目次

  1. 1. アパート経営を行う上での「必要経費」
  2. 2. 必要経費に計上できるものは?
    1. 2-1. 租税公課
    2. 2-2. 減価償却費
    3. 2-3. 修繕費
    4. 2-4. 損害保険料
    5. 2-5. 支払手数料
    6. 2-6. 広告宣伝費
    7. 2-7. 通信費
    8. 2-8. 旅費交通費
    9. 2-9. 支払利息
    10. 2-10. 備品(事務用)消耗品費
    11. 2-11. 接待交際費
    12. 2-12. 諸会費
  3. 3. 経費に計上できないものも・・・
    1. 3-1. 給与
    2. 3-2. 福利厚生費
    3. 3-3. 前払家賃等
    4. 3-4. 土地の購入代金
    5. 3-5. ローンの元本部分
    6. 3-6. 敷金・保証金の返還金
    7. 3-7. 下宿とアパート
    8. 3-8. 罰金等
    9. 3-9. 開業費
    10. 3-10. 家事関連費
  4. 4. 青色申告の特別控除
  5. 5. 注意点

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まずはこの必要経費ですが、不動産収入に直接関係あるもののみ差し引くことができます。
アパート経営に関係ないものは必要経費にならないことはご理解頂けると思います。本来のアパート経営に関係なくとも、それが経営上必要とされれば必要経費に認められるということです。よって、その範囲や解釈の仕方が重要となります。

例えば、アパートの階段や廊下などの照明だとすれば、各入居者から共益費として収入が発生することでしょう。それに対してアパート経営者は、光熱費という支払いが発生しますから、当然、この光熱費は必要経費とすることができます。これは収支が直接関係しているので分かりやすいですね。

では、接待交際費はどうでしょうか。友人との飲食は交際したものとはいえ、必要経費になりません。でも相手が不動産会社の方だったらどうなるでしょうか。これは内容によります。たとえ関係する不動産会社の方とはいえ、単に遊びの延長上なら必要経費になりません。しかし、物件に関する打合せを兼ねての飲食となると、これは原則、接待交際費として必要経費に認められます。ただし、程度の問題も残されます。本来アパート経営は、お客様が入居者側です。不動産会社の方ではありません。では、アパート経営をする方が入居者に対して接待などを行うでしょうか?極めて例外はあるのかもしれませんが普通は行いませんよね。

よって接待交際費がたくさん計上されることは不自然ですから、程度にもよりますが問題となるでしょう。でも、直接不動産収入に関係はなくとも、接待交際費の計上は有りうることです。それら必要経費は、収入に対して多く計上できればその分所得が減るので、基本的には出費が増えますが税金は減る計算になります。簡単に言うと、
年間の総不動産収入-必要経費=不動産所得
となるわけです。そこで、この必要経費を多く出せれば不動産所得が小さくなるので税金が安くできます。

では、肝心の必要経費にはどんなものがあるのでしょうか。
一般的なものをご紹介致します。

土地や建物を取得すれば不動産取得税がかかります。契約書などには印紙を貼付しますが、その印紙は印紙税といいます。そして、その不動産を維持するのに固定資産税がかかります。これらの税金を租税公課といい、必要経費にできます。この中には、所得税や住民税、法人税などは含まれません。

建物や建物に附属する設備、一体となる冷暖房設備や給排水設備などを買った時、1億円近い大きなお金を出費することもありますが、ただちに1億円の必要経費にはできません。その建物などに効果が及ぶ期間に応じて償却と言って少しづつ必要経費に算入します。これを減価償却費と言います。
この償却にはまず、定額法や定率法などという償却方法があり、建物については定額法を用いることが決まっています。また、税法上それぞれの建物など固定資産は耐用年数というものも決まっています。一般的な木造の住宅用のものでは22年です。これを例にすると、1億円を22年で割ると454万5454円となり、1年あたりの減価償却費を計算できます。特に、初年度は月割計算することになるので、半年分ならこの6ヶ月/12ヶ月(=1年)が参入できます。

建物や建物に附属する設備、一体となる冷暖房設備や給排水設備などを修繕することがあります。この場合は修繕費として必要経費にできます。ただし、金額が20万円未満であることや3年以内の周期的な修繕かどうか、その修繕において価値を高めるものでないか、修繕の金額が60万円未満でその固定資産の取得価格の10%以下の修繕かどうか、といったことに該当すれば、修繕費として認められます。しかし、それらが該当しない場合は、資本的支出といってその修繕費用を固定資産として減価償却の対象とすることとなっています。例えば、外壁塗装やリフォームなどの場合には要注意です。

