1. 空き家の査定の傾向と評価されるポイント
空き家の査定の傾向と評価されるポイントを示した図解。築年数や交通アクセスのほかにも、訳あり要素や周辺環境なども評価のポイントになる
空き家を査定する際に重視される評価ポイントは、原則として通常の不動産と同じです。
ただし、空き家は「管理が行き届かず建物の状態が悪い」「活用が難しいので放置している」といった問題を抱えていることが多く、通常の不動産よりも査定価格は低くなる傾向があります。
一方で、他の人から需要が高い場合は、空き家でも十分に高値が付く可能性があります。以下では、空き家の査定の傾向と評価されるポイントを見ていきましょう。
1-1. 訳あり要素の有無
不動産の中には、「物理的に問題がある(物理的瑕疵)」「住むには心理的抵抗が大きい(心理的瑕疵)」「法律上の制限があって自由に活用できない(法律的瑕疵)」といった訳あり要素を持つものがあります。
特に空き家の場合、通常の不動産よりも訳あり要素を抱えているケースが実務上多く見受けられます。そもそも、訳あり要素が原因で売ることも貸すこともできず、結果として空き家になっているケースも珍しくありません。
不動産の訳あり要素でよく見られる例と、それぞれの減額割合は次の通りです。
【事故物件】
過去に自殺・他殺や特殊清掃が必要な死、火災などが発生した不動産のことです。通常の不動産よりも、査定価格は1割から5割程度減額される傾向があります。
【物理的問題がある物件】
建物に物理的な問題が多いほど、必要なリフォーム・修繕費用や住みにくさが考慮されるため、査定価格が下がりやすくなります。例えば、「外装・内装のひび割れや欠落」「雨漏り」「シロアリ被害」「建物の傾き」などが物理的問題として挙げられます。
【再建築不可物件】
接道義務違反などで法律に適合せず、新築や建て替えなどが認められていない不動産のことです。査定価格は、通常の不動産よりも3割から5割程度減額される傾向があります。
【共有名義不動産】
同一不動産を2人以上で所有している状態のことで、1人あたりの所有権の割合を共有持分と呼びます。共有持分単体で売却する場合、査定価格は「共有名義不動産全体の市場価格 × 共有持分割合 × 2分の1から3分の1」が目安になります。
【底地(借地)】
借地契約(土地賃貸借契約)に基づき、借地人に貸している状態の土地のことです。売却先によって変動しますが、査定価格は更地価格の1割から5割程度になります。
1-2. 築年数
築年数が古いほど、老朽化物件として不動産の査定価格が下がる傾向があります。築年数が古いほど、「倒壊のリスク」「破損・劣化の進行」「付属設備の型落ち」などが懸念され、市場需要が小さくなるからです。
木造戸建住宅は、建物部分の評価については、新築から10年程度で半分近くまで減少し、20年を超えると帳簿上の価値がほとんど残らないと言われています。鉄筋コンクリート造(RC造)など他の工法の場合も、築年数が経過するごとに資産価値が減少するのが一般的です。
特に空き家の場合は、築年数が古く老朽化が進んでいるケースが頻繁に見られます。
老朽化した空き家の例としては、「親や祖父母の代から代々相続されている」「処分できず数十年放置している」などがよく挙げられます。
1-3. 交通アクセス
以下に挙げる不動産周辺の交通アクセスのよさは、査定価格に大きく影響します。
- 最寄り駅までの距離:徒歩何分以内か
- 駅の利便性:急行や快速が停まるか、都心まで直通で行けるかなど
- バスの利便性:バス停が近くにあるか、最寄りのバス停の本数は多いか
- 車の利便性:高速のインターチェンジや幹線道路(バイパス)が近くにあるか
都心部は電車の利便性、郊外・地方は車移動のしやすさが、査定価格に反映されやすい傾向が見られます。
1-4. 周辺環境・施設
不動産の周辺環境や施設は生活のしやすさに直結するため、不動産の査定価格にも影響を及ぼします。不動産の近くに以下の要素があれば、査定価格が高くなる傾向が見られます。
- 大型商業施設、スーパー、コンビニなどの小売店
- 役所、学校、病院、図書館などの公共施設
- 公園や緑地
「上記の環境・施設がない」「騒音や異臭がひどい」など、人から住みづらいと思われる不動産は査定価格が低下しやすくなります。
