目次

  1. 1. 遺品整理を始める時期やタイミング
  2. 2. 遺品整理のポイントと注意点
    1. 2-1. スケジュールを決める
    2. 2-2. 遺品を4つの分類に分ける
  3. 3. 自分で遺品整理を行う場合の注意点とは?
  4. 4. 遺品整理を業者に依頼する場合の注意点とは?
  5. 5. まとめ

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家族を失った遺族が遺品整理をするタイミングはどんな時が多いのでしょうか。

遺品整理の最適なタイミングは「遺族にとって心の整理が出来た時」です。ただ、遺品整理には様々な手続きがあり、親族が集まるタイミングがやりやすいと言われています。

一般的な遺品整理のタイミングとしては、「四十九日後・諸手続き後・葬儀後・相続前」です。理由は、親族が集まるタイミングであり、整理を効率的に行えるからです。しかし、精神的に落ち着いていない時期に無理して遺品整理を行うと、余計に心が乱されてしまい、思うように進みません。

実家におもむいて処分品と貴重品の仕分けをしていると、アルバムや写真などが目に入り、手に取ると故人との思い出がよみがえってきます。感情的になってなかなか手がつかないケースも多く、2~3年ほど実家をそのままの状態にしている人も少なくありません。そのため、故人への思いに整理がついたタイミングで遺品整理を行うのが、もっとも良いと言えるでしょう。

しかし、故人が賃貸に住んでいた場合は、退去まで家賃を払い続けることになるので、早めに整理するのが良いでしょう。高齢で賃貸に入居した場合には、亡くなった後の原状回復について貸し主(大家)と取り決めを交わしている場合もあるので、貸し主・管理会社に連絡をとり、遺品整理の日取りを確認したほうがよいでしょう。

賃貸以外にも注意が必要です。最近非常に多い相談は、亡くなった方以外は誰も住んでおらず、空き家になっているというケースです。その空き家が「特定空家」(倒壊の恐れなど、放置することが不適切な状態にある建物のこと)に指定されると固定資産税が上がり、場合によっては、50万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

故人や家族にとって大事な物は人それぞれです。依頼する際にも立ち会った方がいいといいます(写真提供:遺品整理士認定協会)
故人や家族にとって大事な物は人それぞれです。依頼する際にも立ち会った方がいいといいます(写真提供:遺品整理士認定協会)

次に、業者ではなく、遺族自身で遺品整理する際に注意したいポイントを説明します。

自分で遺品整理をする場合は「スケジュール・分類・処分・分配」というポイントを決めると進めやすくなります。

遺品整理を行う際にスケジュールをたてずに作業を開始すると、作業の目途がつかず整理が終わらなくなる場合があります。

まず決めることは「いつまでに終わらせるか」という終了予定日の設定です。遺品の量や片付けを行う人数によってかかる時間が変わるため、無理のない作業期間を設けましょう。次に「この日は居間の片付けを完了させる」といった具体的な内容を決めます。その日の目標があるかどうかで作業スピードに大きな違いが出ます。

作業計画は、終了予定日から逆算して立てましょう。詳細な計画を立てると後の作業が楽になります。

スケジュールを決めたら、次は遺品を分類しましょう。遺品は主に「貴重品」「思い出の品(形見)」「再利用」「廃棄」の4つに分類できます。それぞれの具体例は以下の通りです。

【貴重品】

  • 通帳
  • クレジットカード
  • 土地の権利書など不動産関係の書類
  • パスポート
  • 年金手帳
  • 健康保険証
  • 有価証券
  • 貴金属(宝石や骨とう品、美術品)など価値の高いもの

貴金属類は資産として売買することもできます。売却したお金で遺品整理業者への支払いに充てることもできるため、一度買い取り専門の業者に相談しておきましょう。また遺品整理業者のなかには、中古品の買い取りに対応しているところもあります。

なお財産的価値のある土地の権利書や有価証券のほか、貴金属類も1点5万円以上など時価の資産価値が高ければ、相続財産として評価の方法が変わります。金額次第では財産相続に関わる場合もある事柄なので、専門の税理士や司法書士に別途相談しましょう。

【思い出の品(形見)】

  • 写真や手紙
  • 時計やアクセサリー
  • 趣味のコレクション

人によって残す物や大切にしたいと思う物は様々です。例えば手紙や写真、旅行先での思い出の品、集めていた人形などがあります。持ち物やコレクションが多い場合は、寄付をするのか処分するのかなど、生前から家族と話し合っておく事が大切です。

