今回は編集部経由で次のような質問を受け取りました。

「今時はネット銀行の口座や○○ペイなどいろいろありますよね。持ち主が亡くなった場合、遺族はこれらのデジタル資産をどうやって把握すればいいのでしょうか?」

同種の質問は私がデジタル遺品について調べ始めた10年前からしばしばいただいています。当時はデジタル遺品というと相当ニッチなテーマでしたが、それでも気になる人が一定数いて、かなり真剣に聞かれることが多かったと記憶しています。

いまだに芋づる式にすべての情報を拾い上げるような方法はありません。10年間変わらず、一つひとつ探していくのがもっとも確実な方法です。ただ、そうした泥臭い作業も効率的なやりようはあります。今回はそれを紹介しましょう。

最初の手がかりは故人のスマホだ

“デジタルのお金”を探す手がかりとして、もっとも重宝するのが故人のスマートフォン(スマホ)です。スマホは持ち主が利用している機能がアプリとして見える化する仕組みになっています。故人がスマホを使っていたのなら、ホーム画面やアプリ一覧画面をチェックすると目当てのものが見つけられる見込みが大きいです。
(そもそも故人のスマホにどうやってアクセスするかはコラム第1回「亡くなった父のスマホに思い出の写真が…。ロックを解除して取り出せる?」で、パスワードのスペアキー作りなど生前にできる準備は新年対談の記事で解説しております。)

アプリあれば、そこにお金あり

金融機関や暗号資産(仮想通貨)取引所などのアプリがあれば、そこに資産がある(あった)可能性は高そうです。フィナンシャル系アプリがあれば登録している金融資産をある程度まとめて見つけられることもあります。

○○ペイアプリも要注目です。多くの場合、連係している口座があるので、アプリの設定画面からたどって確認できます。iPhoneならApple Pay、Android端末ならGoogle Payの引き落とし先口座をチェックするのは基本といえるでしょう。また、PayPayやLINE Pay、メルペイなどのチャージタイプなら、そこに独立した「残高」が存在します。数十万円分がチャージされていることもあるので軽視できません。

そのほか、動画や電子書籍の見放題サービスやクラウドサービスの上位コースなど、定額支払いの有料サービスを利用していることもあります。これらもアプリから確認できることが多いので、あわせてチェックしていくといいでしょう。支払い状況を確認すると同時に引き落とし口座の情報が得られることもよくあります。

スマホで見つけるのが無理なら?

スマホが開けなかった、あるいは故人がスマホをそこまで使い込んでいなかった場合は次善策が基本線になります。

パソコンのメールやインターネットのブックマークなど

故人のパソコンがあれば、インターネットブラウザー(インターネットエクスプローラーやグーグルクローム、サファリなど)のブックマークや閲覧履歴、受信メールなどを調べていくことで、利用している金融機関の目星を付けられる見込みがあります。ひとつひとつチェックするのは大変なので、「明細」「支払い」「銀行」「証券」「FX」「コイン」などのワードで検索をかけるのがお勧めです。

スマホと比べると、目当ての情報に行き着くまでの手間が多く、見えにくさも増してしまいます。作業が大変になるばかりでなく、切り上げる目処も付けにくいので、「メール検索で見つからなかったら諦める」「ブラウザー履歴は切りがないからブックマークのチェックだけにする」など、自分なりの線引きをするのが徒労を避けるコツといえます。

アナログ情報も手がかりになる

パソコン作業と同時に、紙の通帳やクレジットカードの取引履歴、金融機関からの郵送物などからお金の流れを見るのも有効です。電気ガス水道、電話、インターネット回線など、毎月や隔月の支払いが発生するインフラの支払い状況を追いかけることで、未発見の口座の存在が浮かび上がることもあります。

口づての情報も無視できません。故人の友人や職場の同僚からの証言から、プライベートで使っていたへそくり口座の存在を知ったという話をこれまで何度か耳にしています。

このあたりになるとデジタルとアナログの違いは関係ないのかもしれません。ただ、そもそも資産にはデジタルもアナログもないのです。デジタルというややこしいベールに惑わされないことが重要ではないかと思います。

このあたり、デジタル遺品に関するすべてに当てはまることかもしれませんね。

今後もこの連載でデジタルにまつわる相続や終活の問題を追っていきます。

(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)