相続人とは、亡くなった方の財産を承継する人のことです。そして、相続人の範囲や法定相続分については、亡くなった方との身分関係に応じ、民法で定められています。今回は、異父異母兄弟が判明した場合の遺産分割の進め方について弁護士が解説します。

配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の者は、①子ども、②親、③兄弟姉妹の順序で、配偶者と一緒に相続人になります。このうち、①子どもには、亡くなった方が前の配偶者との間にもうけた子や婚外子(父親が亡くなった場合は認知された婚外子)である場合も含みます。しかし、このような異父異母兄弟については、その存在を知らずに、相続が発生し戸籍を取って初めて知ったというケースも少なくありません。実際に、弁護士が関与する遺産分割では、異父異母兄弟がいる割合は比較的高いように感じています。

異父異母兄弟は争続になりやすい?

日本の夫婦の離婚率はおよそ3分の1に達する時代ですので、異父異母兄弟や姉妹がいることは、それほど珍しいことではないように思います。しかし、異父異母兄弟間で、以前から面識があったり連絡を取り合ったりしている関係の方は少ないのではないでしょうか。

実際に遺産分割で私がお手伝いをしたケースでは、相続が発生して初めて異父異母兄弟の存在を知ったというケースや、異父異母兄弟がいることは知っていたが名前も連絡先もわからない、というケースがありました。

一般論として、相続関係が複雑であればあるほど、また、相続人間の関係性が希薄であればあるほど、相手方への配慮や思いやりの気持ちが少なく、自分の経済的利益を優先してしまうことが多いため、紛争になりやすいといえます。そのような関係性の場合、相続人間で直接連絡を取り合うことを望まずに、相続発生後の早い段階で、弁護士に間に入ってもらい遺産分割協議を進めたい、との要望をいただくことが少なくありません。そのため、弁護士が関与する遺産分割では、異父異母兄弟がいる割合が比較的高いのではないかと思います。

遺産分割協議は、すべての相続人の間で行わなければいけませんので、遺産分割協議の前提として、相続人が誰かを正確に把握する必要があります。そのためには、亡くなった方の、出生から死亡するまでのすべての戸籍を取得しなければいけません。そして、戸籍の調査の結果、異父異母兄弟や姉妹がいることが判明した場合には、その方に連絡を取ることになります。

異父異母兄弟の住所や電話番号などの連絡先を知っているのであれば、まずはその連絡先に連絡をしてみるのがよいでしょう。

しかし、戸籍を取って初めて異父異母兄弟の存在を知ったという場合には、連絡先等を知っていることは多くないかもしれません。そのような場合には、戸籍の附票という書類を役所で取得します。戸籍の附票には、現在の住民票上の住所が記録されています。そのため、戸籍の附票を取得すれば、異父異母兄弟の現在の住民票上の住所が分かります。住民票上の住所が分かったら、その住所に宛ててお手紙などを出し、遺産分割の協議を申し入れます。そして、遺産分割についての希望や意見があるかを確認します。通常は、書面や電話等で回答を依頼することが多いですが、直接会って話合いを進める場合もあります。

いずれにしても、異父異母兄弟と連絡が取れるようになれば、あとは通常の遺産分割事件と異なりませんので、まずは協議をしてみて、ダメなら調停を申し立て、それでも話し合いがつかなければ審判により、遺産分割の解決を目指していくことになります。

個人的な印象としては、相続人に異父異母兄弟がいる遺産分割協議の場合、話合いで解決することは難しく調停になることが多いですが、調停では、淡々と法定相続分に基づく遺産分割を行うため、比較的早期に調停が成立するケースが多いような印象です。協議自体もあまり続けたくない、早く相手との接点を解消したい、との思いの表れなのかもしれません。

相手の行方がわからない場合は

なお、住民票上の住所に送った手紙が届かない、という場合もあり得ます。その場合の遺産分割の進め方としては、まず住民票上の住所の調査を行い、そこに住んでいるか否かを確かめます。次に、住んでいないことが分かり、その他に現在の居所が分からない、いわゆる行方不明のような場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。そして、不在者財産管理人が選任されたら、その管理人を遺産分割協議の当事者として、遺産分割協議を行い、ダメなら調停を申し立て、それでも話し合いがつかなければ審判により、遺産分割の解決を目指すことになります。

異父異母兄弟の間での遺産分割協議は、早期に弁護士が介入することで、素性のわからない相手と遺産分割協議を行わなければいけないという心理的負担が解消されますし、経済的利益の観点から淡々と遺産分割協議を進めることできます。

相続人に異父異母兄弟がいることが分かった場合は、まず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

(記事は2019年9月1日時点の情報に基づいています)