境界不明や違法建築……相続した不動産が「訳あり」で売却や活用できない場合とは
相続した実家などの不動産を、いざ活用したり売却したりしようとしたところ、その不動産に思わぬ問題やトラブルがあることが発覚し、身動きができなくなったという話をよく見聞きします。いったいどのような問題あるのでしょうか。住宅メーカーに勤めた後、現在はファイナンシャル・プランナーとして活動する橋本秋人氏が、シリーズとして解説します。
相続した実家などの不動産を、いざ活用したり売却したりしようとしたところ、その不動産に思わぬ問題やトラブルがあることが発覚し、身動きができなくなったという話をよく見聞きします。いったいどのような問題あるのでしょうか。住宅メーカーに勤めた後、現在はファイナンシャル・プランナーとして活動する橋本秋人氏が、シリーズとして解説します。
目次
今回は、まず「問題不動産」とはどのようなものかを総論として解説し、相続した不動産が抱えているかも知れない5つの問題をご紹介します。
たとえば、相続した実家をアパートに建替えようとして建築会社に相談したところ、「敷地が道路に2m以上接していないので建替えができません」と言われてしまった、というケースがあります。
このケースでは、土地が接道義務を満たしていないことが問題です。
建築基準法では、幅4m以上の認定道路に2m以上接していない土地に建物を建築してはいけません。これを『接道義務』と言います。
住宅地などでは、路地状の宅地をよく見かけますが、通路部分の幅が2m未満の場合、その土地は接道義務を満たしていないため、建物を建替えることができません。建替えができない土地を好き好んで買う人はいませんので、結局その不動産は、相続をしたのに建替えも売却もできない「問題のある不動産」だったということになります。
前述の接道義務違反は、法律上の問題ですが、法的な問題がなくても活用や売却に際して大きなネックとなるケースもあります。
たとえば、敷地境界がはっきりしない土地です。境界が分からなくてもその土地に建っている実家に住むことはできますが、いざ実家を売却しようとするときには問題になります。不動産を購入する人は、契約前に敷地の境界をきちんと確認してから購入しますが、境界杭がない場合、どこまでが敷地の範囲かが分かりません。このような不動産を買おうという人もまずいないでしょう。
代表的な不動産の問題としては、次の5つがあげられます。
道路には、国や自治体が所有している公道と、個人が単独で所有または複数で共有している私道があります。私道の場合、さまざまな問題を抱えている場合があるため、注意が必要です。
敷地が接道義務を満たしているかいないかで、不動産の利用価値や財産価値が大きく変わります。
たとえば、父から相続した実家の名義が祖父のままになっている場合、そのままでは売却することも、土地を担保にお金を借りることもできません。祖父名義の不動産を相続人に移すためには、祖父→父→子(相続人)の順番に相続登記をしなければいけませんが、なかなか容易には行えない場合もあります。
相続した実家について、新築時からすでに違反建築というケースもありますが、新築時には適法だった建物でも、その後増築したことにより建ぺい率や容積率をオーバーしてしまい、結果的に違反建築の状態になってしまったというケースもあります。違反建築の場合も活用や売却する際にネックになる可能性があります。
実家を売却しようとしたときに、敷地の境界が明確でない場合や境界トラブルがある場合、売却などができなくなります。
以上のような5つの問題を、今回のシリーズでは取り上げます。これら「問題不動産」を持っている場合、大切なのは早期に何が問題なのかを理解して、解決するのためのスタートをきることです。不動産の問題は複雑で専門的になることも多いため、必要に応じて弁護士・税理士など専門家のサポートを受けながら、解決を図ることをおすすめします。
前回は、「相続した実家を駐車場にするメリットデメリットとは」について書きました。「相続会議」では、引き続き相続と不動産土地活用について記事を執筆していきたいと思います。
(記事は2020年7月1日時点の情報に基づいています)
クランピーリアルエステートは、底地や共有持分、再建築不可物件といった、いわゆる訳あり物件を専門的に取り扱う不動産企業。これまでに培ったノウハウと、不動産専門の弁護士や税理士などの全国ネットワークを活かし、問題を解決します。
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