目次

  1. 1. 戸建て住宅売却の流れ
    1. 1-1. ライフプランの作成からスタート
    2. 1-2. 売却後は確定申告も
  2. 2. 査定の流れを解説
  3. 3. 売却に掛かる費用・税金
  4. 4. マンション売却の注意点
  5. 5. 売却に向けたアドバイス

人生100年時代と言っても、葛飾北斎のように90年の生涯で引っ越しを何十回も繰り返す人は稀です。同じように、自宅の売り買いを繰り返す人も多くないと思います。たくさん経験して上手くなることは期待できません。土地建物の不動産は価格も高額になるので、失敗をすると人生を台無しにする可能性もあります。このため、慎重に進める必要があります。無理せず、信用の置ける人にサポートをしてもらうことも必要でしょう。そうは言っても、自分自身の身は自分で守るのが原則。その点から、売却の流れ踏まえ4つのポイントを以下のようにまとめました。

  • 売り出す条件を決める
  • 仲介業者の選定
  • 売買契約を適法に交わす
  • トラブル無く取引を終わらせる

売り出しの条件を決める際には、ライフプランを作成し、売却の是非や条件について検討・判断基準を決めます。タイミングが適切なのか、金額が妥当なのか、を自分自身で認識するためです。その後、複数の不動産会社に相談・査定を依頼し、売り出し価格など現実的な条件を決めることになります。この時点で、最初に考えた条件と価格などに、ずれが生じていた場合、売却するかどうかをあらためて検討します。

進めると決めた際には、以下のような必要書類を準備しましょう。実際に手続きする時「取得後、3カ月以内」などの条件を満たす必要がありますが、中には、取得に時間がかかるものもあるので、早めに申請できるよう準備をしておきましょう。

  • 売主本人の確認書類(身分証明書、実印、印鑑証明書、住民票等)
  • 所有者であることの証明(登記済権利書または登記識別情報)
  • 評価の証明(固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書)
  • 土地の確定証明(土地測量図・境界確認書)
  • 適法建物である証明(建築確認済証および検査済証、建築設計図書等)
  • その他法令やトラブル防止のための書類(耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等)

次に、仲介業者を決め、契約を交わします。この際の契約は、3種類あります。専任媒介契約、一般媒介契約、専属専任媒介契約です。一般的には、仲介業者を1社に絞る専任媒介契約が主流です。契約を交わした後、業者は広告などを使って、広報活動を行い、もしも、関心を持った人がいれば、物件の見学に来てくれます。
そして、いよいよ売買契約です。通常、売り主と買い主の間で条件交渉を進め、売買契約を結びます。契約が成立した後は、測量や登記の準備など必要な手続きを行い、期日に代金を決済し、物件を引き渡します。土地売却の場合、私道や境界確定がネックになることが多いので注意しましょう。これで終わりではなく、売却した翌年には税務署に確定申告を済ませないといけません。(不要な場合もあります)。ここまでの手続きに要する時間は、売り手と買い手の事情によって変わります。買い手が確定すれば、契約から決済まで1カ月前後で終了するのが一般的です。

査定でのポイントは、やはり信頼のおける仲介業者と、その担当者を選べるかどうか、という点です。実際のところ、同じ会社でも担当者によって、能力や対応が大きく変わります。ただ、なかなか最初から担当者を指名はできないでしょう。そういう意味では、取引の成否は、複数の不動産会社に査定を依頼して相見積もりをチェックし、契約を結ぶまでが一つの重要な流れになります。
業者と一口に言っても、①ネットワークが強みの大手仲介会社、②エリアに精通している地元密着型、③よりお客さまサイドで行動できるコンサルタント型――の3つに分類できます。対応や営業手法も異なりますし、保有する情報やノウハウ、相性の良し悪しも変わってくるはずです。
物件を複数の業者に一括して査定できるサイトもあります。たくさんの業者に査定を出せるのは選択肢が広がる利点があります。ただ、自分の情報がそれだけ拡散することにも繋がります。秘密裏に売却の話を進めたい場合は不向きです。
査定の方法には、三つの鑑定評価基準があります。