火災保険料や自動車保険料などの損害保険料などを支払った場合。ただし、自宅を事務所として利用している場合など、自宅部分と一つになった契約では、自宅用に対する部分は必要経費にならないので按分計算が必要となります。

不動産会社などへの管理委託料や仲介手数料、振込手数料など

物件のチラシやウェブ広告など

郵便料金やインターネットプロバイダ料金、電話代など

物件管理にかかった電車賃、車で移動が必要だったなら、ガソリン代や高速代など

アパートローンなどのために銀行へ支払った利息などがあります。

消耗品など10万円未満のものを購入した場合なども計上もできます。

既に書いたことの繰り返しになりますが、本当にそれら物件などの収入に必要であれば認められます。不動産収入を得るのには通常、交際費として支出することが少ないと思われます。全く認められないわけではないのですが、多くの費用を支出すると否認されてしまうケースがあるので注意が必要です。支出の例としては、不動産関連会社や同業者の意見交換、打合せのためなどと考えるのが妥当だと思われます。

勉強会やセミナーへの参加、又は同業者団体の会費などです。この場合、飲み会や食事会などの会費は交際費の方なので間違えないようにしてください。

給与も本来は必要経費になりますが、自分自身の給与という概念はありません。法人としてアパート経営を行っていれば別ですが、個人事業者として自分に給与を支払うことはできません。
さらに、原則配偶者は年間86万円、それ以外の親族は年間50万円までのみ給与として必要経費にできますが、それ以上の給与を支払うことはできません。また、配偶者や親族に給与を出すと、それらの方々の分となる配偶者控除や扶養控除ができなくなりますので、その点も注意が必要となります。

親族以外の一般の方については、家賃の回収や清掃業務など行ったりするのに妥当な金額を給与として支払うことができます。
これらは白色申告のケースなのですが、青色申告については少し変わります。それは青色申告のところで申し上げます。

これも自分自身にはありません。しかし、従業員のために支払ったものであれば、必要経費になります。例えば社会保険料や従業員の慰安目的の飲食などがあたります。

借りた土地の上にアパート等を建てて行う場合などでは、家賃や地代を支払うケースがあると思いますが、その際の家賃や地代を1年以上の分を前払いした場合は、その年に相当する分のみ必要経費に算入し、それ以外の分に関しては、当該年が訪れた際に必要経費に算入することができます。

例えば、今年中に3年分まとめて地代を支払ったとしても、必要経費に算入できるのは今年の分だけで、それ以外は翌年以降にそれぞれ参入することになります。

ただし、翌年1年分に限って支払った時に必要経費に算入している場合、毎年継続して同様に支払っていれば、必要経費に算入できます。言い換えれば、本来家賃等は当年分を当年に支払うのが原則ですが、前家賃など翌年分を当年に支払うようなケースを継続していれば、必要経費に認められます。

土地は建物などと同様に大きな買い物になるので、減価償却費を計上したくなりますが、それはできません。土地は劣化せず、減価償却しない考え方です。よって、必要経費には参入できないことになります。処理としては、買った時の価格(取得価格)を資産として計上し、遠い将来、この土地を売却するまでこの価格は維持されることになります。また、借地権など土地の上に存する権利についても同様の考え方になります。

アパートローンなどを組んで土地・建物を取得するケースはよくあると思いますが、その際に支払うローンの元本部分は必要経費にはなりません。逆に先に述べたように、利息部分は必要経費になります。元本部分が必要経費にならない理由は、その元本部分こそが、購入した土地・建物の対価であるので、元本は資産として土地や建物などに置き換わっているからです。そして土地以外のものは、経過的に減価償却費として期間に応じて必要経費になっています。よってローンの元本部分が必要経費になると二重計上になってしまうからです。

入居者が退去する際に支払う敷金や保証金の返還金については必要経費にはなりません。そもそも入居した際に預り金として預かったものなので、それを返済しただけととらえます。 その金額がどんな額でも必要経費にはなりません。ただし、その建物等の譲渡に伴うものを除き、立退料を支払ったり退去してもらうのに改めて、こちら側で負担した費用は必要経費にすることができます。

入居者から毎月家賃を貰っていたとしても、下宿等の場合(食事を出すなどの場合)は不動産所得に該当しないので、必要経費が発生したとしてもアパート経営としての必要経費に算入できません。

