目次

  1. 1. 相続財産の資料の準備を 丸投げでもOK
  2. 2. 遺産分割協議書への実印 せかされても…
  3. 3. 無料相談の活用を 相性を大切に

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代表弁護士の寺垣俊介さん
代表弁護士の寺垣俊介さん

――弁護士に相続に関して相談するタイミングは、いつがよいでしょうか?

寺垣:遺産分割の交渉の代理人など相続に関して争いが起きてからの対応は、我々弁護士の役割となります。でも、もめる前に相談に来てもらっても大丈夫ですよ。争いにならないようにアドバイスしますし、万が一争いになった場合は代理人として味方につきます。

――相談時、事前にどんな準備が必要ですか?

寺垣:通帳や保険証書、不動産の登記簿謄本といった相続財産を裏付ける資料があると、話しが進むのは早いのは確かです。ただ、亡くなった人と疎遠だった場合など、自分が相続人であること以外は何もわからないこともあると思います。そんな時は手ぶらで相談してもらっても大丈夫です。

――丸投げしてもよいってことですか?

寺垣:はい。私たちが戸籍を取り寄せて相続人を確定させ、銀行などに問い合わせて遺産を把握し、他の相続人と連絡をとります。

――ありがたいです。でも、弁護士さんに頼むと高そうなイメージが…

寺垣:私たちは困っている方が気軽に相談できるような身近な弁護士事務所にしたくて、「リーズナブルな価格」をうたっています。争いがない案件であれば、司法書士や行政書士に依頼した時と同じ相場で受けています。遺産分割交渉など代理人となる場合には、着手金、成功報酬ともに明確な料金を提示します。

代表弁護士の佐藤塁さん
代表弁護士の佐藤塁さん

――もっと早く相談してくれたらよかったのに…と思う事例はありますか?

寺垣:親が生前、長女に「あなたは私を介護をしてくれているから、多めに相続して良いからね」と口約束しているケースです。「寄与分」はなかなか認められないので、他の相続人から平等な遺産分割を求められると、長女は期待していたほどの遺産を相続できないことが多いです。親の生前に相談して頂けたら、遺言書の作成などのアドバイスができたケースです。

佐藤:ほかには遺産分割協議書に実印を押した後に、相談にくるケースです。例えば長男が自分に有利な遺産分割協議書を準備し、次男に「相続税を払わないといけないから早くして」「早くしないと預金が凍結されちゃう」などと言って署名や実印をせかしてきます。勢いに負けて実印を押してしまえば、協議が成立してしまいます。こうなると、協議を覆すのは難しいです。

――事前に相談があれば事態は変わっていたでしょうね。

佐藤:もし事務所に電話をいただいていれば、「とにかく実印だけは押さないで」と伝えたと思います。事務所に協議書を持って来てもらえれば、具体的なアドバイスができます。法定相続分としては数千万円もらえるはずだったのに、言われるがまま協議書に印鑑を押してしまったばかりに数百万円しかもらえなかったという事例もあります。遺産協議の場で、少しでも「おかしい」と思ったら、気軽に相談してほしいと思います。

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――相続分割の協議に、弁護士が入るメリットは?

柴崎:争いになっている場合、当事者間には感情的にもつれがあり、話し合いがままならないこともあります。ですが、感情ばかりが先行すると、解決策は見いだせません。相談時、私たちも依頼者の感情に耳を傾けますが、遺産分割には「法的権利として認められるもの」「認められないもの」があります。それらをきちんと整理して落としどころを探っていくのは、専門家である我々だからこそできると考えています。

――相続を巡って裁判にまで発展するケースは?

柴崎:遺産分割協議は調停でまとまる場合が多いです。一方、遺留分を求め、裁判するケースはあります。依頼者には、裁判の見通し、必要なお金や時間的なコスト、精神的な負担などを伝え、裁判するかどうか判断してもらいます。

東京オフィス所長の柴崎悠介さん
東京オフィス所長の柴崎悠介さん

――初回は無料で相談できる事務所も増えていますね。

寺垣:2~3カ所の事務所を訪ね、弁護士との相性を確かめた上で、どこに依頼するのか決めればよいと思います。財産や家族関係などプライバシーに関わる話も多いので、信頼関係が大切です。信頼がないと「自分が不利になることは言わないでおこう」と相談者は思ってしまうので。そうなると我々も正しい見通しを立てることができず、解決までに時間がかかってしまう恐れがあります。

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――そもそも、相続でもめないために、どんな準備が必要でしょうか。

佐藤:被相続人は、遺言書をきちんと準備しておくことですね。相続人にその意思をきちんと事前に伝えておくことです。

――親が準備してくれない場合、子どもはどうすればいいでしょうか。

柴崎:話し合っている家族のほうがもめるリスクは減りますので、聞けるのであれば、親に聞いてほしいです。とはいえ、センシティブなことなので、話すきっかけがいると思います。たとえば相続に関するニュースを見かけたときに、「相続について、考えている?」「私たち、きょうだいでもめたくないよ」などと話題にしてみるのはいかがでしょうか。

――相続相談に携わるやりがいは?

柴崎:遺産は「長男が継ぐもの」「別の家に嫁いだ女性に権利はない」との考えがまだまだ残っています。そうした考えのもと、法的権利をないがしろにされている人が一定数いますので、そんな人たちの法的権利を実現するためのお手伝いができることにやりがいを感じます。

佐藤:依頼者が喜んでくれるのが一番です。遺産のことで、親族でもめて「つらくてたまらない」という状況に追い込まれる方々がいます。トラブルを解決し、依頼者の方のホッとした姿を見ると、お手伝いできてよかったなと思います。

【弁護士法人ネクスパート法律事務所】
東京本店のほか、横浜、大宮、名古屋など9都県10カ所にオフィスを構える。依頼者一人一人のニーズに寄り添うことを掲げている。代表弁護士である寺垣さんと佐藤さんが2016年に設立した。相続に関する初回の相談は無料。

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