目次

  1. 1. 未支給分が生じる年金は3種類、税金は種類によって違う
    1. 1-1. 公的年金(国民年金や厚生年金など)
    2. 1-2. 企業年金
    3. 1-3. 個人年金契約に基づく個人年金
  2. 2. 公的年金の未支給分は相続税がかからない
  3. 3. 企業年金の未支給分は相続税がかかる
    1. 3-1. 在職中に死亡した場合、死亡退職金として相続税の課税対象となる
    2. 3-2. 受給中に死亡した場合、定期金に関する権利として相続税がかかる
  4. 4. 個人年金の未支給分は相続税がかかる
  5. 5. その他の年金の税金に関する注意点
    1. 5-1. 遺族年金は所得税も相続税も非課税
    2. 5-2. 個人年金でも保険料負担者が生きている人なら贈与税の対象になる
  6. 6. まとめ|未支給年金の取り扱いは税理士に相談を

年金は大きく3種類に分けられます。未支給分の年金が発生した場合には、その種類によって税金の取り扱いが異なるのです。

公的年金は2カ月に1回、前月分と前々月分がまとめて支払われます。公的年金は後払いですので、受給者が亡くなった場合、未支給年金が発生します。そして、公的年金の未支給分には相続税がかかりません。

企業の中には、退職金を年金形式で支払う企業年金制度を採用している会社があります。
たとえば、退職金を年金形式で受け取ることとし、支給期間20年で、5年目で亡くなった場合、残った期間の企業年金が未支給年金となります。この企業年金の未支給分は相続税の課税対象です。

個人年金については保険会社との契約内容によりますが、被保険者が亡くなった場合でも一定の支給期間内であれば、遺族に年金が支給されるものがあります。
このような形態の個人年金では、企業年金と同じように、死亡後の残期間に対する未支給年金が発生します。
個人年金の未支給分は相続税の課税対象となります。未支給年金が高額になる場合は、相続税の計算にも大きな影響があると考えられるため、注意が必要です。

遺族が未支給の公的年金を受け取った場合、相続税はかかりません。これは、「遺族は公的年金の未支給分を『自己の固有財産』として請求している」という最高裁判決によるものです。
言い換えれば、未支給年金は受け取った遺族の所得となります。従って、遺族の一時所得となり所得税の対象となりますが、相続税はかかりません。

在職中に亡くなった人に代わって、遺族に支払われる退職金を死亡退職金といいます。
死亡退職金は、「退職手当金等」として相続税の課税対象となります。ただし、死亡退職金には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」までの相続税は非課税となります。

企業年金を受け取っている間に受給者が亡くなった場合、残りの期間の企業年金は遺族が代わって受け取ることになります。しかし、受給することになった遺族は、支払い元と直接の契約を結んでいるわけではありません。
このことから、企業年金などの受給権のことを「契約に基づかない定期金」といいます。
相続が開始した時点で未支給の企業年金があれば、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、相続税の課税対象となります。
また、未支給の企業年金については、死亡退職金のような非課税枠がないことにも注意が必要です。

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個人年金とは保険契約に基づく年金で、保険料負担者・被保険者・年金受取人がすべて同じ個人年金保険契約です。
年金支払い期間内にその人が亡くなったために、遺族が残りの期間について年金を受け取ることになると、未支給年金が発生します。
この場合、亡くなった人から「年金受給権」を相続したものとみなされ相続税の課税対象となります。相続税の非課税枠の適用はありません。

厚生年金や国民年金などを受給していた人が亡くなったときに遺族に対して支給される遺族年金は、所得税も相続税も非課税です。

個人年金でも保険料負担者が生きている場合、言い換えれば、個人年金で「保険料負担者以外の人」が受け取る場合は、贈与税の対象になります。
たとえば、保険料負担者が夫で年金受取人が妻となっている契約では、夫が生きている間は妻が年金を受け取ります。この場合、妻に贈与税がかかります。

未支給年金にかかる税金は、年金の種類によって取り扱いが異なり複雑です。
公的年金はその仕組みから必ず未支給年金が発生しますが、相続税の対象になりません。一方、企業年金や個人年金の未支給分は、原則として相続税の対象です。
このほか、相続税がかかる場合、所得税や贈与税がかかる場合などさまざまなケースがあるため、区別が難しいでしょう。年金にかかる税金について気になることがあれば、税理士などの専門家に相談してみてください。

(記事は2021年6月1日現在の情報に基づいています)

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