奈良の相続の無料相談窓口11選! 専門家の対応分野から選び方まで解説
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奈良県は南部に険しい山々がそびえ、北部の奈良市や橿原市、生駒市などに人口が集中しています。北部は不動産評価額が高い傾向にあり、土地や持ち家がある場合は相続税の課税対象となる可能性が高まります。また、不動産の相続では金額の多寡を問わずトラブルになることが多いため、専門家への相談がお勧めです。本記事では、奈良県にある相続の無料相談窓口とその選び方を解説します。
奈良県は南部に険しい山々がそびえ、北部の奈良市や橿原市、生駒市などに人口が集中しています。北部は不動産評価額が高い傾向にあり、土地や持ち家がある場合は相続税の課税対象となる可能性が高まります。また、不動産の相続では金額の多寡を問わずトラブルになることが多いため、専門家への相談がお勧めです。本記事では、奈良県にある相続の無料相談窓口とその選び方を解説します。
目次
奈良で相続に関して相談できる主な窓口は、以下のとおりです。
相続について悩みがあるなら、まずは弁護士事務所への相談を検討しましょう。弁護士は相続手続きに関する一般的な相談から、法的判断を要する複雑な事案まで幅広く対応できます。
弁護士に相談・依頼できる業務は以下のとおりです。
遺産の使い込みで揉めている場合や、相続人の一人と連絡が取れない場合、トラブル対策として遺言書を作成したい場合など、さまざまな場面で弁護士への相談が有効です。
相続人同士の争いを仲裁できるのは弁護士だけなので、争いになったらまず弁護士にアドバイスをもらいましょう。
弁護士事務所のなかには、初回無料相談やオンライン相談に対応しているところもあります。あらかじめ事務所のホームページなどで相談料や場所、相談方法を確認しておきましょう。
財産が多額で相続税がかかる可能性がある場合は税理士に相談しましょう。相続において税理士が対応できる分野は、以下のとおりです。
税務の専門家である税理士には、相続税の申告方法や節税対策に関する具体的な相談が可能です。亡くなった家族が多額の財産を持っていた場合や、自分が将来亡くなった際の相続に備えたい場合は、税理士に相談しましょう。
登記の専門家である司法書士には、主に争いのない相続手続きや相続登記について相談できます。司法書士が対応できる主な業務は、以下のとおりです。
遺産の中に不動産が含まれている場合には、相続登記を申請する必要があります。専門的な知識がなければ、相続登記の申請を自力で行うことは困難です。司法書士に依頼すれば、相続登記の申請手続きを代行してもらえます。
また司法書士には、相続人の調査や遺産分割協議書の作成など、さまざまな相続手続きを依頼できます。相続税の申告が必要なく、争いのないケースならワンストップで対応してもらえるでしょう。
奈良県内には、専門家による無料相談を実施している自治体があります。例えば、奈良市では奈良市民を対象に、予約制で弁護士による法律相談や司法書士による法律相談を行っています。相談は無料で、相談時間は弁護士相談が20分、司法書士相談が40分程度です。
面談だけでなく電話による相談も可能なので、奈良市のウェブサイトで詳細を確認してみましょう。いきなり専門家事務所に相談することに抵抗がある人や、相続手続きに関して手軽に相談したい人にお勧めの相談先です。
相談窓口 | 所在地 | 予約電話番号 | 相談日時 |
---|---|---|---|
弁護士による法律相談 | 奈良市役所中央棟1階 玄関ホール 「玄関ホール会議室」 |
0742-34-5444 | 月・水 9時~12時 13時~16時 |
司法書士による法律相談 | 同上 | 同上 | 第2・4木 13時~16時20分 |
法テラス奈良では、金銭的な理由で専門家への相談や依頼ができない人を対象に、無料法律相談と弁護士・司法書士費用等の立て替えを行っています。利用には収入や資産の要件を満たしている必要があります。
相談は予約制で、同一問題については30分×3回まで利用できます。実施場所は法テラスの事務所や各地域の相談場所、法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所です。
また、障害や高齢などの理由で相談場所に行くのが困難な場合には、出張相談に応じてくれる場合もあります。詳細は法テラス奈良に電話で問い合わせください。
なお、法テラスに直接利用を申し込むと、担当してくれる司法書士や弁護士を選べません。自分で選びたい場合は、法テラスと契約している弁護士や司法書士を探し、その専門家経由で法テラスの利用を申し込みましょう。
事務所名 | 所在地 | 電話番号 | 予約受付日時 |
---|---|---|---|
法テラス奈良 | 奈良市高天町38-3 近鉄高天ビル6階 |
0570-078338 | 平日 9時~17時 |
法テラス南和法律事務所 | 吉野郡大淀町下渕68-4 やすらぎビル4階 |
050-3383-0025 | 平日 9時~17時 |
奈良弁護士会は、遺言や相続の悩みについて電話で無料相談ができる「相続・遺言お悩みダイヤル」を設置しています。電話で申し込むと24時間以内に担当弁護士から電話がきて、20分以内で悩みを相談できます。無料電話相談は原則、初回のみです。
また、同会の「中南和法律相談センター」では、奈良県の中南部地域に住む人を対象として、多数の無料相談窓口を設置しています。電話による予約制なので、あらかじめ対象となる地域や実施日を確認したうえで、相談を検討しましょう。
相談窓口 | 所在地 | 電話番号 | 相談日時 |
---|---|---|---|
相続・遺言お悩みダイヤル | ー | 0742-22-4611 | 平日 9時30分~17時 |
中南和法律相談センター | 詳細は奈良弁護士会の ウェブサイトから |
0742-22-2035 | 詳細は奈良弁護士会の ウェブサイトから |
近畿税理士会は、近畿2府4県の各地に「税務相談センター」を設置し、無料相談を行っています。奈良県内では17カ所に窓口があり、相談日時は会場によって異なります。予約優先のところもあるため、相談を希望する場合はあらかじめ近畿税理士会のウェブサイトで詳細を確認してください。
また、同会の「もしもし税金相談」では、税理士が電話で20分程度の税務相談に応じています。無料で相談できるものの、税務相談に対する回答は一般的な範囲に限られます。なお、通話料は相談者負担です。
相談窓口 | 所在地 | 電話番号 | 相談日時 |
---|---|---|---|
もしもし税金相談 | ー | 050-8880-0033 | 平日 10時〜16時 |
奈良県司法書士会は、「相続登記相談センター」を奈良県内の2カ所に設置し、相続登記に関する無料相談を行っています。また、司法書士会館では毎週水曜日に「定例総合相談」も実施しています。いずれも予約制で、電話もしくはWebでの予約が可能です。
相談窓口 | 所在地 | 電話番号 | 相談日時 |
---|---|---|---|
定例総合相談 | 奈良市西木辻町320-5 司法書士会館2階 |
0742-81-8050 | 水 13時~16時20分 |
相続登記相談センター 司法書士会館2階会場 |
同上 | 同上 | 月・金 13時~16時10分 |
相続登記相談センター すみれホール 3階 コスモス会場 |
橿原市内膳町1-2-24 すみれホール 3階 コスモス |
同上 | 木 13時~16時10分 |
奈良県行政書士会では、第2木曜日に無料相談会を実施しています。開催日が少なく予約が必要なので、あらかじめウェブサイトで詳細を確認しておきましょう。
行政書士には遺産分割協議書や遺言書の作成などに関する相談が可能です。相続争いの仲裁や相続登記・相続税などに関する相談はできないのでご注意ください。
相談窓口 | 所在地 | 電話番号 | 相談日時 |
---|---|---|---|
奈良県行政書士会 無料相談会 |
奈良市高天町10-1 T.T.ビル3階 |
0742-95-5400 | 原則 第2木 13時~16時 |
奈良県内にある各税務署では、相続税など税金に関する相談を受け付けています。電話・対面での相談が可能で、対面相談は予約制です。
