6)以外の三親等内の親族です(受け取る順位もこの順番です)。

請求の手続きは、上述した死亡届とセットになっています。1枚目が未支給年金請求書で、2枚目が死亡届の複写になっているので、実際は同時に提出するような形です。その際、添付書類が必要です。
詳細は日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」のページをご覧ください。
未支給年金の請求は5年の時効がありますが、死亡届と併せて手続きをするのが良いでしょう。

未支給年金は相続財産とはみなされず、遺産分割の対象にならず、相続税もかかりません。これは、未支給年金は相続とは別に、受け取れる遺族の範囲や順位を定め、遺族の生活保障の意味合いがあるためです。ただし、未支給年金を受け取った遺族の一時所得に該当するので、ご注意ください。

一定の要件に当てはまる遺族がいる場合には、遺族基礎・厚生年金を受け取れる場合もあります。詳しい要件については、こちらの記事「遺族年金がもらえないケース 年金の種類別に社会保険労務士が解説│相続会議」ご覧ください。

遺族年金の申請は、指定の様式(請求書)に必要事項を記入し、各種証明書類を添付の上、最寄りの年金事務所に提出します。請求書の様式や書き方は、日本年金機構の「遺族年金を請求するとき」のページに掲載されているので、参考にされると良いでしょう。

仮に、遺族年金の要件には当てはまらなくても、以下のような国民年金からの給付制度があります。

【寡婦年金】
国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間と保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったとき、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時に夫に生計維持された妻が60歳~65歳の間に受給可能
参考:「寡婦年金をうけとるとき│日本年金機構

【死亡一時金】
国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎・障害基礎年金を受け取ることなく亡くなったときに、その方と生計同一の遺族が受給できる
参考:「死亡一時金を受けるとき│日本年金機構

遺族年金も、やはり相続財産ではないため相続税はかからず、また、所得税も課税されません。

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年金受給者が勤務していた企業によって、企業年金に加入している場合があります。企業年金は、公的年金にプラスして、会社が独自に設ける年金制度で、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金などがあります。また、個人年金として保険料を支払い、加入している方もいるかと思います。これらの年金制度からも遺族に対する給付(遺族一時金や未支給年金等)が受けられる場合があります。年金証書や振込通知書等があれば、管理機関に連絡をして必要な手続きをしてください。
給付があった場合には、基本的に相続財産とみなされ、相続税がかかることになります。

年金制度は、相続の考え方と異なる基準が存在します。また、請求をしないと本来もらえるはずの年金がもらえなかった、ということにもなりかねません。不明な点がある場合は、最寄りの年金事務所や社会保険労務士に、また、税金については税理士にご相談ください。 

(記事は2022年4月1日現在の情報に基づいています)