1. 遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリット

遺留分侵害額請求は、相続人ご自身で行うよりも、弁護士に依頼する方がスムーズに進められます。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。

①請求の真剣度が相手に伝わり、任意に支払われる可能性が高い

弁護士を通じて請求を行うことで、本格的に遺留分侵害額を回収しようとしていることが相手方に伝わります。
相手方としても、「訴訟などに持ち込まれては大変だ」ということで、早い段階で任意に支払いを行う可能性が高まるでしょう。

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②請求にかかる労力・精神的ストレスを軽減できる

遺留分侵害額の計算・相手方との交渉・調停や訴訟の準備など、遺留分侵害額請求には膨大な労力がかかります。
弁護士に依頼することで、これらの労力を軽減でき、精神的なストレスも幾分軽くなるでしょう。

③正当な遺留分侵害額を正確に計算できる

遺留分侵害額は、相続財産や生前贈与などの金額を漏れなく把握したうえで、民法のルールに従って正しく計算しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、財産調査・民法の正しい適用により、正当な遺留分侵害額を正確に計算できます。

④支払いを拒否されて調停や訴訟に発展しても安心

遺留分侵害額の支払いを相手方が拒否した場合、調停や訴訟に場を移して争うことになります。
裁判所で行われる調停・訴訟には独特の雰囲気があり、また準備や期日対応にも多大な労力を要するので、相続人ご自身で対応するのは大変です。
弁護士に依頼することで、調停・訴訟の準備・対応を一任できるので、戸惑うことなく手続きに臨むことができます。

⑤消滅時効の完成前に迅速な対応が可能

後述するように、遺留分侵害額請求権には消滅時効があるため、できる限り早めの対応が必要です。
弁護士は、消滅時効の完成を阻止する措置を迅速に講じたうえで、早期・円滑に遺留分侵害額を回収するために尽力してくれます。

2. 遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すべき状況とは?

以下のいずれかに該当する方は、遺留分侵害額請求について、すぐに弁護士に相談した方がよい状況にあると考えられます。

①忙しくてなかなか請求の準備ができない場合

遺留分侵害額請求はやるべきことが多く、さらに専門的な対応が求められます。
そのため、十分な検討を行う時間が取れない場合は、つい後回しになってしまいがちです。
仕事などが忙しく、遺留分侵害額請求の準備がなかなか進まない場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

②相手方とコミュニケーションをとるのが億劫な場合

相手方との交渉などを代行してくれることも、弁護士に遺留分侵害額請求を依頼するメリットの一つです。
もし相手方と疎遠・不仲・険悪であるために、コミュニケーションをとるのが億劫な場合は、弁護士を代理人とすることでストレスを軽減できます。

③相手方が支払いを拒否している場合

相手方が遺留分侵害額の支払いを拒否している場合、将来的に調停や訴訟に発展する可能性が高いです。
このような場合は、早い段階から弁護士に相談することで、法的手続きへの準備を十分に整えることができます。

④相続財産等の全体像がつかめない場合

遺留分額および遺留分侵害額は、相続財産や生前贈与の対象となった財産などの金額を用いて計算されます。
そのため、遺留分侵害額請求を行うに当たっては、相続財産や生前のお金の流れを漏れなく把握することが必要不可欠です。
相続財産や生前贈与などの内容・金額がわからない場合には、弁護士にアドバイスを求めましょう。

⑤遺留分の計算方法がわからない場合

遺留分の金額は、民法に基づいた複雑な計算によって求められます。
もし遺留分の計算方法がわからない場合には、弁護士に計算を依頼するのがもっとも確実です。

⑥消滅時効の完成が心配な場合

遺留分侵害額請求権の消滅時効が完成すると、もはや遺留分侵害額を回収することはできなくなってしまいます。
消滅時効の完成を阻止する方法については、弁護士にアドバイスを求めることをお勧めします。

3. 遺留分侵害額請求に関する弁護士費用の相場は?

