目次

  1. 1. 実家の相続でやってはいけない4つのこと
    1. 1-1. 【やってはいけないこと①】相続登記をしないまま放置する
    2. 1-2. 【やってはいけないこと②】共有名義状態で相続する
    3. 1-3. 【やってはいけないこと③】利用方法を決めずにとりあえず相続して放置する
    4. 1-4. 【やってはいけないこと④】とくに何も考えず建物を解体する
  2. 2. 実家の相続で失敗しないための5つの対策
    1. 2-1. 【対策①】生前贈与を検討する
    2. 2-2. 【対策②】遺言書を作成してもらう
    3. 2-3. 【対策③】相続放棄も検討しておく
    4. 2-4. 【対策④】相続後の実家の活用方法をあらかじめ決めておく
    5. 2-5. 【対策⑤】専門家に相談する
  3. 3. 相続した実家のよくある活用例のメリット・デメリット
    1. 3-1. 実家を賃貸に出す(個人向け住宅・貸店舗など)
    2. 3-2. 建物を解体して土地を活用する
    3. 3-3. 実家に住む
  4. 4. 相続後に誰も実家を活用しない場合は売却を検討
    1. 4-1. 仲介│時間をかけてでも高値で売却したい場合
    2. 4-2. 買取│確実性やスピードを重視する場合
  5. 5. 実家の相続に関するよくある質問
  6. 6. まとめ|実家の相続は計画的に
実家の相続でやってはいけない4つのことを示した図解。間違った行動を取ってしまうと実家を有効活用できなくなったり、予想外の負担が生じたりする可能性がある
実家の相続でやってはいけない4つのことを示した図解。間違った行動を取ってしまうと実家を有効活用できなくなったり、予想外の負担が生じたりする可能性がある

実家を相続する際に間違った行動を取ってしまうと、「実家を有効活用・売却できない」「予想外の税負担が生じる」といった深刻な問題を招く恐れがあります。

実家の相続で後悔しないためにも、まずは実家の相続でやってはいけない4つのことを確認しておきましょう。

実家を相続した後、「手続きが面倒だから」「まだ売る予定はないから」相続登記をしないまま放置するのは絶対に避けるべきです。

まず前提として、相続登記は法律で義務付けられています。もし正当な理由なく期限までに相続登記をしなかった場合は、10万円以下の過料の対象になります。

また、恐ろしいのは「実家を売りたいときに売れない」というトラブルです。相続登記をしないまま放置してしまうと、実家の名義が被相続人のままとなるため、売却や活用ができません。

これは実際にあった失敗談ですが、ある相続人の方が苦労してようやく実家の買い手を見つけ、いざ売買契約という段階で「亡き父の名義のまま」であることが発覚しました。急いで相続登記をしようとしましたが、放置していた間に相続人である親族と連絡が取れなくなっており、必要書類がどうしても揃いませんでした。

結局、買主にしびれを切らされた結果、数百万円の売却のチャンスを逃してしまいました。

不動産取引において、登記上の名義人が被相続人のままでは、第三者に所有権を証明できず、売却の手続きは一切進められません。たとえ契約を結べたとしても、引き渡しまでに名義変更が完了しなければ、契約解除や損害賠償といった深刻な経済的ダメージを負うことになります。

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相続人が複数いる場合、実家を共有名義状態で相続するのは避けるべきです。なぜなら、共有名義の不動産には単独名義では考えられないような制約や、共有関係を悪化させかねないリスクが潜んでいるためです。

  • 不動産の賃貸やリフォーム、全体の売却には、共有者全員の同意が必要
  • 不動産の活用方法や維持管理費の負担などを巡り、共有者間でトラブルが生じやすい
  • 相続によってさらに共有者が増え、権利関係が複雑になりやすい

共有名義の不動産は権利関係が複雑であるため、単独名義の不動産とは違い、所有者であっても不動産を自由に活用・処分することはできません。「管理行為」や「変更行為」を行う場合は共有者全員の同意が必要です。

こちらも実際によくある失敗談ですが、もともとは仲の良かった兄弟が「実家は共有財産にしよう」と安易に共有名義で相続した結果、争いに発展したケースがあります。兄は「維持費がもったいないから売りたい」と主張しているのに対して、弟は「思い出の家だから残したい」と一歩も譲らず真っ向から対立。その結果、実家はそのまま放置され兄弟関係は悪化してしまいました。

さらに恐ろしいのが、共有状態が解消されないまま時間が経過することです。共有状態のまま次の相続が発生すると、その持分がさらに子どもや孫へと細分化され、権利関係が複雑化していきます。面識すらない親戚から同意を得ることはなかなか難しいと言えます。

