目次

  1. 1. 不動産など収益のある財産があると申告義務あり

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信託財産が収益を生まない自宅や配当のない未上場株式、現金等である場合、または信託財産にかかる収益の額の合計額が年間金3万円未満の場合、信託に関して毎年税務署に提出すべき書類等はありません(所得税法施行規則96条2項)。

一方、年間の収益が金3万円以上となる財産を信託財産とする場合、例えば、賃貸アパートや駐車場などの不動産、上場株式や投資信託等の有価証券を信託財産とする場合は、次のような義務が発生します。

受託者は、原則毎年1月31日までに税務署長に対し、前年(1/1~12/31まで)の信託財産の状況等を記載した「信託の計算書」およびその「合計表」を提出しなければなりません。なお、受益者ごとに作成する信託の計算書に記載すべき主な内容は、次の通りです。

 ア.委託者、受益者の氏名や住所など
 イ.前年12月31日時点の当該信託にかかる資産や負債の内訳
 ウ.前年中における信託の収益や費用の内訳
 エ.受託者が受け取った報酬の額

家族信託の場合、「委託者=受益者」で受益者が1人であることが多いですが、受益者連続型の場合、第二受益者以降が複数人になるケースも少なくありません。そうなりますと、毎年の「信託の計算書」は、受益者ごとに分けてそれぞれ作成・提出しなければならないということになります。

前回は、信託終了後に残った財産の受取人を指定する「遺言代用機能」について解説しました。
引き続きこの連載では、家族信託に必要な知識やトラブル予防策を読み解いていきます。

(記事は2020年7月1日時点の情報に基づいています)

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