遺留分侵害額請求の弁護士費用は、大きく以下の3つに分類されます。

①相談料
正式な依頼の前に、法律相談を利用する場合の費用です。
30分5500円(税込み)程度かかるのが一般的ですが、弁護士によっては無料の場合もあります。

②着手金
正式に依頼する際に、初期費用として支払います。
以下の表は、日弁連の旧報酬基準に従った着手金額(税込み)の目安ですが、実際の金額は弁護士によって異なります。

着手金の目安
着手金の目安

③報酬金
遺留分侵害額を回収できた場合に、成功報酬として支払う費用です。
こちらも日弁連の旧報酬基準に従ったテーブルを紹介しますが、弁護士によって費用が異なる点は着手金と同様です。

成功報酬の目安
成功報酬の目安

3-1. 弁護士費用のシミュレーション①|請求額300万円、回収額200万円の場合

請求額300万円、回収額200万円の場合、前述の旧報酬基準に従うと、遺留分侵害額に関する弁護士費用の総額は以下のようになります。

・着手金
300万円×8.8%=26万4000円

・報酬金
200万円×17.6%=35万2000円

合計:61万6000円
※回収額の30.8%

3-2. 弁護士費用のシミュレーション②|請求額1200万円、回収額800万円の場合

次に、請求額・回収額ともに増えた場合に、旧報酬基準に従った弁護士費用がどのように変化するかを見てみましょう。
請求額1200万円、回収額800万円の場合、旧報酬基準に従った遺留分侵害額請求の弁護士費用は、以下の通りです。

・着手金
1200万円×5.5%+9万9000円=75万9000円

・報酬金
800万円×11%+19万8000円=107万8000円

合計:183万7000円
※回収額の23.0%

このように、請求額・回収額が増えた場合、弁護士費用も増額されますが、回収額に占める弁護士費用の割合は下がることが分かります。

4. 遺留分侵害額請求は消滅時効に注意

遺留分侵害額請求権には、「相続の開始を知った時から1年」という消滅時効が設定されています(民法1048条)。
消滅時効が完成してしまうと、遺留分侵害額を回収できなくなるので、必ず時効完成前に対応しなければなりません。
消滅時効の完成を阻止する方法としては、時効の「完成猶予」と「更新」の2通りがあります。

◎時効の完成猶予

消滅時効の完成を一時的に猶予します。
内容証明郵便による催告を行えば、6カ月間時効の完成が猶予されます(民法150条1項)。
また、裁判上の請求・支払督促・仮差押えなどによっても、時効の完成猶予効が生じます(民法147条1項、149条など)。

◎時効の更新

消滅時効をリセットし、カウントをゼロに戻します。
裁判上の請求によって権利が確定した場合などに、時効が更新されます(民法147条2項など)。

消滅時効の完成を阻止するためには、民法のルールに従って、適切に完成猶予または更新の措置を講じなければなりません。
これらの手続きを確実に行うためには、弁護士へのご相談をお勧めいたします。

5. 遺留分侵害額請求を依頼する弁護士の選び方

遺留分侵害額請求を行う場合、ぜひとも信頼できる弁護士に代理を依頼したいところです。
以下のポイントに当てはまる弁護士は、信頼できる弁護士である可能性が高いので、初回相談などの際に各ポイントを見極めましょう。

①相続案件に関する経験・実績が豊富

多様な相続案件を取り扱った経験のある弁護士は、遺留分侵害額請求のポイントにも精通しており、能力的に信頼性が高いといえます。

②親身に相談に乗ってくれる

丁寧にヒアリングを行い、お悩みに合わせたわかりやすいアドバイスをしてくれる弁護士は、相談役として大いに頼りになるでしょう。

③弁護士費用が明確

依頼の段階で、弁護士費用について明確に説明を行う弁護士は、依頼者との信頼関係を築こうとする姿勢が見られるため、信頼に足る人物である可能性が高いです。

6. まとめ|遺留分侵害額請求は早めに弁護士へ相談を

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すると、具体的な金額計算・相手方との交渉・調停や訴訟への対応など、必要な手続きを一任できるため、ご本人の労力は大きく軽減されます。
相手方に対しても、弁護士を通じて支払いを求めることでプレッシャーを与えることができ、結果的に早期・円滑な遺留分侵害額の回収に繋がる可能性が高いです。

遺留分侵害額請求を検討しているものの、ご自身で対応するのは荷が重いと感じている方は、お早めに弁護士までご相談ください。
(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています)