目次

  1. 1. 確定測量とは
  2. 2. 不動産売却で確定測量図が必要なケースと不要なケース
  3. 3. 確定測量図と地積測量図との違い
  4. 4. 確定測量図の費用
  5. 5. 確定測量図の作成期間
  6. 6. 越境があった場合の対応
  7. 7. まとめ

確定測量とは、全ての隣接地との境界について隣接所有者との立ち会いをもとに境界確認を行う測量のことを指します。

確定測量により作成される実測図のことを「確定測量図」または「確定実測図」等と呼びます。測量図面の名称の中に、「確定」の2文字が入っている図面は確定測量図です。土地の境界には、隣地との境界である民々境界と道路との境界である官民境界の2種類があります。

確定測量図は全ての境界が確定している図面であるため、民々境界も官民境界も確定している図面です。確定測量図があるということは、全ての境界が確定済みであり、境界に関する争いがないことを意味します。そのため、確定測量図は単に測量した実測図とは意味合いが異なります。

不動産の買い主にとって、境界に争いがないことは重要なポイントですので不動産の売買では買主が確定測量図を売り主から引き渡すことを条件としていることが多いです。

不動産の売り主には境界の明示義務があります。境界の明示とは、「境界はここです」と指し示すことです。境界を明示するには、境界が確定していることが原則であることから、宅地の取引では確定測量図に基づいて境界を明示することが一般的となります。

ただし、売り主に境界の明示義務はありますが、確定義務までは求められていないという点がポイントとなります。例えば、境界が確定していなくても、売主が「ここが境界」と認識している境界を指し示せば明示することはできます。そのため、境界確定は必ずしも義務ではなく、買い主との合意があれば確定測量図がなくても取引することはできるのです。

しかしながら、一般的には境界が確定していない物件を好んで購入する買い主は少ないため、宅地の取引では、原則として確定測量図が必要となります。

確定測量図が必要なケースと不要なケースを例示すると、以下の通りです。

宅地(土地)や戸建ての売買においては、原則として確定測量図が必要です。ただし、宅地や戸建ての売買で買い主が確定測量図のないことを合意しているケースでは不要となります。

例えば、官民査定(官民境界の確定のこと)が引き渡しまでに間に合わず、買い主が了承した場合は確定測量図に替えて「官民査定を省略した現況測量図」で取引を実行することもあります。現況測量図とは、隣地所有者との境界確認を行わずに売り主が認識している境界に基づいて行った実測図のことです。また、マンションの売買では、マンションディベロッパーが分譲前に全体敷地の境界を確定していることが一般的ですので、マンションの売却では確定測量は不要となります。

さらに、公簿売買で不動産を取引するときも確定測量図は不要です。

公簿売買とは登記簿面積を売買面積の対象とする売却方法となります。公簿売買は、農地や山林、原野等の面積が広大な割に単価が低く、測量費用が過大となるような取引で採用されることが多いです。

確定測量図は、ディベロッパーによって分譲された土地や、建売住宅の場合、購入時に売主から引き渡されていることが一般的となっています。既に確定測量図が手元にある人は、売却のために新たに確定測量を行う必要はありません。確定測量は、例えば相続で引き継いだ古くから持っている土地等、一度も確定測量を行っていない土地を売るときに必要となることが一般的です。

確定測量図と地積測量図との違いをまとめると下表の通りです。

地積測量図との最大の違いは、確定測量図は境界の確定が担保されているのに対し、地積測量図は境界の確定が担保されていないという点です。特に2005(平成17)年3月における不動産登記法の改正より前に作成された地積測量図は、確定測量を前提としていない測量図であることから、地積測量図があっても境界が確定していないケースが存在します。

また、地積測量図は不動産登記法の改正の変遷や測量技術の進歩等から、作製の年代によって境界の担保力に優劣があることが特徴です。そのため、不動産の取引では地積測量図を用いるのではなく、境界の確定が確実に担保されている確定測量図を買い主へ引き渡すことが一般的となっています。

その他として、地積測量図は法務局に行けば誰でも取得できる図面である点も特徴です。取得費用は、法務局で請求した場合には1筆(土地の単位のこと)あたり450円となります。ただし、地積測量図は必ずしも全ての土地にあるわけではなく、「ない土地」も多く存在します。

確定測量図の費用は、一般的な戸建ての敷地程度の広さの土地だと、50万円~100万円程度かかります。費用は、隣地所有者と道路の反対側の地権者の数が多いほど高くなります。
以下の例では、境界確定を行うには所有者A~Gの7人の合意を得ることが必要です。

官民境界を確定するには道路の反対側の地権者の合意も得る必要があります。上図でいうと、所有者ABCは、対象地の前面に被っている地権者となるため、官民境界を確定するには所有者ABCの合意が必要です。

確定測量図の作成期間は、境界の確定状況や関係する地権者の数にもよります。

例えば、すでに官民査定が終了しており、特に境界の争いもなく、かつ、残り1人の地権者と民々境界を結ぶだけといったケースの場合、1カ月もあれば完了することができます。一方で、地権者も多く、官民査定も終了していない場合、半年以上かかることも多いです。特に、時間がかかるのが官民査定になります。官民査定が完了していない場合には、早めに確定測量を行うことをおすすめします。

境界が確定することで、その後に越境の問題が生じることがあります。境界確定前は、境界があやふやだったことで越境が問題にならなかった物件も、境界が明確になったことで越境が明らかになってしまったというようなケースです。

越境が明確になった場合は、通常は隣地所有者との間で「越境の覚書」を締結します。越境の覚書とは、隣地所有者との間で「越境物の所有権」や「是正方法」等について取り決めた書面のことです。

通常は、確定測量図を作成する際、双方で境界ラインを定めたことを確認する「筆界確認書」と呼ばれる書面を隣地所有者との間で締結します。同時に、越境がある場合には「筆界確認書」の締結とともに「越境の覚書」も締結するのが一般的です。「筆界確認書」も「越境の覚書」も実印で締結することが通常であり、それぞれ買い主へ引き渡す重要な書類となります。

以上、確定測量について解説してきました。確定測量図とは、民々境界と官民境界の全てが確定したときに発行される測量図のことです。不動産売却では、買主が確定測量を条件とする実測売買において必要です。公簿売買やマンションの売却では確定測量図は不要となります。

地積測量図は法務局で取得できる実測図であり、境界が確定している図面とは限りません。
確定測量図の費用は50万円~100万円程度、期間は場合によっては半年以上かかることもあります。

これから不動産を売却する方で、確定測量図がない場合には、確定測量の準備をすることから始めましょう。

(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています)

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