権利関係が複雑化した状態では、共有関係を解消するための法的手続きにも費用や労力がかかるため、最終的には誰も手が付けられないまま維持管理費だけが発生し続ける「負動産」と化す可能性が高いです。

このように、共有名義は将来的にさまざまなトラブルを招く要因となるため、実家は単独名義で相続するのが望ましいです。

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実家の利用方法を決めずにとりあえず相続すると、結果として実家を空き家として放置してしまいがちです。実家が空き家となった場合でも、所有している間は固定資産税や修繕費、光熱費、火災保険料などの維持管理費がかかり続けます

また、空き家を放置し続けると建物の劣化が進み、建物の倒壊による人的・物的被害や不法侵入・放火などの犯罪、近隣住民とのトラブルを招くリスクもあるのです。

不動産の所有者は、他人に損害を与えないように不動産を適切に管理することが義務付けられています。もし、適切な管理を怠ったことで建物が倒壊し、それが原因で人や物に損害を与えた場合、その被害者から損害賠償を請求される可能性があります。

さらに、空き家となった実家の適切な管理を怠った場合、自治体から「管理不全空き家」または「特定空き家」に指定され、以下のような不利益を被る可能性もあります。

  • 「住宅用地の特例」が適用されず、土地の固定資産税が最大6倍になる
  • 行政代執行によって実家が強制的に解体され、高額な解体費用を請求される

このように、とりあえず実家を相続して空き家として放置すると、無駄な維持管理費の負担や法的責任を問われるリスクが残り続けます。そのため、実家を相続する場合は今後の活用方針を決めたうえで相続するのが望ましいです。

「相続した実家に誰も住まないから」「建物が古いから」といって、活用方法を決めずに安易に建物を解体してはいけません。

住宅として利用していた建物を解体してしまうと、「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍になる可能性があるためです。一度建物を解体してしまうと、更地が売れるまで高額になった固定資産税を負担し続けなければなりません。

また、建物を解体してしまうと、相続した実家を売却する場合に以下のようなデメリットが生じます。

  • 中古住宅を安く購入したい買い手のニーズを満たせなくなる
  • 再建築不可物件に該当する場合、更地としての売却は極めて困難

不動産市場には、「中古住宅を安く購入して自分好みにリフォーム・リノベーションしたい」という買い手も一定数存在します。

現状有姿を条件に売却価格を相場よりも安く設定すれば、わざわざ建物を解体して更地として売却するよりも手間や費用がかからないうえに、最終的により多くのお金が手元に残る可能性もあります。

しかし、建物を解体してしまうとそういった買い手のニーズを満たせなくなるため、売却先は新築や更地としての活用を検討している買い手に限られてしまいます。

このように、とくに何も考えずに解体すると、「やっぱり解体しなければよかった」と後悔を招く恐れがあります。そのため、「更地として活用する予定がある」「更地を高値で売却できる見込みがある」などといった明確な理由がない限り、建物は解体しないでおくのが賢明でしょう。

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実家の相続による相続人同士のトラブルや経済的な損失を回避するためには、早めに専門家に相談し、親が元気なうちに相続方法や活用方法を決めておくことが大切です。ここからは、実家の相続で失敗しないための具体的な対策を5つご紹介します。

  • 生前贈与を検討する
  • 遺言書を作成してもらう
  • 相続放棄も検討しておく
  • 相続後の実家の活用方法をあらかじめ決めておく
  • 不安な場合は専門家に早めに相談する

実家の相続トラブルを未然に防ぎつつ、相続をスムーズに進めるためには、実家の生前贈与が有効な対策のひとつとなります。親が元気なうちに誰が実家を引き継ぐか話し合って決め、生前贈与によってあらかじめ実家を引き継ぎ、名義を変更しておけば、そもそも実家の相続が発生しません。

そのため、相続人同士のトラブルや共有名義のリスクを根本的に回避できます。また、実家を生前贈与しておけば、実家の評価額分が相続財産から差し引かれる場合があるのもメリットです。

ただし、生前贈与では贈与を受けた側に贈与税が課せられます。贈与税には年間110万円の非課税枠が設けられていますが(暦年贈与)、不動産は評価額が数千万円にのぼるケースも少なくないため、多額の税負担が生じる恐れがあります。

もし、生前贈与時の税負担を回避したいのであれば、「相続時精算課税制度」の活用を検討してみましょう。相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫に生前贈与する際、累計2500万円までなら贈与税が非課税になる制度です。

2500万円の特別控除分は、贈与者の死亡時に相続財産に含める必要がありますが、その際は贈与時の時価で評価されます。周辺に再開発の予定があるなどして将来的に地価の上昇が見込まれる場合、値上がり前の評価額で相続税を計算できるため、結果として税負担を抑えられる可能性があります。

なお、相続時精算課税制度を選択すると、その後は暦年贈与に戻すことができないため、将来的な税負担を含めて慎重な判断が必要です。

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親が元気なうちに遺言書を作成してもらうのも、実家の相続トラブルを未然に防ぐための対策として有効です。

不動産は物理的に分割するのが難しいという性質上、「誰が実家を相続するか」「実家を相続しない相続人との間で公平性をどのように確保するか」という点でトラブルに発展してしまいがちです。

しかし、法的に有効な遺言書が作成されていれば、原則として遺言書の内容に従って遺産分割が行われます

「実家は長男が相続する」「それ以外の相続人には預貯金から代償金として〇〇円支払う」というように、遺言書で実家の相続方法が指定されていれば、それについての遺産分割協議が不要になるため、相続人の間でトラブルが生じるリスクを抑えられます。

ただし、他の相続人の「遺留分(最低限保障された遺産取得分)」を侵害するような内容だと、後から「遺留分侵害額請求」として金銭を請求され、かえってトラブルになる可能性があるので注意してください。

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「住む予定のない実家の費用負担や法的責任を絶対に負いたくない」「親が多額の負債を抱えている」といった場合は、相続放棄も検討しておきましょう。

相続放棄を選択すると、最初から相続人ではなかったものとみなされます。そのため、現金や不動産などのプラスの財産とともに、借金や未払金などのマイナスの財産も一切引き継がれなくなります

マイナスの財産がプラスの財産を大幅に上回っている場合は、相続放棄を選択することで経済的な不利益を回避できます。

ただし、相続放棄をすれば直ちにすべての責任がなくなるわけではありません。もし実家などの不動産を占有している(実際に住んでいる・管理下にある)場合は、相続放棄をした後でも、他の相続人や相続財産清算人などといった、次の管理者に物件を引き渡すまでの間、その不動産を保存する義務を負います。
「放棄したからといって、すぐに放置してよいわけではない」点には十分注意が必要です。

ちなみに、相続放棄をするには、自身が相続人であることを知った時から3カ月以内に家庭裁判所で相続放棄の申述書を提出する必要があります

この申述期限を過ぎてしまうと、すべての財産を無条件で相続する単純承認が成立してしまうため、以降の相続放棄は原則として認められません。相続で後悔しないためにも、相続が発生したら被相続人の財産や借金などを早急に洗い出し、本当に放棄すべきか慎重に判断することが大切です。

【関連】相続放棄は裁判所へ申述書を提出 手続きや注意点を解説

実家を相続する際は、相続後に実家をどのように活用するのかできるだけ早く決めておきましょう。

実家の活用方法が決まっていないと、とりあえず実家を相続したものの、結局誰も実家に住まずに放置され、維持管理費だけが発生し続ける「負動産」と化するリスクが高まります。

今後の活用方針をあらかじめ決めておけば、遺産分割協議がスムーズに進みやすいうえに、売却やリフォームなどの準備にも余裕を持って着手できます。

相続が発生した直後は葬儀の対応や膨大な相続手続きに追われ、心身共に余裕がなくなりやすいため、可能であれば親が元気なうちから実家の活用方法を話し合っておくのが望ましいです。

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実家の相続について何か不安なことがあれば、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に早めに相談するようにしましょう。とくに相続放棄を視野に入れている場合は、相続が開始してから3カ月以内という申述期限が設けられているため、迅速な判断が求められます

以下のような手続きや判断については、法的な専門知識や経験が必要となるため、専門家への相談をおすすめします。

  • 相続人や相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続登記などの手続き
  • 相続方法の判断
  • 生前贈与などの節税対策
  • 遺言書の作成

専門家に相談すれば適切なサポートが受けられるため、ミスや見落としを未然に防ぎつつ、スムーズに相続手続きを進められます。

相続人同士でトラブルが発生した場合でも、弁護士に介入してもらうことで、客観的な視点から公平な解決策を提示してもらえるため、感情的な対立の激化を防ぎつつ合意を図ることも可能です。

相続した実家の活用例を示した図解。賃貸に出す方法、土地を活用する方法、誰かが実家に住むという方法がある。
相続した実家の活用例を示した図解。賃貸に出す方法、土地を活用する方法、誰かが実家に住むという方法がある。

相続した実家を売却せずに所有し続ける場合、固定資産税や修繕費などの維持管理費が発生します。空き家として放置して無駄な維持管理費を負担し続けないためにも、今後の活用方針を明確に決め、それに基づいた準備を速やかに進めることが大切です。ここからは、相続した実家の具体的な活用例を3つご紹介します。

実家に住む人が誰もいない場合は、実家を個人向けの住宅や貸店舗として賃貸に出すのがおすすめです。入居者が見つかれば、毎月賃料収入が得られるため、実家にかかる金銭的な負担を軽減できます。

また、借主の手によって日常的な換気や清掃が行われることで、建物や設備の劣化を抑えられるため、建物の資産価値を維持しやすいというメリットもあります。

ただし、立地や建物の状態によっては集客に時間がかかり、思うような収益が得られないリスクもあります。とくに建物や設備の劣化が著しく進行している場合、そのままの状態で貸し出すのは難しいため、リフォームや修繕が必要になります。

しかし、多額の費用をかけてリフォームや修繕を施したとしても、必ず入居率の改善や賃料のアップにつながるとは限りません。

このように、賃貸物件としての活用には、建物や設備の劣化を防ぎつつ定期的な賃料収入が得られるメリットがある一方で、思ったほどの収益が得られずかえって負担が増大するリスクも伴います。

そのため、実家を賃貸物件として活用する際には、賃貸需要や類似物件の相場を調査し、初期費用や維持管理費を回収できるほどの賃料収入が得られるか検討を重ねたうえで判断することが重要です。

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立地や建物の状態から、賃貸物件としての活用が難しい場合は、建物を解体して更地として活用することを検討しましょう。建物を解体すれば、駐車場やコインパーキング、太陽光発電、トランクルーム、資材置き場などとして貸し出すことで、土地を有効活用できます。

更地にすれば建物の管理や修繕が不要になるため、管理の手間や建物が倒壊するリスクを抑えつつ、安定した賃料収入の獲得に期待できます

しかし、立地によっては更地にしたとしても需要が低く、思ったほどの収益が得られない場合もあります。

また、先述の通り、建物を解体して更地にすると、固定資産税の優遇措置である「住宅用地の特例」の適用が受けられなくなります。多額の解体費用がかかるうえ、毎年の固定資産税の負担も増大するため、賃料収入だけではこれらの費用をすべて賄えず、かえって経済的な負担が増大するリスクもあります。

そのため、建物を解体して土地を活用する場合は、立地や金銭的な負担などを考慮したうえで慎重に判断することが大切です。

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実家を賃貸物件や更地として活用せず、相続人自身が居住用として利用するという選択肢もあります。

固定資産税や修繕費は発生し続けるものの、実家に住宅ローン残債がなければ、賃貸物件と比較して固定費は大幅に下がるのが一般的です。

ただし、建物や設備が老朽化しており、リフォームや修繕が必要になる場合は、数十万円から数百万円程度の初期費用がかかります。老朽化の進行具合によっては、1000万円以上の費用がかかる場合もあります。

また、実家に引っ越したことで現在の生活圏から離れてしまうと、以下のように日常生活の利便性や心身的な面にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

  • 通勤にかかる心身的・精神的な負担、交通費の増加
  • 生活環境の変化によるストレスの増加
  • 現在の生活圏で築いた友人・知人との交流が減る

そのため、実家への引っ越しを検討する際は金銭面だけでなく、日常生活の利便性や自身のライフスタイル、将来のキャリアプランなども総合的に考慮したうえで慎重に判断することが大切です。

今後の実家の活用方法について検討した結果、相続後に実家を活用する予定がなければ売却を検討してみましょう。

実家の適切な管理を怠ると、建物の老朽化による資産価値の低下や近隣トラブル、特定空き家や管理不全空き家の指定といったリスクも伴います。実家を売却すれば、費用負担や法的責任から完全に解放されるうえ、まとまった現金も手に入ります。

実家を売却する方法には主に「仲介」と「買取」の2通りがあります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、実家の状態や各相続人の意向に応じた売却方法を選択しましょう。

売却完了までに時間がかかっても、できるだけ高値で購入してくれる買主を探したい場合は、依頼した不動産会社に広く買い手を探してもらう「仲介」が適しています。

仲介で買主となるのは、マイホームを探している一般個人だけとは限りません。賃貸運用を目的とした個人投資家や、リフォーム後に再販を行う不動産買取業者なども、仲介市場を通じて物件を購入します。