特に、反社会的勢力の事務所、下水処理場、パチンコ店、風俗店、墓地といった「嫌悪施設」が近くにあると、環境的瑕疵があるとして評価がマイナスされるのが一般的です。
ただし、利便施設が近すぎても評価がマイナスになるケースがあります。「人の声やトラックの音がうるさい」「治安が悪い」などの問題が懸念されるためです。
要するに、買主の求める条件や施設との距離感によって、周辺環境・施設が査定額に与える影響が変わります。
1-5. 法令上の制限
原則として不動産の大きさや種類は、都市計画法や建築基準法といった法令による制限を受けます。法令上の制限が厳しい場所に所在する不動産は、査定価格が下がる傾向が見られます。
査定価格に影響する法令上の制限の例は、次の通りです。
- 接道義務:「幅4メートル以上の建築基準法上の道路に2メートル以上接する」という要件を満たせず、再建築不可になっていないか
- 建蔽(けんぺい)率・容積率や高さ制限など:どれくらいの大きさの建物が建てられるか
- 用途地域:建てられる建物の種類(店舗や娯楽施設など)は何か
所有する空き家がどのような制限を受けているかは、不動産や法律の知識がないと正確に把握するのは困難です。法令上の制限を確認したい場合は、市区町村役場の担当部署や不動産会社などに相談するとよいでしょう。
1-6. 土地の地形や環境
土地の不動産価値は、土地の広さ・形状や快適性などによって変動します。
【プラス評価】
- 土地が正方形や長方形といった整形地
- 土地の面積が用途に対して適正(住宅地なら30から50坪程度が目安)
- 南東側からの日当たりがよい
- 周辺に通風を遮る障害物がなく、風通しがよい
- 地盤が固く、災害リスクが低い
【マイナス評価】
- 土地が三角形、旗ざお地、狭小地、崖地といった不整形地
- 土地の面積が用途に対して広すぎる、または狭すぎる(工場跡地を住宅用にするなど)
- 周辺に高い建物が建っていて、日当たりや風通しが悪い
- 地盤が弱く、地盤沈下や液状化などの危険性がある
1-7. 市場動向や社会情勢
不動産や周辺環境だけでなく、市場動向や社会情勢といった「世の中の流れ」によっても、査定価格が変動する可能性があります。
例えば、エリア周辺で再開発やインフラ整備計画、新駅の設置などが進み、人口が増加していればプラス査定が見込めるでしょう。インバウンド需要が増加する、金利が下がる(住宅ローンの負担が軽くなる)といった要因でも、査定価格が上がる傾向が見られます。
2. 不動産会社の空き家査定は「机上査定」と「訪問査定」の2種類
空き家の査定を不動産会社に依頼する場合、一般的に「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定(現地調査)」の2段階で行われます。机上査定で概算価格を確認し、より詳細な評価を知りたい場合に訪問査定に進みます。
2-1. 机上査定(簡易査定)は手早く概算価格を算出する方法
空き家の査定方法である机上査定(簡易査定)を示した図解。概算価格を算出できる机上査定は売却の初期判断時に向いている
机上査定とは、データや資料で確認できる情報を元に、不動産の査定価格を概算で算出する方法です。
不動産会社は、売主から送られてきた所在地、築年数、外装・内装の写真、間取り図などを確認します。その後、類似物件や現在の地価、市場動向などを踏まえたうえで、大まかな金額を計算します。
机上査定の特徴は、時間や手間がかからない手軽さです。インターネット上のやり取りのみで完結し、早ければ当日中に査定結果が届きます。
ただし、机上査定でわかるのはあくまで概算価格です。特に空き家の場合、建物や設備の劣化具合、残置物の有無、隣地所有者とのトラブルなど、現地を見なければ判断が難しいポイントが数多くあります。
机上査定の結果のみで、「高く売れるかも」と一喜一憂するのは避けたほうが無難です。
机上査定の結果は、あくまで相場感の確認や、売却活動を具体的に進めるかどうかの判断材料程度に利用するのがよいでしょう。
【不動産会社に依頼せずインターネット上で行う「AI査定」とは】
AI査定とは、過去の取引データや周辺相場などの統計情報をもとに、入力された物件条件(所在地・面積・築年数など)から概算価格を算出する仕組みです。サービスによっては、登録情報を最小限にして相場感を確認できるものもあります。
