1.店舗兼住宅の間取り

店舗兼住宅の間取りのポイントとしては、以下の点が挙げられます。

【店舗兼住宅の間取りのポイント】

  • 店舗は1階に配置する
  • 来客用の駐車場も検討しておく
  • 住宅と店舗の入口を分ける
  • 1階の天井高は高くする(店舗を広く見せるため)
  • 入口はバリアフリーにする

店舗兼住宅は、店舗を来客しやすい1階に配置することが基本です。
来客用の駐車場や、住宅と店舗の入口を分けること等、後から変更しにくい部分に関しては、入念に計画して決めることがポイントとなります。

2.店舗兼住宅の固定資産税

店舗兼住宅に関わらず、不動産を所有すると固定資産税が発生します。
店舗兼住宅の場合、一般の住宅よりも固定資産税が割高となる可能性があることは知っておくべきポイントです。

2-1.建物の固定資産税

建物の用途が住宅だけの場合、建物の固定資産税は新築から3年間(3階建以上の中高層耐火住宅等は5年間)は半額(2分の1)となります。

ただし、店舗兼住宅の場合は、固定資産税が半額となるのは自宅部分の床面積の割合が2分の1以上の物件に限られます。

自宅部分の面積が2分の1未満となっている店舗兼住宅は、新築当初の軽減措置を受けられないため、通常の住宅よりも当初の固定資産税が高いです。

2-2.土地の固定資産税

土地の上に「住宅」の用途の建物を建てると、住宅用地の軽減措置が適用され、土地の固定資産税が安くなります。

店舗兼住宅の場合にも住宅用地の軽減措置は適用されますが、自宅部分の床面積によって土地が住宅用地とみなされる割合が異なってくる点がポイントです。

店舗兼住宅では、土地の面積に下表の率を乗じて得た面積が住宅用地としてみなされます。
ただし、住宅用地の面積がその上に存在する家屋の床面積の10倍を超えているときは、床面積の10倍の面積に下表の率を乗じた面積が住宅用地の上限です。

※1:自宅部分の割合=居住部分の床面積/家屋の総床面積(率は市町村によって異なる場合があります)
※1:自宅部分の割合=居住部分の床面積/家屋の総床面積(率は市町村によって異なる場合があります)

例えば、木造2階建ての店舗兼住宅の場合、自宅部分の面積が1/2以上であればその土地は全て住宅用地とみなされます。

一方で、自宅部分の面積が1/4以上1/2未満の場合、その土地の50%しか住宅用地の軽減措置が適用されません。
住宅用地の軽減措置が適用されない残りの50%の土地の固定資産税は高くなります。

住宅用地とみなされた部分は、固定資産税の計算の元となる課税標準額が以下のようなルールで計算されます。

※東京23区の小規模住宅用地における都市計画税では、さらに2分の1が乗じられます。
※東京23区の小規模住宅用地における都市計画税では、さらに2分の1が乗じられます。

価格とは土地の固定資産税評価額のことです。
例えば、敷地の面積が200平米で、その土地が100%住宅用地としてみなされると、固定資産税の課税標準額が固定資産税評価額の6分の1となり、固定資産税が大きく減額されます。

このように、一般の住宅には建物も土地も固定資産税の軽減措置があります。
店舗兼住宅でも、自宅部分の面積が1/2以上であれば一般の住宅と同じ固定資産税の軽減を受けることが可能です。

店舗兼住宅で固定資産税を安くしたいのであれば、設計の段階で自宅部分の面積を1/2以上にすることを希望することがポイントとなります。

2-3.償却資産税

事業用の不動産を持っている場合には、償却資産に対し「償却資産税」も課されます。
償却資産とは、その事業のように供することができる機械、器具、備品等の有形固定資産のことです。

償却資産には、以下のようなものが該当します。

【償却資産の例】

  • 門、塀、広告塔などの構築物
  • 機械および装置
  • 車両および運搬具(自動車税等が課税されるものは除く)
  • 机、椅子、室内装飾品、陳列ケース、電気・ガス機器、医療機器、暖房用品等の器具、備品、工具

店舗兼併用住宅の中には自然と償却資産が含まれるため、一般の住宅よりも償却資産税の分だけ固定資産税は割高となります。

3.店舗兼住宅における住宅ローン

この章では店舗兼住宅における住宅ローンについて解説します。

3-1.住宅ローンで建てられる要件

店舗兼住宅を住宅ローンで貸し出す銀行は基本的に少ないです。
ただし、一部の銀行の中には店舗兼住宅を住宅ローンで取り扱っている銀行もあります。

住宅ローンとして融資を受けられる要件は銀行によって異なりますが、一般的には以下の用は要件を設定している金融機関が多いようです。

  • 店舗(事務所)部分を除く居住部分の床面積が、建物全体の床面積の2分の1以上あること
  • 店舗(事務所)部分が自己の使用であること

住宅ローンを利用すれば、最長35年の融資を受けることが可能です。
融資期間が長いと、毎月の返済額を少なくすることができるというメリットがあります。

3-2.住宅ローン控除が適用できる要件

店舗兼住宅でも、一定の要件を満たすと住宅ローン控除を利用することができます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで自宅を購入すると買主が所得税等を節税できる制度のことです。

店舗兼住宅で住宅ローン控除を受けるための要件は、以下の点になります。

【店舗兼住宅で住宅ローン控除を受けるための要件】

  • 床面積の2分の1以上が自宅であること。
  • 住宅を新築、または新築住宅を取得し、2009年1月1日から2025年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。
  • 工事完了の日または取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。
  • 床面積が50平米以上であること。

尚、住宅ローン控除の適用が受けられるのは、「自宅部分のみ」である点がポイントです。

4.店舗兼住宅の経費

店舗兼住宅では、店舗部分で生じる水道光熱費等を事業所得(個人事業で得られる所得のこと)の経費にすることが可能です。
固定資産税等も全体の額を店舗部分の面積で案分することで経費にすることができます。

また、住宅ローンに関しては元本返済部分を経費にすることはできませんが、利息部分なら経費にすることが可能です。
利息も面積案分することになります。

5.店舗兼住宅を賃貸した場合の消費税

店舗兼住宅を賃貸した場合、家賃に関しては、住宅部分は消費税が非課税で、店舗部分は消費税の課税対象です。

家賃は基本的に消費税の課税対象ですが、「住宅の家賃」に関しては政策的な配慮から例外的に消費税が非課税となっています。

尚、住宅ローンを借りて店舗兼住宅を建てている場合、「店舗部分が自己の使用であること」という要件が付されているケースでは、住宅ローン返済期間中店舗部分を他人に貸せないことになります。

住宅ローンで建てた物件を他人に貸す場合には、原則として住宅ローンが完済していることが必要です。

まとめ

以上、店舗兼住宅について解説してきました。
店舗兼住宅では、自宅部分を2分の1以上とすると一般の住宅と同じ固定資産税の軽減や、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

また、店舗部分で生じる水道光熱費や固定資産税等は事業所得の経費にすることが可能です。
店舗兼住宅の概要がわかったら、事業計画をしっかりと立ててプランを検討してみましょう。

(記事は2021年12月1日時点の情報に基づいています。)