一般の個人に売却できた場合は、市場価格とほぼ同等での高値売却が期待できます。

しかし、築年数が古い実家や修繕が必要な実家の場合、一般の買い手からは敬遠されやすく、買主が投資家や業者になるケースも少なくありません。その場合、投資における採算性やリフォーム費用が査定されるため、いわゆる「相場」よりも低い価格での成約となる可能性がある点は理解しておく必要があります。

一方、仲介では市場で買い手を探さなければならないため、時間や労力がかかるというデメリットがあります。売却が成立するまでの期間は3カ月から6カ月程度かかるのが一般的で、立地や建物の状態などによってはそれ以上かかるケースもあります。

また、売却活動を続けても必ず買い手が現れるとは限りません。そのため、仲介での売却を検討する際には、「単に高値で売りたいから」という希望だけでなく、物件の市場価値や市場の動向を踏まえたうえで、仲介で売却すべきか慎重に見極めることが重要です。

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売却の確実性やスピードを重視する場合は、買取業者に直接売却する「買取」が向いています。買取では買取業者が自己資金で不動産を直接買い取るため、広告活動や内覧対応などの手間が省ける分、仲介よりもスピーディーに売却手続きが進みます。

業者探しや買取条件の合意がスムーズに進めば、数日から1週間程度で実家を現金化することも可能です。

また、仲介では買い手が見つからないような物件でも、買取であれば売却できる可能性が高くなります。

買取業者の中には、共有名義不動産や長年放置された空き家、事故物件や再建築不可物件など、一般の買い手から敬遠されやすい訳あり不動産に特化した専門業者も存在します。

こういった業者は、訳あり不動産を再生して再販・活用するための知識やノウハウが豊富にあり、物件本来の価値やリスクを加味した適正な評価が可能です。他社で断られたような物件や一般の買い手が見つからない物件でも買取に対応してもらえます。

さらに、買取のメリットとして、「契約不適合責任」が免除されるケースがほとんどであるという点も見逃せません。

仲介では、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害などの隠れた不具合が見つかった場合、売主が修理費用を負担したり、契約解除を求められたりするリスクがあります。特に築年数の古い実家の場合、売主自身も把握していない欠陥が潜んでいることが多く、これが大きな不安要素になることもあります でしょう。

しかし、買取の場合、業者は物件の状態を承知の上で買い取るため、売主の責任を一切問わない条件で契約するのが一般的です。

一方で、買取は仲介よりも売却価格が安くなるというデメリットがあります。買取業者は、主にリフォームやリノベーションなどで買い取った物件の資産価値を高め、第三者に高値で転売することで利益を上げています。

再販時の売却価格から、物件の買取価格と再販するまでにかかったコストを差し引いた金額が買取業者の利益となるため、買取価格はどうしても市場価格よりも安くなります。

買取価格は売却先の買取業者や不動産の状況などによって変動しますが、市場価格の7割から8割程度が目安です。「費用や手間をかけず迅速に売却したい」「仲介で売れる見込みがない」といった場合は、買取による売却を検討してみましょう。

Q. 相続した実家を名義変更しないまま放置するとどうなる?

相続登記を放置すると、数次相続(相続人が亡くなり、さらにその相続人が権利を持つ状態)により権利関係が極めて複雑化します。
共有者が増え続けることで全員の同意を得ることが困難になり、売却も活用もできない「資産凍結」状態に陥るリスクが高まります。

Q. 遺産分割協議が終わる前に、実家の家財道具を処分してもいい?

価値のある家財(骨董品、着物、貴金属、自動車など)を勝手に売却したり処分したりすると、法律上「相続する意思がある(単純承認)」とみなされる可能性があります。もし後になって親に多額の借金が見つかった場合、家財を処分してしまっていると「相続放棄」ができなくなり、親の借金を背負うことになるリスクがあります。明らかに資産価値のないゴミの処分は問題ありませんが、判断が難しいものは遺産分割協議が終わるまで手を付けないのが安全です。

実家を相続する際は、事前に相続人全員で話し合い、相続後の実家の活用方法を十分に検討しておくことが大切です。

活用方法を決めずに相続したり、共有名義で相続したりすると、親族間のトラブルや経済的負担の増大、空き家として放置されるリスクが生じるため、活用方法を明確にしたうえで、相続人の1人が単独名義で相続するのが望ましいです。

実家を活用する方法が見つからなければ、仲介や買取で実家を売却することも検討してみましょう。仲介は時間をかけてでも高値で売却したい場合、買取は確実性やスピードを重視する場合に向いています。

実家の立地や建物の状態なども考慮したうえで、自分に合った売却方法を選択しましょう。実家の相続で少しでも不安を感じたら、一人で悩みを抱え込まず、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に早めに相談してください。

(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)

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