コレクションの中でも時計やアクセサリーなど資産価値が高いと予想されるものについては、先述の通り財産相続に関わる場合もあるため、専門家に相談するほうが良いでしょう。

【再利用品として業者に回収してもらう物】

  • 冷蔵庫、テレビ、洗濯機、パソコンなど稼働可能な家電
  • ベッドやタンスなどの家具
  • 鍋や釜などの金属類(銅、アルミ、ステンレスなど)
  • 衣類
  • 古紙、古布、プラスチック類

通常は処分費用がかかる家電製品を無料で引き取ってくれることもあるほか、物品によっては買い取ってくれることもあります。地域のNPO法人や福祉施設に寄付をするのもひとつの手です。海外でのリユースを手配してくれる遺品整理業者もいるので、業者のウェブサイトを確認してみてください。

【廃棄】

  • 燃えるゴミ(紙、革製品、ビニール、小物家具、そのほか雑品など)
  • 燃えないゴミ(せともの、金属類、電球、スプレー缶など)
  • 粗大ゴミ(大型家具、リサイクルの義務付けられていない家電、布団など)
    ※ゴミの分別は市区町村ごとの分別方法を確認してください。

思い出の品として残すことも、また再利用することもない物は「一般廃棄物」として処分してみてはいかがでしょう。

業者ではなく、自分で遺品整理を行う際の注意点もいくつかあります。

まず、近所から苦情が来る事があります。遺品整理を行うと、思いのほか騒音が出る場合もあります。整理する時間帯に気を付けること、また、騒音が出る可能性や駐車スペースなどで迷惑がかかるかもしれないことを、あらかじめ近所の人に伝えるなどの対策をしておきましょう。

次に精神的、肉体的な負担が大きく、想像以上に時間がかかることも念頭におきましょう。
遺品整理の中で、肉体的負担や大切な遺品を処分することで精神的負担を感じる方も多いです。そのため、スケジュール通りに整理が進まない場合もあります。また夏の時期は、熱中症などを気にかけながらの作業になるため、急いで終わらせる必要がない場合は、焦らず着実に整理を進めたほうが良いでしょう。

最後に、大切な遺品を誤って処分してしまうケースも多いため、注意が必要です。財産や税金関係の書類、不動産の権利書などを誤って処分すると、トラブルが発生する可能性があります。複数人で作業する際は、遺品整理時の注意点や担当する部屋を事前に決めておくと、このようなトラブルの防止につながります。

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普段は遠方で暮らす遺族の場合や、長い時間をかけて整理するのが難しい場合は、「遺品整理業者」に依頼するのも選択肢になります。遺品整理業者へ依頼する際は、様々なポイントがあります。

まず、次の点が明確な業者を選びましょう。

  • 訪問見積もりをしていること。
  • 見積もり料金・内容が明確に提示されていること。
  • 問い合わせや見積もり時の対応が丁寧。
  • 契約書を交わすか否か。

現在の遺品整理業者の価格決定方法には統一されたルールがないため、各社バラバラなのが実状です。中には、見積もり段階では安く提示し、遺品整理の当日になって追加料金を請求する業者もいます。これは依頼者にとって大変困ることであるため、国民生活センターや業者によく問合せが来ます。

遺品整理の依頼は頻繁に行うものではないからこそ、依頼者が納得するまで依頼をするのは控えましょう。また複数の業者に見積もりをとる「相見積もり」をとることをお勧めします。

業者に依頼する際は、仕分けや分別も不要です。極論を言えば立ち会いも必要ないのですが、可能であれば立ち会いをしましょう。事前の聞き取りで遺品捜索のお願いや触らないでほしいもの、残して欲しいものなど、ある程度の把握はできますが、思い出の品に関しては遺族にしかわかりません。大事な思い出の品を残したい場合は、立ち会いをするほうが安心です。

業者への依頼は、短時間できれいに作業してもらえますし、「実家が遠方のため、また相続人に時間がないため遺品整理をするのが難しい」という環境の人は特に心強い選択肢となるでしょう。しかし、すべてをお任せすることは、できる限り避けた方が良いです。可能ではれば立ち会って整理作業を確認したほうが無駄なトラブルを防ぐことができます。
遺品整理業者は、遺品整理で困る様々な悩みに対応できます。些細なことでも業者には気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています。)

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