相続税の計算方法や申告手続きなどについてアドバイスをもらえますが、節税対策についてはアドバイスを受けられません。また、申告書の作成を代行してもらうこともできません。
国税である相続税は、亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する税務署で申告と納付を行います。管轄税務署は「税務署所在地・案内(奈良県)」で確認できます。
奈良地方法務局では、予約制で対面・電話・Webでの登記手続案内を受け付けています。相談時間は1回20分程度で、登記申請書の書き方や添付書類などを教えてもらえます。
ただし、相続登記の申請手続き自体を代行してもらえるわけではありません。相続登記に不安がある場合は、初めから司法書士に相談しましょう。
なお、どこの法務局でも相談に応じているものの、できれば相続した不動産を管轄する法務局に相談するのがお勧めです。管轄法務局は「奈良地方法務局 管内法務局一覧」で確認できます。
専門家に無料相談をする際は、以下の点に留意しておきましょう。
スムーズに相続手続きを完了したいなら、早い段階で専門家に相談することを心がけましょう。とくに相続トラブルは対処が遅くなると問題が複雑になり、解決に時間がかかる可能性があります。将来的に争いになりそうであれば、トラブルになる前に今後のアドバイスをもらっておくと安心です。
また、相続放棄や相続税の申告など期限がある手続きもあります。期限に遅れると相続放棄ができなくなったり、追徴課税の対象になったりするため、早めに相談してスムーズに手続きを進めましょう。
相談の際には、相続人や財産に関する書類を持参してください。限られた制限時間の中で正確に事案を把握してもらうためには、関係資料を見せながら相談するのが効果的です。
例えば、亡くなった人と相続人の住民票や戸籍謄本、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳の写しといった財産に関する資料があるとよいでしょう。もし持参する資料がわからないのであれば、関係資料をできるだけ多く持参して専門家に必要なものを選別してもらいましょう。
相談する前に、以下の項目をまとめておくことをお勧めします。
限られた時間内でスムーズに相談概要を伝えられるほか、質問事項を準備しておくことで聞き漏らしもなくなります。
また、専門家が事情を把握しやすくなり、的確なアドバイスがもらえます。
相談する際は、事実を隠さず説明しましょう。例えば、自身の取り分を失いたくないあまり遺言書の存在を隠すと、適切なアドバイスが得られません。また、あとで遺言書の存在を専門家に知られた際に、信頼関係の破綻を理由に依頼を辞任されてしまう恐れもあります。
専門家には守秘義務があるため、相談内容が外に漏れることはありません。無料相談内で適切なアドバイスをもらうためにも、自分にとって有利・不利を問わず全ての事情を話すようにしてください。
相続について、弁護士・司法書士・税理士といった専門家に無料相談をするメリットは、以下のとおりです。
自治体や税務署などの相談窓口と違い、専門家事務所では夜間・土日祝日の相談にも対応しているケースが多いです。電話・オンライン相談を行っているところもあるので、遠方にある事務所でも足を運ばずに相談できるのが大きな利点です。
平日日中は家事や仕事で忙しい場合は、相談時間・方法を柔軟に選択できる専門家事務所への相談を検討しましょう。
専門家事務所であれば、一般的な相談から複雑な相談まで、幅広い悩みに対して具体的なアドバイスがもらえます。
自治体や弁護士会などの窓口は、相続手続きに関する一般的な質問や法律の基礎知識に関する質問には対応できます。一方で、遺産の使い込みがあった場合や相続人が多く話し合いがまとまらない場合など、複雑で具体的な相談については回答できない可能性があります。
より踏み込んだアドバイスをもらいたいなら、初めから専門家事務所に相談しましょう。
相談後にそのまま依頼できるのも専門家事務所に直接相談する大きなメリットです。相談の際に、専門家の方針や雰囲気、依頼費用などが分かり、信頼して依頼できるかどうかを判断できます。
専門家に依頼すると、実際の相続手続きについてスムーズに対応してもらえます。正式な依頼まで検討しているなら初めから専門家への相談を検討してください。
自治体などの相談窓口は自分で担当者を選べないため、相続に詳しくない専門家が担当者になる可能性もあります。一方で、専門家事務所に相談する際は、相続に詳しい事務所を自分で選ぶことができます。
相続の取扱事例が豊富な専門家であれば、今までの経験から得たノウハウで状況にあった解決策を提示してもらえます。複雑な質問にもわかりやすく回答してもらえるため、相談の満足度も上がります。
奈良で相続に強い経験豊富な専門家を探すなら、次の方法を検討してみましょう。
たとえば、奈良市で相続に強い弁護士を探したいのであれば、インターネットで「奈良市 相続 弁護士」と検索するとよいでしょう。地域を絞って網羅的に検索できるので、数ある専門家の場所や取扱分野、受付時間を比較できます。
ただし、検索でヒットする事務所が多いと、結局どの専門家に相談すればいいのか絞りきれないおそれがあるのでご注意ください。
例えば、奈良弁護士会の「弁護士紹介センター」では、相談内容に合った弁護士を紹介してくれます。自分で相談先を絞りきれない場合には、こうした専門家紹介サービスを利用してみるとよいでしょう。
ほかにも、信頼できる知人や友人から、過去に相談・依頼した専門家を紹介してもらう方法もあります。この場合には、相談前に事務所のホームページで取扱業務などを調べておくことをお勧めします。
相続ポータルサイト「相続会議」を活用すれば、奈良県内の相続に強い専門家を効率的に探すことができます。登録不要で、弁護士・税理士・司法書士を簡単に検索できます。
市区町村や相談内容で絞り込めるほか、「オンライン相談可」や「土日祝OK」などのこだわり条件も指定できます。事務所の紹介ページを見れば費用や力を入れている分野もわかるので、相性の良い専門家がスムーズに見つかるでしょう。
事務所のホームページだけでなくSNSの投稿や著書も参考になります。例えば、SNSで相続税に関して投稿している税理士は、普段から相続分野に力を入れている可能性があります。
また、遺産分割協議に関する著書を出版している弁護士は、相続トラブルの知識や対応経験が豊富な弁護士である可能性が高いでしょう。
最近では動画投稿サイトなどで自身の意見を発信している専門家も多く見られます。さまざまな情報を参考にして、相続に強い専門家かどうかを判断しましょう。
2024年12月1日時点、推計人口約128.3万人の奈良県は、曽爾高原、若草山や玉置山など豊かな自然を擁する都市です。東大寺や法隆寺などの文化的・歴史的な建造物が多く、国内外から毎年多くの観光客が訪れます。県の南部には険しい山々がそびえ、奈良市や橿原市、生駒市などの県北部に人口が集中しています。
令和6年における奈良県の住宅地の公示価格は前年から0.3%下落したものの、人口が集中する奈良市では0.9%上昇、橿原市では0.7%、生駒市では0.6%の上昇となりました。公示価格が上昇すると不動産価格も上がる傾向にあるため、一般家庭でも持ち家があれば、将来的に基礎控除額を超えて相続税がかかる可能性も十分に考えられます。
また、裁判所の「令和5年司法統計年報 3 家事編」によれば、奈良県を管轄する奈良家庭裁判所にて2023年に取り扱った遺産分割事件数(終局区分別)は150件です。トラブルが起こっても調停の手続きをせず放置しているケースもあるため、実際のトラブル件数はさらに多いと考えられます。
適切な対策を施すことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。手遅れになる前に早めの相談を心がけましょう。
奈良県には専門家事務所や自治体、その他の公的機関の無料相談窓口が充実しています。
相続争いが起こっている場合や起こりそうな場合、複雑な相続手続きが必要になりそうな場合などには、専門家に相談してアドバイスをもらいましょう。相続に強い専門家を探す際は「相続会議」が便利です。奈良県内の専門家だけでなく、全国オンライン対応している他県の専門家も掲載されています。
(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)