ただし、AI査定で分かるのはあくまで机上情報に基づく概算です。空き家は劣化の進み具合や残置物、境界・接道状況など「現地でないと判断できない要素」が価格に影響しやすいため、売却を具体的に検討する段階では、不動産会社の机上査定・訪問査定で確認するのが現実的です。
2-2. 訪問査定(現地調査)は担当者が直接目で見て評価する方法
空き家の査定方法である訪問査定(現地調査)を示した図解。担当者が直接目で見て行われる訪問査定は売出価格や買取価格の基準として用いられやすい
訪問査定とは、不動産会社の査定担当が実際に現地へ赴き、実物を見て評価する方法です。机上査定ではわからない部分まで詳細に確認するため、より正確な査定価格を算出できます。
調査時間は1時間から2時間、早ければ30分程度です。以下では、訪問査定ならではの査定ポイントをまとめました。
- 建物や設備の劣化具合
- 建物の傾きや土地の傾斜
- 日当たりや風通し
- シロアリやネズミなどの害虫・害獣の状況
- 水道や電気などのインフラ関係の状況
- 接道状況
- 周辺施設
- 近隣住民とのトラブルの有無
原則として売主の立ち会いが求められるので、空き家が遠方にある場合はあらかじめスケジュールを調整しておきましょう。委任状があれば、親族や弁護士・司法書士などに代理を依頼できます。
また、空き家の場合、当事者同士の同意があれば不動産会社に鍵だけ渡して立ち会いなしで実施できるケースがあります。仕事や家事が忙しくて立ち会いが難しいときは、一度不動産会社に相談してみてください。
訪問査定の結果は、調査して数日から1週間程度で出ます。訪問査定の査定価格は、原則として売出価格や買取価格の基準として用いられます。特に、買取業者の場合は査定価格がそのまま買取価格になるケースがほとんどです。
3. 空き家の査定は「仲介業者」と「買取業者」のどちらに依頼すべきか
空き家の査定に対応する不動産会社は、主に「仲介業者」と「買取業者」の2つが挙げられます。
不動産会社の査定は営業活動の一環であるため、原則として無料です。しかし、仲介・買取業者はそれぞれで売却先やサービス内容が異なるため、同じ空き家でも最終的な売却価格に大きな差が出る傾向があります。
なお、国家資格を持つ「不動産鑑定士」に依頼すれば、数十万円の費用がかかりますが厳密な鑑定評価額がわかります。とはいえ、親族間で売買する際の適正価格の証明や、裁判などの特殊な事情がない限り、一般的な空き家の査定においては不動産会社の無料査定で十分です。
3-1. 仲介業者に査定を依頼するメリット・デメリット
仲介業者に査定を依頼するメリット・デメリットを示した図解。「市場価格に近い価格が期待できる」などのメリットがある反面、「売却までに時間がかかりやすい」などのデメリットがある
不動産の仲介業者とは、不動産を買いたい人と売りたい人の間に入り、売買に関するさまざまなサポートを提供する事業者です。売買契約が成立した際に、仲介業者に売却価格に応じた仲介手数料を支払います。
売主の場合は仲介業者と媒介契約を結んだ後、売出価格の決定、募集広告の掲載、内覧対応、買主との交渉などについてサポートを受けられます。売却先は、仲介を通じてマッチングした一般の個人になるケースが大半です。
仲介業者に査定を依頼するメリットとして、市場価格と同程度、または相場よりも高値での空き家売却を期待できる点が挙げられます。具体的な理由は、次の通りです。
- 買主に「そこに住みたい」というニーズがあるので、多少高くても気に入れば購入してくれる
- 買取業者のように査定価格から利益や経費が差し引かれない
一方で、「老朽化が進んでいる」「立地条件が悪い」といった空き家は、取り扱いを断られるリスクがあります。仲介業者は高値で売れるほど仲介手数料を得られることから、「売却価格が低い」「売却自体が難しい」といった空き家を取り扱うメリットが薄いためです。
一般の個人相手でも売却しやすそうな空き家の場合は、仲介業者への査定依頼を検討してみてください。
3-2. 買取業者に査定を依頼するメリット・デメリット
