目次

  1. 1. 相続税申告要否検討表とは何か
  2. 2. 相続税申告要否検討表の書き方
    1. 2-1. 被相続人の情報
    2. 2-2. 相続人の情報
    3. 2-3. 不動産の所有状況
    4. 2-4. 有価証券の所有状況
    5. 2-5. 預貯金や現金の所有状況
    6. 2-6. みなし相続財産(死亡保険金・死亡退職金)
    7. 2-7. その他の財産の所有状況
    8. 2-8. 生前贈与の状況(受贈者、贈与額など)
    9. 2-9. 債務・葬式費用の状況
  3. 3. 相続税申告要否検討表を返した方がいい時
    1. 3-1. 「相続税の申告が必要」と判断した場合
    2. 3-2. 「相続税の申告は必要ない」と判断した場合
  4. 4. まとめ|相続人で作成が難しければ税理士に相談を

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相続税申告要否検討表とは、その名の通り、相続税の申告が必要かどうかを検討するための書面です。具体的な記載内容は後ほど説明しますが、まずはこの書面の目的を理解しておきましょう。

相続税申告要否検討表は、国税庁ホームページに様式が掲載されていますが、印刷されたものが被相続人の自宅に届く場合があります。届くタイミングは故人が亡くなってから(相続を開始してから)、6〜8カ月後が一般的です。この書面が自宅に届いたということは、「税務署から、相続税の申告が必要と見込まれている」ということを意味します。税務署は、被相続人の生前の収入や、不動産などの所有状況などを把握しているため、それらの情報に基づいて対象者を選定しているからです。

とはいえ、相続税申告要否検討表が届いたからといって、必ず相続税の申告が必要というわけではありません。実際に判断するには、被相続人の相続財産や、相続人の数など、様々な情報を把握する必要があるからです。

相続税の申告が必要となるのは、「課税価格の合計額」(正味の遺産額)が、基礎控除額を超える場合です。課税価格は、相続税の対象となる各人ごとに、以下の計算式で計算します。この計算結果を全員分合計すると、課税価格の合計額が求められます。

「相続や遺贈によって取得した財産の価額」+「相続時精算課税を適用した財産の価額」−「債務・葬式費用の金額」+「相続開始前3年以内の贈与財産の価格」=各人の課税価格

上記の算式で求めた課税価格を全員分合計して、「課税価格の合計額」を求めたら、ここから「基礎控除額」を差し引くことができます。基礎控除額の計算は、次の通りです。基礎控除額は法定相続人の数に従って増えていきます。

基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

下記は相続税申告要否検討表の一部ですが、記入欄を埋めながら、課税価格の合計額と基礎控除額を比較します。この結果により、相続税の申告が必要かどうかを把握することができます。

相続税申告要否検討表(国税庁ホームページより抜粋)
相続税申告要否検討表(国税庁ホームページより抜粋)

それでは、相続税申告要否検討表の記入欄がどのようなものかを見ておきましょう。以下の通り、相続税の計算に必要となる情報が網羅されています。

被相続人の住所、氏名、生年月日、死亡日、職業を記入します。職業は、亡くなる直前の職業と、それ以前の主な職業を記入してください。

相続人全員の氏名や被相続人との関係(続柄)などを記載します。

被相続人名義の不動産について、その所在地や面積、路線価などを記入し、評価額を計算します。路線価は国税庁ホームページで調べることができます。

被相続人が所有していた株式や投資信託などの銘柄や数量、金額などを記入します。

預貯金については銀行と支店の名称とともに、相続開始日時点の残高を記入します。現金も、相続開始日の残高を記入してください。

被相続人の死亡にともない支払われる「死亡保険金」と「死亡退職金」がある場合は、保険会社などの名称とともに、金額を記入します。

自動車や貸付金、骨董品など、ここまでの欄に当てはまらない相続財産がある場合は記入してください。

生前贈与については贈与税の対象になりますが、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」のどちらの申告方式を使ったかによって、相続税への影響が変わります。それぞれ、該当するものがあれば贈与額などを記入します。

被相続人の債務や葬式費用を記入します。借金がなくても、未納の固定資産税や住民税、国民健康保険料なども債務となりますので、確認しておきましょう。

最後に、相続税申告要否検討表が届いた場合に、返送すべきかについて解説します。

前提として、相続税申告要否検討表には返送の義務はなく、返送しなかったからといって、罰則が与えられることはありません。しかし、検討を行った結果、相続税の申告が必要ということになれば、相続開始日から10カ月以内に相続税の申告書を提出しなくてはなりません。

つまり、申告が必要かを判断するためにも、まずは相続税申告要否検討表を作ることをお勧めします。そのうえで、結果によって以下のとおり対応すると良いでしょう。

相続税の申告書を期限内に所轄税務署に提出してください。この場合、相続税の申告要否検討表は返送していなくても問題ありません。

相続税の申告は必要ないと判断した場合は、申告要否検討表を返送するのが望ましいです。なぜなら、返送をせず、相続税申告もしないままでいると、冒頭で記述した通り、税務署に「相続税の申告が必要と見込まれる人」と認識されたままになってしまうからです。

無申告のままでは、無申告事案として相続税調査が行われる可能性もあり、その際に、相続税の申告が必要ないと判断した根拠を税務署に示す必要があります。そのためにも、相続税申告要否検討表をきちんと記入して返送するようにしましょう。

相続税申告要否検討表の作成は、そこまで難しいものではありません。しかし、遺産額が基礎控除額をギリギリ超えそうな場合は慎重に検討する必要がありますし、多額の財産があれば相続税の申告が必要です。

そうなると早めに準備をする必要がありますので、相続人だけでは対応が難しい場合は、早めに税理士に相談するなどしましょう。

(記事は2021年4月1日時点の情報に基づいています)

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