準確定申告をしないとどうなる? 申告が必要なケースとペナルティを解説
亡くなった人の生前の所得を申告することを「準確定申告」と言います。準確定申告は相続人が行うことになりますが、万が一申告をしないとどうなるのでしょうか。今回は、準確定申告が必要なケースと不必要なケースも含め、税理士が解説します。
亡くなった人の生前の所得を申告することを「準確定申告」と言います。準確定申告は相続人が行うことになりますが、万が一申告をしないとどうなるのでしょうか。今回は、準確定申告が必要なケースと不必要なケースも含め、税理士が解説します。
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大切な人が亡くなったとき、相続人は亡くなった人(以下「被相続人」という)の財産の整理から遺産分割の協議、そして相続税の申告手続きを行いますが、もうひとつ申告手続きで忘れてはならないのが準確定申告です。
準確定申告とは、年の中途で亡くなった場合の1月1日から亡くなった日までの被相続人の所得に対する確定申告や、確定申告書を提出すべき人が翌年の1月1日から確定申告期限(通常は3月15日)までに確定申告書を提出しないで亡くなった場合に、相続人が被相続人の代わりに行う確定申告の手続きのことをいいます。
以下に準確定申告の流れを説明します。
準確定申告は被相続人の相続人(相続を放棄した人を除き、包括受遺者(遺贈を受けた人)を含みます)が連署により提出します。ただし、各相続人が別々に準確定申告書を提出することもできます。
提出先は被相続人の住所地を管轄する税務署になります。なお、令和2年分以降はe-tax(国税電子申告)を利用して提出することができるようになりました。
準確定申告の提出期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内になります。なお、確定申告書を提出すべき人が翌年の1月1日から確定申告期限までに確定申告書を提出せずに亡くなった場合の提出期限は、通常の確定申告期限ではなく亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内になるので、注意が必要です。あわせて納付期限も提出期限と同日になります。
確定申告と準確定申告の提出書類はほぼ同じですが、異なる書類は以下の通りです。
各書類の見本のPDFファイルをリンクで貼っています。
相続人が2名以上いる場合、「死亡した者の令和○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表(兼相続人の代表者指定届出書)」を添付する必要があります。付表は各相続人の住所や氏名、マイナンバー、各人の税額、還付金の振込先となる銀行口座などを記入します。なお、e-taxにより準確定申告書を提出する場合は、相続人が1名でも付表の添付が必要になります。
相続人が2名以上いる場合、e-taxで準確定申告書の提出するときは、各相続人は代表相続人に準確定申告の提出を委託する旨を記入した確認書を提出します。
・委任状
相続人が2名以上いる場合において準確定申告に係る還付金を代表相続人が一括して受領する場合に記入します。なお、委任状はe-taxで提出ができないため書面で提出します。
準確定申告の納税または還付は、遺言や遺産分割協議書によって負担割合または受取割合が決まっている場合は、その割合によって納税額の負担または還付金を受け取ります。負担割合または受取割合が決まっていない場合は、法定相続分に応じて各相続人が納税額の負担または還付金を受け取ります。
準確定申告は必ず申告をしないといけないわけではありません。
準確定申告が必要なケースとして以下があげられます。
また、準確定申告が不要なケースには以下があげられます。
また、準確定申告は不要だけど、還付金を得られるため準確定申告をした方がよい場合があります。以下のケースです。
準確定申告を申告すべき相続人が準確定申告書を提出しなかった場合、以下のペナルティがあります。
無申告加算税とは準確定申告書を提出しなかった場合のペナルティになります。
延滞税とは準確定申告の納付期限が遅延した場合の延滞利息になります。
準確定申告の納税額または還付額は、相続税を申告する上で被相続人の債務または財産に含まれます。一方で無申告加算税や延滞税などのペナルティは被相続人の債務にならないので注意が必要です。
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相続の相談が出来る税理士を探すこのほか、準確定申告にはいくつかの注意点があります。
被相続人に事業所得や不動産所得があり消費税の納税義務者である場合は、消費税も準確定申告の手続きが必要になります。
相続により事業を引き継ぐ人は青色申告承認申請書の提出が必要になります。被相続人が亡くなった年から青色申告で確定申告を行う場合は、申請書の提出期限に注意が必要です。
被相続人が1月1日~8月31日に亡くなった場合→亡くなった日から4ヶ月以内
被相続人が9月1日~10月31日に亡くなった場合→その年の12月31日まで
被相続人が11月1日~12月31日に亡くなった場合→翌年2月15日まで
なお、事業を引き継ぐ人が被相続人の生前から事業や不動産賃貸などを白色申告で確定申告を行っている場合、当年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出することにより当年から青色申告により確定申告をすることができます。
準確定申告は被相続人が亡くなってから4ヶ月と短い期間で手続きをしなければなりません。また、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などは通常の確定申告と少し要件が異なるうえ、本来の確定申告の提出義務者である被相続人はすでに亡くなっているため、資料の準備が非常に煩雑になりがちです。
準確定申告書の提出が遅れるとペナルティも課せられます。被相続人が亡くなったら早めに相続に強い税理士に相談をすることで、スムーズに手続きを進めることができます。
(記事は2021年11月1日時点の情報に基づいています。)
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