路線価がある地域の不動産 難しい評価

来訪する方はみな何か困った事情を抱えていますが、中にはその場で解決できてしまうような簡単な内容もあります。悩み事がなくなると、相談者はとてもよい笑顔で感謝してくれます。この仕事を選んでよかった、と思う瞬間です。

事例②

青森県で70代の男性が死亡
家族は70代の妻と長女
長女は関東居住
相続財産は普通預金約1000万円と自宅の土地建物、駐車場として貸している土地
自宅は倍率地域に所在
土地の固定資産評価額は300万円、家屋は300万円
駐車場用地は1000㎡、路線価がある地域に所在
葬式費用以外に負債はない
遺言はない
長女は相続放棄をしないが、不動産及び普通預金を取得する意思はない

これも当事務所への相談でよくある事例です。
長女が遠方居住のため不動産管理を希望せず、母親がすべて相続するパターンです。

前回と同様、相続人を確認しましょう。
被相続人の配偶者が存命で、第一順位である被相続人の子がいるため、妻と子1人の計2人が法定相続人になります。

相続税の基礎控除額は(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)で算出します。本事例における相続税の基礎控除額は4200万円になります。預金は相続開始日現在の残高、家屋は固定資産税評価額で評価します。

土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。インターネットで閲覧できる路線価図に、評価倍率も記載されています。倍率地域であれば、固定資産評価額をもとに土地の評価額を計算することができるかもしれません。

路線価がある地域に土地が所在する場合、計算はとても難しくなります。本事例でも、相続財産に路線価方式で評価額を計算する土地が含まれています。類似の場合は、なるべく税理士に相談したほうがよいでしょう。

相続税申告は税理士、不動産登記は司法書士

税理士に相談すると、相続税の申告義務があるかどうかを判断してもらえます。
相続税の申告期限は原則として、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内です。申告義務があるにも関わらず申告を行わないと、無申告加算税が課される可能性がありますので、注意しましょう。

また、被相続人の配偶者は相続税の軽減を受けられる制度がありますが、軽減を受けるためには申告書の提出が必要です。

配偶者の税額の軽減は、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のうち多い金額までは相続税がかからない制度です。

(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額

税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算されます。従って、原則として相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

相続財産額が大きい場合は、二次相続を踏まえて手続きをしたほうが、納付する税金の総額が小さくなる可能性があります。事情を踏まえて税理士に相談するとよいでしょう。

また、相続財産に不動産が含まれているため、相続登記も必要になります。特定の相続人に不動産を取得させる場合、相続登記にあたって遺産分割協議書を作成します。登記を前提とする場合、司法書士に依頼することが一般的です。

相続登記で作成した遺産分割協議書は相続税の申告でも使用しますので、本事例に類似する場合は税理士と司法書士への相談が必要になるでしょう。

私は公認会計士、税理士、司法書士、行政書士に登録しており、相続登記と相続税の申告の両業務に対応できますが、一般的にそのような事務所はあまり多くありません。相続税の申告には期限がありますので、近くに所在する事務所を事前に調べておくとよいでしょう。

(記事は2020年6月1日現在の情報に基づきます)