買取業者に査定を依頼するメリット・デメリットを示した図解。「仲介で断られやすい空き家も対応可能」などのメリットがある反面、「査定価格が安くなりやすい」などのデメリットがある
買取業者とは、買取業者自身が不動産を買い取り、その不動産にリフォームや修繕を施して再販・賃貸運用することで利益を得る事業者です。
買取業者が訪問査定で算出した査定価格に納得できれば、そのまま直接売買契約を結びます。仲介業務がないため、仲介手数料は一切かかりません。
買取業者に空き家の査定を依頼するメリットは、仲介業者から取り扱いを断られる空き家でも対応を期待できる点です。
買取業者は、買い取った不動産について独自の再生ノウハウや再販ルートを確立しています。「老朽化が進んだ空き家」「再建築不可などの訳あり物件」などでも、買取業者が再生できると判断すれば、査定および買取に応じる可能性が高いでしょう。
また、所有する空き家の問題点と買取業者の得意分野が合致すれば、より正確な査定を期待できます。例えば、親の孤独死で事故物件になった空き家なら事故物件に強い買取業者、再建築不可のまま放置された空き家なら再建築不可物件に強い買取業者に査定を依頼できます。
一方で、買取業者の査定価格は、仲介業者の6割から8割程度になるのがデメリットです。買取業者は、査定価格から「買取後の再生にかかる諸経費」や「自社の利益分」などを差し引いて算出するためです。
一般の個人への売却が難しい、訳あり要素が多くて仲介業者では取り扱えないといった空き家は、買取業者への査定依頼を検討してみてください。
4. 空き家の査定を依頼する不動産会社の選び方
空き家の査定を依頼する不動産会社の選び方を示した図解。取扱実績の有無や訳あり物件の対応など失敗しないためのポイントがある
空き家の査定を依頼する不動産会社を選ぶ際は、「空き家の取り扱い実績があるのか」「訳あり要素や所在するエリアに対応しているのか」などを確認しましょう。
依頼先が大手の不動産会社でも査定対象の空き家との相性が悪ければ、査定価格が低くなったり、取り扱いを断られたりするリスクがあります。相性がよい不動産会社を選べば、適正な査定やスピーディーな売却が期待できます。
4-1. 空き家の取り扱い実績があるか
最初に確認すべきは、これまでに空き家を取り扱った実績が豊富にある不動産会社かどうかです。
空き家は通常の不動産と比較して老朽化や立地条件などの面で問題が多く、査定の難易度が高い傾向が見られます。
空き家の取り扱い実績が多い不動産会社なら、過去の査定実績や修繕の必要性、劣化具合を適切に反映した査定を期待できます。
空き家に強い買取業者なら、残置物の処理や修繕をせず現況有姿(そのままの状態)での買取にも対応してくれるでしょう。
4-2. 空き家が訳あり物件でも取り扱ってくれるか
空き家は「老朽化が非常に進行している」「事故物件になっている」といった、訳あり要素を抱えているケースも少なくありません。
空き家が訳あり物件に該当する場合は、その訳あり要素に対応できる不動産会社に査定を依頼しましょう。訳あり要素を考慮した査定は専門知識や経験が必要になるため、一般の不動産会社では査定価格が著しく低くなるリスクがあります。
4-3. 空き家が所在するエリアに対応しているか
空き家の査定を依頼する際は、所在エリアでの取り扱いや取引実績を確認しましょう。
不動産会社は、全国の不動産に対応できる「全国対応型」と、特定の地域に強い「地域密着型」に分けられます。
基本的には、空き家が所在する地域に強い不動産会社を中心に探すのがよいでしょう。地域密着型の不動産会社なら、再開発計画や地元ならではの需要、独自の販路など、地元でしか得られないニッチな情報を評価してくれる可能性があります。
「信頼できる地域密着型の不動産会社がない」「空き家が遠方にあって対応が難しい」といったケースなら、全国対応型の利用を検討しましょう。全国対応型は大手不動産会社も多いため、過去の取引実績や経験の多さを基にした安定した査定と対応を期待できます。
なお、上記はあくまで傾向であり、「全国対応型のほうが査定価格が高かった」といったケースも存在します。査定を依頼する際は、地域密着型・全国対応型を問わず、所有する空き家と相性がよい不動産会社を選んでください。
4-4. 自分の希望や悩みに対して真摯に対応してくれるか
