遺族年金の受給資格を確認

まずは年金について見ていきましょう。

家計を支えていた人が亡くなった場合には、遺された家族が生活に困らないよう、「遺族年金」が支給されます。

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遺族が受け取る二つの年金

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。

遺族基礎年金は、「子のある配偶者」あるいは「子」のみが受け取れるものです。ここで言う「子」とは、18歳になった年度の3月末までの子、あるいは障害等級1~2級の20歳未満の子を指します。子が18歳(障害等級1~2級の場合は20歳未満)になった年度の3月までの支給で、「78万1700円+子の加算」です。第1子と第2子は各22万4900円、第三子以降は各7万5000円が加算されます(金額は2020年度の額)。

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されるものです(遺族基礎年金を受け取る場合はそこに上乗せされる)。受け取れるのは、「子のある妻、または子のある55歳以上の夫」、それにあたる人がいなければ「子」、次は「子のない妻」「子のない55歳以上の夫」「55歳以上の父母」などと、優先順位が決まっています。金額は、故人が受け取っていた老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。例えば、会社員だった父親が20万円の年金を受けっていた場合、遺族厚生年金は15万円と思いがちですが、そうではありません。故人の年金には老齢基礎年金も含まれており、遺族が受け取れるのは、あくまで老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。

遺族が困らないように支給される、という性質のため、原則として年収850万円以上の人は受給できません。

例えば会社員のAさん(50代)の父親が、母親を遺して他界(子どもはすでに成人)した場合、母親(18歳未満の子がない妻)が遺族厚生年金を受け取ることができます。母親自身の年金に、父親(夫)の遺族厚生年金が加わる、ということになります。

受給の権利発生から5年で時効に

遺族基礎年金の申請先は住所地の市区町村役場(死亡時に国民年金第3号被保険者の場合は年金事務所または年金相談センター)、遺族厚生年金は年金事務所または年金相談センターです。戸籍謄本や住民票、死亡診断書のコピーのほか、ケースによって必要書類が異なります。事前に確認のうえ、手続きしましょう。

やむを得ない事情がない限り、権利が発生してから5年を経過すると時効になって受け取る権利が消滅しますので、要注意です。

死亡一時金と寡婦年金の受給資格は

故人が第1号被保険者(国民年金加入者)では遺族厚生年金が支給されませんし、遺族に子どもがいなければ遺族基礎年金もありません。そうした人が、老齢年金を受け取らないまま亡くなった場合、遺族に「死亡一時金」か「寡婦年金」が支給される可能性があります。

死亡一時金は、故人が第1号被保険者として保険料を36月以上納めた場合に遺族に支給され、金額は保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円です。

寡婦年金の対象となるのは、故人が第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上あり(2017年8月1日以降死亡の場合)、死亡時点で10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻です。支給されるのは60~65歳までの間で、金額は夫が第1号被保険者期間だった期間に応じて計算した老齢基礎年金額の4分の3です。寡婦年金か死亡一時金か、いずれかを選択します。

ほかにも、夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻が受ける遺族厚生年金には、一定の要件を満たせば、40歳から65歳になるまで「中高齢の寡婦加算」もあります。遺族が受け取れる年金や死亡一時金などはやや複雑ですから、親族が亡くなった際には、早めに年金事務所などに相談するといいでしょう。

死亡一時金は死亡の翌日から2年、寡婦年金は同5年で時効となります。

故人への未支給年金を受け取るには

年金についてもう一つ知っておきたいのが、「未支給年金給付」です。

年金は4月に亡くなった場合は4月分までなど、亡くなった月の分まで受け取ることができます。しかし年金は偶数月に、過去2カ月分が振り込まれる仕組みであるため、亡くなった月の分を本人が受け取ることはできません。この分を「未支給年金給付」と言い、故人と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。

まずは配偶者、配偶者がいなければ子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、3親等以内の親族、というように優先順位が決まっており、同居していなくても定期的に仕送りしていた、してもらっていた、という遺族も対象になります。

加入していたのが国民年金なら14日以内、厚生年金なら10日以内に住所地の市区町村、または年金事務所や年金相談センターに、「年金受給権者死亡届」を提出します。手続きが遅れると死亡後も故人に対して年金が支払われ、後日、返還しなければいけないので、要注意です。

故人の高額医療費も還付が可能

故人に多額の医療費がかかっていた場合は、医療費の還付を受けられないか、確認してみましょう。

健康保険には、「高額療養費」という制度があり、医療費の自己負担額が一定の額(上限額)を超えた場合、超過した分が医療保険から給付されます(差額ベッド代や食事代などは別途自己負担)。上限額は年齢や所得によって異なり、例えば70歳以上で年収370万円未満の場合、入院では5万7600円が1カ月の上限で、それを上回る分が還付されます。

還付を受けるには市区町村などに申請する必要があり、医療を受けた人が亡くなった場合は、相続人が申請し、還付を受けることができます。医療機関の窓口にあらかじめ「限度額認定証」を提出しておくと、窓口での支払いが上限までで済みます。その場合、支払う時点で高額療養費が適用されているわけですが、そうしたケースでも還付が受けられる場合があります。

高額療養費には、生計を一にする家族の医療費を合算できる「世帯合算」や、同じ世帯で1年に4回以上自己負担が一定額を超えると4回目からは自己負担の上限が軽減される「多数回該当」という制度があります。それらに該当する場合は、申請によってさらに還付が受けられるのです。

申請には、故人との関係を証明できる戸籍の写しや医療費の領収書などが必要です。医療費が多くかかったが高額療養費を受けていない、高額療養費を受けたが医療費がかかる月が多くあった、同じ時期に家族にも多額の医療費がかかった、という場合は、市区町村の窓口で確認してみましょう。

介護費が還付対象になるケースも

また、介護費(公的介護保険のサービス)が一定額を超えた場合には「高額介護サービス費」、医療費と介護費の合計が一定額を超えると「高額医療・高額介護合算療養費」として還付が受けられます。公的介護保険のサービスを利用していた場合も、確認してみてください。

なお、被相続人の死亡後、相続人が受け取った故人の高額医療費などは、相続財産に含める必要があります。高額療養費の請求は2年間という期間が設けられていますが、相続財産として扱われるため、少なくとも相続税の申告期限内(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内)に金額を把握しておく必要があります。

(記事は2020年5月1日時点の情報に基づいています)

◇【お詫び】
本記事は2020年7月9日に内容の一部を修正しました。5月29日~7月9日まで公開していた記事の中で、遺族基礎年金が受け取れるのは「子のある妻または子のある55歳以上の夫」と記載していましたが、正しくは「子のある配偶者」の誤りでした。また、記事の中で一部「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の内容を混同して表記した部分がありましたことをお詫びいたします。