  • 隣近所の相場から考える「取引事例比較法」
  • 建築費などコスト面から考える「原価法」
  • 貸した際の儲けから考える「収益還元法」

これらの組み合わせ次第で、価格に差が生じることがあります。実際の取引事例で比べ、極端に高い値段も安い値段も出ないのが一般的です。一番査定額が高い業者が良い業者とは限りません。業者によっては、実際に売れる価格よりも高く査定価格を提示する「高預かり」もあります。その結果、査定価格が高くても、売る際には大きく価格が下がる可能性もあるので、注意してください。

不動産を売却する際には、支出も伴います。戸建て住宅の売却では、不動産会社への仲介手数料、契約書に貼る印紙税、登記費用、解体費や廃棄物処分費に加え、引っ越し代もあります。また、税金として、所得税・住民税が掛かります。所得税は儲け(収入-必要経費)に課税されます。
住宅を売った場合、購入価格と売却時に要した費用を売却価格から差し引いた金額が儲けにあたります。ただ、自宅を売った場合は特別控除を活用できるので、純粋な儲けよりは納める税金額が低くなります。また、不動産の所有期間5年を基準にして、適用される税率が変わってきます。

税率(復興特別所得税除く)は短期譲渡所得で39%、長期譲渡所得20%です。仮に、購入価格が1000万円、売却時の費用が300万円の10年超(長期)保有の自宅があるとします。この物件を3000万円で売却した場合、儲け(所得)は1700万円になります。この20%にあたる340万円が納税額になります。自宅を売却した場合には居住用の3000万円控除があるので、儲け(所得)が大きくなった場合は活用できます。実は、このケースでは確定申告は必要ですが、納税額はゼロになります。ただし、税制度は複雑なので、正確に計算するには税理士など専門家に相談しましょう。

なお、空き家になっている実家を売却する場合も、一定の条件を満たせば3000万円の特別控除が使えます。また、相続税を納税するに当たり、相続された物件を売却した場合、この譲渡所得を計算する際に特例があります。相続時に計画的に実家を売却する場合、そのような特例の条件に合致するよう、あらかじめ、相続時の準備をしておくと良いでしょう。

マンションの売却は、自分の部屋内である「専有部分」と居住者全員で利用する建物内の「共用部分」、そしてマンションの敷地を利用するための「敷地利用権」のセット販売になります。「共用部分」と「敷地利用権」には、各部屋内の持ち主である区分所有者、つまり他の住民との共有状態になっています。
もちろん、他の住民の反対で自宅を売却できなくなることはありません。ただ、一戸建て住宅であれば、土地も建物も全部自分たちのモノで、購入後の管理も全て自分自身で行えます。ただ、マンションの場合は異なります。「共用部分」と「敷地利用権」の管理には、管理組合で行われ、多数決で決めることになっています。他の区分所有者の方の事情などが問題で、修繕などの問題が先に進まないことも考えられます。そのような問題のあるマンションを売却する場合、なかなか進められない状態に陥ります。

マンションの場合、一般的に戸建てよりも価格が安く利便性が高いうえ、購入希望者が多く売りやすいと言われています。ただ、最近の中古住宅市場ではマンションの価格が戸建て住宅の価格を逆転するケースもありますから、一概に言えません。今後もどうかと言うと、個人的には弱含みだと考えています。主な理由は、人口減少と高齢化が同時進行しているからです。
人口減少により、購買層である生産年齢人口(15~64歳)の数も割合も減少していく予定です。逆に売却を検討したり実行したりする高齢者層(65歳以上)の数や割合は増加します。外国人など海外からの居住者が増えない限り、購買層が増える事は考えられません。
不動産の価格は需給関係より決まりますから、エリアによっては全く価格が付かない物件の数も、より増えるでしょう。

いろいろな人から相談を受け、売却を検討する上で最も大事だと感じるのは「本当に売却して良いのか?」という点をよく考えることです。お客様の話に耳を傾けていると、損得勘定だけでは決断せず、物事の良し悪しなど、感情的なハードルも多くあるように感じます。

また、同じ物件でも時間が経てば評価も変わるので、売却のタイミングも大事です。自分自身の時間軸だけでなく、利便性や世の中の景気の良し悪し、空き家や空き地の有無などエリアの状況も視野に入れる必要があります。今後、災害対策の視点も今後、評価の参考になると思います。

(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)

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