査定を依頼した不動産会社の対応力は、査定およびその後の売却の成否を左右します。
以下のポイントを確認し、信頼できる担当者かを見極めてみてください。
- 売却時期や希望条件など、売主の希望をていねいにヒアリングしてくれるか
- 査定根拠やマイナス要素など、リスク面も誠実に説明してくれるか
- 質問への回答や手続きの進行などに関するレスポンスが早いか
希望や悩みに対して真摯(しんし)に対応してくれる担当者なら、積極的なサポートが期待でき、早期の売買契約成立を目指しやすくなります。
4-5. 査定結果を比較検討しやすい不動産会社か
訪問査定を依頼する不動産会社を選ぶ際は、複数社から机上査定を取得し、査定結果を比較検討しやすいかどうかを重視しましょう。
空き家の評価は、「リスクをどのように織り込むか」「自社の得意分野と物件の訳あり要素がどの程度マッチしているか」など、不動産会社ごとの判断基準によって大きく差が出やすい分野です。そのため、不動産会社によっては、査定価格に数百万円単位の開きが生じるケースも珍しくありません。
査定結果を比較検討しやすい不動産会社であれば、机上査定の段階でも価格の根拠や前提条件が明確であり、他社との金額差や評価の考え方を把握しやすくなります。「他社と比べて著しく低くないか」「相場感から大きく外れていないか」といった判断もしやすくなるでしょう。
一方で、机上査定を依頼したすべての不動産会社に訪問査定まで進めてしまうと、売主側の負担は大きくなります。机上査定の内容や対応姿勢を踏まえてある程度絞り込み、信頼できると判断した不動産会社にのみ訪問査定を依頼できるかどうかも、比較検討しやすい不動産会社かを見極めるポイントです。
5. 不動産会社に査定を依頼する際に必要な書類
不動産会社に机上査定を依頼する際には、原則として提出する書類はありません。しかし、以下の書類を準備してその情報を入力しておくと、より精度の高い査定が期待できます。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 土地の測量図
- 建物の図面
- リフォーム・修繕の履歴
続いて訪問査定を依頼する際には、上記の書類に加えて以下の書類が必要になる可能性があります。
- 本人確認書類
- 登記済権利証
- 建築確認通知書
- 固定資産税納税通知書
実際にどのような書類が必要になるかは、査定を依頼する不動産会社に直接確認してください。なお、査定後に空き家の売却や登記を行う場合は、上記の他にも確定測量図や登記申請書などが必要になる可能性があります。
6. 空き家の査定や売却に失敗しないためのポイント
空き家の査定や売却は、通常の不動産取引よりも判断が難しい局面が多く見られます。 よかれと思って行った対策が逆効果になったり、知識不足で税金の負担が増えてしまったりするリスクがあるためです。
空き家の査定や査定後の売却で失敗しないためには、以下のポイントを意識してみてください。
- 査定を受ける前に自分でも相場を調べておく
- 仲介業者に依頼する場合は売却戦略をしっかり考える
- 買取業者に依頼する場合はリフォームや修繕を安易にしない
- 更地にするかどうかは必ず不動産会社に相談してから判断する
- 空き家の瑕疵やその他の問題点は不動産会社に包み隠さず伝える
- 不動産会社を介さない個人間売買はできるだけ避ける
6-1. 査定を受ける前に自分でも相場を調べておく
不動産会社に査定を依頼する前に、自分でも相場価格がいくらになるかをある程度調べておきましょう。
相場を知らないまま査定を受けると、不動産会社から提示された査定価格が本当に適正なのかどうか判断がつきません。仮に不動産会社の査定価格が相場から大きく外れていた場合、「いつまでも買主が見つからない」「著しく安い金額で買い叩かれる」といったトラブルが生じる恐れがあります。
空き家の大まかな相場を自分で調べる方法は、主に次の通りです。
- 「不動産情報ライブラリ」や「REINS Market Information」で空き家の周辺地域や類似物件の成約価格を見る
- 不動産ポータルサイトにて類似物件の売り出し価格を確認する
- 複数の不動産会社の査定価格を比較する
当然ながら、上記の方法で算出できるのは概算価格です。あくまで「自分の空き家と同じような築年数や面積なら、いくらで売れそうか」を知るための目安だと認識しておいてください。
6-2. 仲介業者に依頼する場合は売却戦略をしっかり考える
仲介業者に査定や仲介を依頼する場合は、丸投げするだけでなく、仲介業者と協力しながら自分でも売却戦略を考えましょう。
空き家の物理的な欠陥や外観上の問題をそのままにしていると、問題をある程度許容してくれる買取業者とは異なり、一般の個人からは敬遠されてしまうからです。
ただし、仲介業者が行うのはあくまで売買のサポートやアドバイスです。不動産の見た目や改良に関する手配は、売主自身の役割になります。
空き家を売るために売主が実施できる対策は、主に次の通りです。
- 空き家内の残置物の撤去、敷地内の雑草除去、不動産全体の掃除などを行い、買主視点の印象をよくする
- リフォームや修繕の方向性について仲介業者に相談し、ニーズに合うように改善を施す
- 一定期間売れなかったら売却価格を下げたり仲介業者を切り替えたりするといったプランBを用意しておく
6-3. 買取業者に依頼する場合はリフォームや修繕は安易にしない
買取業者に査定や売却を依頼する場合、空き家のリフォームや修繕を安易に進めることは避けてください。「きれいにしたほうが喜ばれるはず」という親切心が、かえってアダになるケースが大半だからです。
買取業者は、独自のノウハウによるリフォームや修繕で不動産を再生することを前提とします。もし売主が独断で進めてしまうと、買取業者の再生プランやデザインと合わなくなり、買取業者のほうでリフォームのやり直しや解体を実施する二度手間になりかねません。
売主側の立場から見ても、不必要なリフォーム・修繕費用が赤字になります。買取業者の場合、空き家であっても、ありのままの状態で査定や売却を依頼するのが基本です。
6-4. 更地にするかは必ず不動産会社に相談してから判断する
「老朽化が進んだ空き家だから、解体して更地にしたほうが売れやすいだろう」と安易に判断するのは非常に危険です。何も考えずに更地にしてしまうと、以下の問題が発生するリスクがあります。
- 住宅用地の特例の適用がなくなり、固定資産税が最大6倍になる
- 再建築不可物件だった場合、更地にした後に新築や建て替えができなくなる
- 更地としての需要がなくて売れず、数百万円レベルの解体費用だけがかかった
更地にするかどうかは必ず不動産会社に相談し、「解体しても大丈夫な土地か」「更地にしたほうが高く売れるか」を確認してから判断してください。
6-5. 空き家の瑕疵やその他の問題点は不動産会社に包み隠さず伝える
不動産会社の査定を受ける際には、把握している空き家の瑕疵やその他の問題点などのネガティブな情報を、不動産会社に包み隠さず伝えてください。
「高値で売りたい」「黙っていたほうが楽だ」と判断して、そのまま隠して売却すると、後から問題が発覚した際に買主から「契約不適合責任」を問われるリスクがあります。契約不適合責任が認められると、損害賠償、契約解除、減額といった請求を受けることになります。
なお、買取業者が売却先なら、契約不適合責任を免責する特約を結ぶのが一般的です。しかし、故意に瑕疵を隠していたことが発覚した場合は、この特約が無効になる可能性があります。
6-6. 不動産会社を介さない個人間売買はできるだけ避ける
自分の親族や友人から「空き家を譲ってほしい」と言われた場合、「気心の知れた間柄だし、不動産会社の査定やサポートはいらない」と考え、個人間売買を行うケースがあります。
基本的に、どれほど親しい間柄の取引であっても、不動産会社を介さない個人間売買は推奨しません。個人間売買には、以下のリスクが存在するためです。
- 「知り合いだから安くしてくれ」と、相場からかけ離れた金額で買い叩かれる
- 売却条件や瑕疵の有無について言った言わないのトラブルが発生する
- 作成した売買契約書に不備があり、後々トラブルが発生しても解決できない
- 個人間売買だと金融機関の住宅ローンを利用するのが難しい
不動産売買は、非常に高い専門性が求められる取引です。トラブルを防ぐためには、親しい間柄での取引であっても、必ず間に不動産会社や弁護士・司法書士などの専門家を入れるようにしましょう。
7. 空き家の査定・売却に関するよくある質問
Q. 不動産の査定額を算出する方法には何がありますか?
「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つが主に挙げられます。
【原価法】
「査定する時点で、同じ建物を再建築した際にいくらかかるのか」という視点で、あらためて資材費や工事費を計算し、築年数に応じた価値減少分を反映する方法です。
【取引事例比較法】
査定対象となる空き家と類似した不動産の取引データを比較し、査定価格を算出する方法です。
【収益還元法】
不動産の収益性を参考に査定価格を算出する方法で、主に賃貸物件などの収益物件の査定で用いられます。
Q. 空き家をそのまま所有し続けると、どのようなリスクがありますか?
空き家をそのまま所有し続けると、下記のリスクがあります。
【固定資産税が最大6倍になる】
倒壊や景観破壊などのリスクがあるとして「特定空家等」や「管理不全空家等」に該当し、さらに市区町村から「勧告」を受けると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が最大6倍程度に増える可能性があります。
【損害賠償を請求される】
老朽化した空き家の倒壊や破損が原因で周辺住民がケガをしたり、周辺の建物を壊したりした場合、損害賠償責任を負います。
【管理費用の支払いが続く】
空き家の所有が続く限り、固定資産税、水道光熱費の基本料金、火災保険料、修繕費用などの管理費用の支払いが必要になります。
Q. 空き家を売却する際に使える節税制度はありますか?
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が代表的です。これは、相続した空き家を売却して譲渡所得(売却益)が出た際に、一定要件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。
Q. 売却以外に空き家を手放す方法がありますか?
空き家を第三者に贈与(無償譲渡)する方法があります。ただし、受贈者には空き家の評価額に応じた贈与税が課せられるので、事前に課税される旨を受贈者へ伝えておきましょう。
他には、「自治体や法人への寄付」や「相続土地国庫帰属制度」などを利用する方法があります。ただし、どちらの方法もハードルが高く、一般的な空き家では利用できないケースがほとんどです。
Q. 空き家の相続登記ができていなかったら問題はありますか?
空き家を含む不動産は、相続登記未了だと原則として売却ができません。登記上の名義人と不動産の売主が異なると、売買が事実上進められなくなるためです。
例えば、空き家を売却した後に買主へ所有権を移転しようとしても、登記上の名義人でない売主では所有権移転登記ができません。
そもそも相続登記は2024年4月1日から義務化されており、「自分が相続人であることと、不動産を相続したことを知った日から3年以内」に登記をしないと、正当な理由がなければ最大10万円の過料の対象になります。
空き家を相続した際には、相続登記を必ず完了させておきましょう。
8.まとめ|空き家の査定は不動産会社に依頼しよう
空き家の査定は、仲介業者や買取業者などの不動産会社に無料で依頼できます。空き家は管理状態の悪さなどから査定価格が低い傾向にありますが、立地条件や業者の選び方次第では十分に高値での売却が期待できます。
空き家の査定を依頼する不動産会社を選ぶ際は、「空き家の取り扱い実績」「空き家の訳あり要素と得意分野との相性」「空き家が所在するエリアでの取引実績」などを確認しましょう。
納得のいく形で空き家を手放せるかどうかは、いかに信頼できる業者と出会い、適切な査定を受けられるかが鍵を握ります。 当記事で解説したポイントを参考に、ぜひ空き家の売却を成功させてください。
(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)
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