主に何らかの罰金や交通反則金、延滞税や加算税など、罰則的な要素のあるものは、必要経費にできません。

これらのアパート経営の当初の準備期間のほか、経営を始めるまでに要した費用などは、全て開業費としてまとめておきます。そして実際に開業してからその後の5年間において償却することとなっています。よって最終的には必要経費なるのですが、当初の段階ではまとめて資産として仮に計上し、その後に償却という手続きを踏みます。

事務所がない場合など、自宅を事務所と兼ねているような場合はどうでしょうか。この場合、例えば水道光熱費や通信費、家賃、マイカーローンやガソリン代などが該当することが考えられ、これらを家事関連費と言います。この場合原則は認められません。

ただし、業務としての使用が明確に区分できる場合は必要経費に算入できます。例えば、同じ建物でも、1階が店舗で2階が自宅の場合、床面積を使って按分したり、マイカーなど自動車の使用の場合、明らかに営業に使用していた日の時間数とプライベートの休日を使って按分したりといった形です。逆に明確に区分できない場合は原則通り必要経費にはできません。

これら必要経費を差し引いたことで不動産所得を出すわけですが、その際、青色申告を行っている方は、その不動産所得から最大で65万円の青色申告特別控除を差し引くことができます。
条件としては・・・

  • 正規の簿記の原則に従って会計帳簿を作成していること
  • 申告に際して貸借対照表と損益計算書を添付すること。期限内申告を行うこと
  • 事業的規模(5棟以上又は10室以上を管理)があること
  • e-tax又は電子帳簿の保存のいずれかを行うこと

となります。
最後のe-taxや電子帳簿の保存ができない場合は、55万円の控除額となり、これら全てがキチンとできていない場合は10万円の控除額となります。

また、必要経費には青色専従者給与として生計を一にする配偶者や親族に対して原則全額を給与として支払えます。その際はその者の分としての配偶者控除や扶養控除が利用できなくなります。

これら必要経費については個人の不動産所得という観点でありますが、もしも法人にすることができたならどうでしょうか。

例えば、家賃については、家事関連費として按分しますが、住居部分を社宅とすることがおおむね50%以内で認められたり、本人が社長になれば、給与や退職金も出せたり、自動車も全額必要経費になります。さらには、生命保険を使うこともできるようになりメリットは増えます。デメリットとしては、法人の設立費用がかかることや、株式会社であれば、株主を含む役員などへの配慮など運営の手間などがかかることです。さらには、赤字になっても住民税の均等割の支払いが生じ、一般的には7万円は最低でも毎年必要です。

繰り返しになりますが、家事関連費については特に注意が必要です。按分をして明確に区分ができないと算入できません。租税公課では、所得税や住民税、法人税は必要経費になりません。罰金や自動車などの交通反則金。それと、アパートローンなどの利息については、この不動産所得が赤字になった場合、土地等に相当する部分の利息は必要経費には参入できなくなります。それからローンについて元本部分は必要経費になりません。また、当然ですが私生活の上での領収書が混入しても必要経費には認められません。

最後に注意点をお伝えします。
原則では必要経費には領収書がないといけません。ただし、鉄道、バスなどへの乗車については支払証明書を自分で作成することでも認められます。少額のものであれば同様にメモを作成しておくことで認められるケースもあるので、領収書がないことでがっかりするには早いと思います。
それから、交際費の領収書については、その領収書に誰と、何のために利用したのかを書き込んでおくと否認を回避されやすくなります。

これらは必ず2月16日から3月15日までに申告納付を完了することが前提です。赤字などで還付になることが明らかな場合は、1月1日から既に申告は可能です。早く申告をした方が早く還付されることが多いようなので正しく納税をして下さい。

万が一、期限内に申告が遅れても、必ず確定申告は行ってください。遅れると青色申告の特典がなくなってしまうことがあります。また、延滞税や加算税が課されることもありますし、事実を隠蔽したり仮装したりした場合は重加算税を課される場合もあります。

もしも期限内に申告ができそうもない場合は、ある程度作成した状態でまずは期限内申告をしましょう。そうすることで青色申告の特典がなくなる恐れは回避できます。また、税金が不足している場合、早めに修正申告をすれば問題はありません。税務署に指摘された後では、無申告加算税や過少申告加算税などを請求されてしまう恐れもあるので、早めの対応が必要です。
もしも申告などに不安がある時は早めに所轄の税務署へ相談してください。もしも顧問税理士がいるのであれば税理士を優先してください。いいアドバイスをしてくれると思います。
(記事は2021年3月1日時点の情報に基づいています)

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