1.賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、自宅とアパートを併用した建物になります。正確な定義はありませんが、一般的には自宅部分を50%、アパート部分を50%の面積で建てる物件を賃貸併用住宅と呼ぶことが多いようです。広義には、マンションの一室を自宅にするような物件(マンションタイプと呼ぶ)も賃貸併用住宅と呼ぶことがあります。

自宅部分を50%以上とする賃貸併用住宅は、住宅ローンによって建てることができる点がメリットです。

自宅の割合は法律で決まっているわけではなく、多くの銀行が住宅ローンで融資する際の要件を自宅部分が50%以上としていることから、自宅部分が50%以上の物件が一般的に賃貸併用住宅とされています。

一般的なマンションタイプとする場合、建築費の融資はアパートローンとなります。アパートローンは住宅ローンに比べると、金利が高く、融資期間も短いことが一般的です。住宅ローンの方がアパートローンよりも融資条件が有利なことから、住宅ローンで建てられる賃貸併用住宅には経済的な優位性があります。

賃貸併用住宅は、アパート部分の家賃収入によって自宅部分の住宅ローンの返済を軽くすることができます。また、アパート部分は自宅部分よりも相続税評価額が低くなるため、全て自宅とするよりも相続税の節税効果は高いと言えます。

2.賃貸併用住宅の落とし穴

この章では、自宅が50%以上となる賃貸併用住宅の落とし穴について解説します。

2-1.設計上の制約が大きい

賃貸併用住宅は、設計上の制約が大きいというのがデメリットとなります。

自宅部分を50%以上とすることから、「縦配列」または「横配列」で自宅とアパート部分を分けることが一般的です。

いずれの場合であっても、アパート部分を大きくしようとすると自宅まで大きくなってしまい、逆に自宅部分を狭くしようとするとアパート部分まで狭くなってしまうというジレンマを抱えます。特に広過ぎる自宅は掃除が大変で住みにくいと感じている人には、悩ましいです。賃貸併用住宅は自宅の住み心地とアパート部分の収益性が連動してしまっており、一方を優先すると他方が犠牲になるというデメリットがあります。

2-2.サブリースが前提となることが多い

賃貸併用住宅は、融資の条件としてサブリースが前提となることが多いという点が落とし穴です。ここでいうサブリースとは、家賃保証型のサブリースのことを指します。

家賃保証型サブリースは、サブリース会社がアパート部分全体を借り上げ、各入居者とはサブリース会社が転貸する形式の管理方式のことです。アパートに空室が発生してもサブリース会社から所有者に支払われる賃料は固定であるため、安定した収益を得ることができるというメリットがあります。サブリースであれば、毎月固定の賃料が入ってくるため、銀行も安心して融資をしてくれます。

ただし、サブリースは、自主管理に比べると、収益性が低いというデメリットがあります。自主管理とは、管理会社を利用せず自分で管理を行う管理方式のことです。賃貸併用住宅ではアパート部分が自宅のすぐ隣にあり、トラブルにもすぐに対応できることから、自主管理がしやすい物件といえます。

自主管理でアパート部分の収益性を高めようとしても、銀行の融資条件がサブリースを条件としており、自主管理を選択できないこともあるのです。管理方式を自由に選択できないこともあるため、銀行には事前に融資条件を確認することがポイントとなります。

2-3.住宅ローン控除が利用できるのは自宅部分のみ

住宅ローン控除が利用できるのは自宅部分のみという点も賃貸併用住宅の落とし穴となります。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで自宅を購入すると所得税が節税できる制度です。賃貸併用住宅は、一般住宅よりも建物規模が大きくなるため、借りる住宅ローンの額も大きくなります。住宅ローン控除の仕組みとしては、年末の借入金残高が大きいと節税できる金額も増えます。よって、住宅ローンの金額が大きい賃貸併用住宅では、節税額も大きくなることを期待する人は多いようです。

しかしながら、住宅ローン控除を利用できるのは、自宅部分のみであり、借入金残高は自宅とアパートの面積案分で割り振った額のみが適用対象となります。

例えば、年末の借入金残高が全体で4,000万円あったとしても、自宅部分の面積が50%であれば住宅ローン控除の対象となる借入金残高は2,000万円になるということです。借入金の額のわりに住宅ローン控除による節税効果が低いのは、賃貸併用住宅の落とし穴となっています。

2-4.売却や相続がしにくい

将来的に売却や相続がしにくいという点も賃貸併用住宅の落とし穴です。

賃貸併用住宅は、売買市場に出されるとかなり特殊な部類の物件となります。アパートを購入したい投資家にとっては収益を生まない自宅部分が邪魔ですし、広い自宅を持ちたい人にとってはアパート部分が邪魔です。賃貸併用住宅は、アパートとしても自宅としても「どっちつかず」の面があります。

売買市場で賃貸併用住宅を購入する人は、売り主と同じく賃貸併用住宅を所有したいと思う人です。賃貸併用住宅を購入する人は、「アパートだけ欲しい」または「自宅だけ欲しい」という人よりも数としては少なく、買い主を見つけることが難しくなります。

また、子どもが既に自宅を持っているケースでは、賃貸併用住宅は相続しにくくなります。
アパートだけなら欲しいと思っても、自宅部分は不要とに感じる子どもが多いからです。

賃貸併用住宅の自宅部分は賃貸物件としては面積が広いため、貸そうと思っても賃料総額が高くなってしまい、簡単に借り主は見つからないのです。

このように賃貸併用住宅は、中途半端な不動産と映ってしまうため、一般的な不動産と比べると売却や相続はしにくくなる傾向があります。

3.賃貸併用住宅で後悔しないための間取り

賃貸併用住宅で後悔しないための間取りとするには、思い切って「住宅ローンを利用しないマンションタイプ」も検討することが必要です。

マンションタイプにしてしまえば、設計の自由度は一気に上がり、収益性も向上させることができます。マンションタイプでも、「自宅部分だけ」を対象に住宅ローンを貸してくれる銀行もあります。自宅部分だけを区分登記(マンションの一室のような登記のこと)することで、自宅部分だけの住宅ローン控除を利用することも可能です。ほぼマンションあるいはアパートに近い建物とすれば一般的な賃貸物件と変わらないため、将来的に売却や相続もしやすくなります。

賃貸併用住宅は住宅ローンに固執さえしなければ、色々なデメリットを解消することができるのです。

相続会議の土地活用のプラン一括請求サービスを使うと、複数のハウスメーカーから無料で賃貸併用住宅のプラン提案を受けることができます。

自宅を50%以上とするタイプだけでなく、並行してマンションタイプも検討し、収益性や子供たちの意見も聞きながらベストな賃貸併用住宅を選ぶようにしましょう。

まとめ

以上、賃貸併用住宅について解説してきました。賃貸併用住宅には、「設計上の制約が大きい」、「空室時の影響が大きい」といった落とし穴があります。賃貸併用住宅で後悔しないためには、思い切って住宅ローンを利用しない検討も必要です。相続会議のプラン一括請求サービスを使って、色々なパターンを検証していただければと思います。

(記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています)