目次

  1. 1. 贈与税の修正申告が必要なとき
  2. 2. 贈与税の修正申告と納税は
    1. 2-1. 過少申告加算税
    2. 2-2. 延滞税
  3. 3. 贈与税の修正申告を税理士に頼むメリット
    1. 3-1. 正確に計算・申告してくれる
    2. 3-2. 時間を節約できる
    3. 3-3. アドバイスがもらえる
    4. 3-4. 相続税の申告時にもれがない
  4. 4. 贈与税の申告を税理士に頼んだ時の報酬は
  5. 5. まとめ|まずは相談してみよう

修正申告とは、すでに終わっている申告をやり直すことをいいます。ただし、申告のやり直しは修正申告だけではありません。もう一つ、更正の請求というものもあります。両者の違いは次のとおりです。

修正申告…前回の申告での納税額が少なすぎたり、還付額が多すぎたりしたときのやり直しの申告
更正の請求…前回の申告での納税額が多すぎたり、還付額が少なすぎたりしたときのやり直しの申告
修正申告を行うときは、追加の納税をしなくてはなりません。なお、修正申告が必要になるのは、主に次のようなケースです。

  • 申告し忘れた財産があった
  • 申告した財産の評価額や納税額が少なすぎた
  • 税務調査で申告漏れを指摘された

贈与税の修正申告と納税は次のようになっています。

申告
贈与税の修正申告は、紙の申告書を作成するか、国税庁の「贈与税の修正申告書作成コーナー」というウェブサイトで入力して作成するかになります。国税庁のサイトのほうが、入力についてその都度案内が表示されるので、作成しやすいかもしれません。

納税
足りない分の贈与税を納めます。納期限は修正申告書を提出した日です。ただし、実際に納付するのは贈与税だけではありません。次のペナルティもかかります。

贈与した年の翌年3月15日が贈与税の通常の法定申告期限です。この日までに提出した申告書に書かれた贈与税額が本来の金額より少なすぎたときに過少申告加算税がかかります。

課される金額は、原則「追加で納めることになった贈与税×10%」です。ただし、この追加の贈与税が、「最初に申告した贈与税の金額」「50万円」のうち、より多いほうの金額を超えていたら、「超えた部分の贈与税額×15%」も納めなくてはなりません。

ただし、これは税務調査で指摘されて修正申告をした場合の話です。税務調査の通知の前に自ら気づき、自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。なお、財産を隠ぺいまたは仮装するなどがあった場合は、過少申告加算税に代えて重加算税がかかります。こちらは35%という高い税率です。

修正申告を出すケースでは、追加の納税を法定納期限である3月15日よりも遅れて行うことになります。納税が法定納期限よりあとになると「延滞税」というペナルティも払わなくてはなりません。

この延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納税した日の日数に応じて計算します。「追加の納税額×割合」で計算するのですが、この割合は、実際に納税した日が修正申告書を提出した日の翌日から2カ月月以内かどうかで変わります。2021年1月1日から12月31日においては、次の割合です。

納税した日が修正申告書の提出日の翌日から2カ月以内…年2.5%
納税した日が修正申告書の提出日の翌日から2カ月よりあと…年8.8%

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自分で贈与税の修正申告書を作成できますが、税理士に頼んだほうが良いかもしれません。次のようなメリットがあるからです。

贈与税を計算には、財産評価が必要です。評価額は「贈与された時点の財産の時価」と定義されていますが、実際は相続税法や財産評価基本通達に従って計算します。

もし贈与された財産が土地や建物、有価証券や美術品などであれば、正確な評価に時間がかかります。特に不動産はなかなか難しいものです。しかし、税理士ならば正しく計算したうえで申告してくれます。

仮に自分で計算できそうだとしても、忙しい毎日のなかで計算し、申告書を作成するのは大変です。また、納税が遅れれば遅れるほど、延滞税は増えていきます。

税理士に依頼すれば、こういった作業にかける時間を短縮し、早めに申告・納税を済ませられます。精神的な負担から解放されますし、無駄な支出も抑えられるのです。

贈与税の修正申告をきっかけに、税理士に税金の相談ができるようになります。節税や円満な相続に関するアドバイスを受けられるかもしれません。相続や贈与で悩みを抱えているなら、修正申告の依頼はプラスに働く可能性があります。

贈与税に関わった税理士に相続税の申告も依頼すると安心です。贈与の内容を知っているので、財産の計上もれが生じにくくなります。

相続税で申告するのは、相続した財産だけではありません。死亡日以前3年間に相続人や受遺者が贈与を受けた財産や、相続時精算課税制度で子や孫が贈与を受けた財産も含みます。生前に贈与された財産は、相続人や受遺者にとって「相続財産ではない」と思われがちなので、申告もれが生じやすくなります。

相続時の対応については、下記2つの記事も参考にしてみてください。


一般の人が相続税の申告を行うケースや、相続税の申告だけを税理士に依頼するケースではうっかりしがちです。しかし、いったん贈与税で関与した税理士ならば把握しているので、相続税の申告を行うと計上もれが生じにくくなります。結果、相続税の修正申告や余計なペナルティの支払いも防ぐことができます。

気になるのが依頼したときの税理士報酬です。どれくらいかかるのでしょうか。

報酬の計算方法は、税理士によって異なりますが、多くは5万円からのようです。ただし、これはあくまでも基本料金です。

土地や建物、有価証券などのように財産評価が必要なものがあるなら、別途料金がかかります。この他、贈与された財産全体の金額や特例の適用などで報酬が変動することもあります。

贈与税の修正申告に関して、「自分でやったほうが良いかな」と思うかもしれません。しかし、すでにお伝えしたとおり、贈与税の修正申告は何かと手間がかかります。時間を節約し、いつもどおりの生活をしたいと思うなら、専門家の手を借りるほうが無難です。

とはいえ、「いくらかかるか」はやはり心配です。また、サービスの内容や相性も気になるところ。まずは複数の税理士に連絡し、報酬の見積もりを兼ねて会ってみると良いでしょう。

(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています)