税理士への相談 相続税申告や税務調査を視野に入れたアドバイスが可能 辻・本郷税理士法人 島田亮子税理士に聞く
相続で税理士に相談するのは富裕層だけと思っていませんか? 最近は相談者にも変化があるそうです。辻・本郷税理士法人(東京都新宿区)の相続・資産承継部の税理士、島田亮子さんに聞きました。
相続で税理士に相談するのは富裕層だけと思っていませんか? 最近は相談者にも変化があるそうです。辻・本郷税理士法人(東京都新宿区)の相続・資産承継部の税理士、島田亮子さんに聞きました。
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――2015年に相続税の基礎控除が引き下げられ、相続税を納める必要がある人が増えましたが、相談に来る人に変化はありますか?
財産が自宅不動産と金融資産のみでも、相続税申告が必要な方が増えました。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例(土地の減額)を使って無税になることも多いですが、これらの特例を受けるには、申告が必要です。
――「うちには税理士に相談するほどの遺産はない」と感じている人は少なくないと思います。そんな人たちも税理士に相談するメリットはありますか?
遺産は民法にある法定相続割合で分けるものと思っている方も多いのですが、そうではありません。例えば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもが4分の1ずつですが、相続人の間で合意があれば、どんな割合でも問題ありません。将来を見据えた分割案は相続人だけでは思いつかないことや、親子では話しづらいこともあります。税理士と話すことで話が整理されることもよくあります。
――相続することになってから相続税の申告・納付の期限は10カ月です。亡くなってから税理士に相談する場合は、いつまでに相談するのがいいでしょうか?
亡くなられてから3カ月が相続放棄の期限、4カ月が準確定申告(亡くなった人の確定申告)の期限です。納税は10カ月以内の現金一括納付が原則です。生命保険はすぐおりますが、預金については相続人全員の同意がないと全額は解約できません。解約には時間がかかるので、相続財産を納税資金にあてようとするならば、早めのご相談をお勧めします。
また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うと税負担が大幅に抑えられますが、遺産分割が決まらないと10カ月以内にはこれらの特例が受けられません。申告期限ぎりぎりのご依頼であってもお受けできる体制は整っておりますが、なるべく早い段階でご相談いただけると、いろいろなご提案がしやすいと思います。
――生前から税理士に相談するメリットは?
遺産の中に不動産や非上場株式の占める割合が高いとすぐに資金化ができないため、延納や物納、納税猶予など納税方法の検討も必要になります。また、海外資産がある場合や相続人が海外にいらっしゃる場合には、時間と費用がかかることに加え、手続きに慣れている税理士が少ないので、相談先をあらかじめ決めておくことをお勧めします。
一定の場合を除き、亡くなった方か相続人のいずれかが日本に住んでいる限りは、海外にある資産であっても日本ではすべて課税対象になりますので、申告が必要です。国によっては、現地でも税金がかかるケースがあります。アメリカの場合は州によっても税制が違うので、事前に確認しておいたほうがいいですね。
――相続人の間で争いがある場合でも、税理士に相談はできますか?
ご相談いただく中には、弁護士が入らないまでも、もめているケースが最近は多くなっています。公正証書遺言があれば、多少の不満があってもその通りに税務申告をして終わることもある一方で、遺産分割協議が必要になった場合には、中立な立場で分割案の説明することで、納得していただけることがあります。もめて遺産分割がまとまらなかった場合のデメリットも税理士の立場からご説明します。
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相続の相談が出来る税理士を探す――相談者と信頼関係を築くための工夫などはありますか?
相続税の申告書を作成するために、亡くなった方や相続人の過去の通帳を拝見する場合など、見る必要がある理由を丁寧にご説明するようにしています。申告後の税務調査で一番指摘が多いのが名義財産の申告漏れです。夫が亡くなって、生活費にもあてていた妻名義の銀行預金がある場合、夫の財産と妻の財産が切り分けづらいケースが多くあります。妻の年金やそれまでの仕事の収入、親からの相続財産など資産背景をよく聞き、税務調査に備えたリスクを伝えた上で、最後は相続人の皆さまに納得していただけるような申告を心がけています。
――相続税申告を依頼する場合、税理士への報酬は遺産額に比例して決まるのでしょうか?
だいたい遺産額に比例して決まります。全国的な基準はありませんが、財産額の1%程度を目安に、個別にお見積もりを提示しています。
――円満な相続をするために生前からしておくべきことや、親が元気なうちにしておいてもらうといいことなどありますか。
親御さんが遺産をこうしたい、こう分けたいというお気持ちを公正証書遺言の形で残しておくことが、円満な相続の秘訣だと思います。口頭で伝えておくだけではもめた時に話がまとまらず、相続手続きができません。相続人の間でもめていても、公正証書遺言があったので、結果的にそれで納得したというケースが最近もありました。
遺言書を作成している途中でお亡くなりになってしまったというケースもありますので、元気なうちにご準備いただいた方がいいと思います。
【辻・本郷税理士法人】拠点は海外を含め81カ所と日本最大規模。辻・本郷グループ内には弁護士法人や不動産コンサルティング会社などがあり、相談内容に応じて各種専門家と連携しながらワンストップで対応が可能。
(記事は2022年7月1日現在の情報に基づきます)
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