サブリースの問題点

サブリースは、なぜ安全ではないのでしょうか?
投資は表裏一体で、メリットもあればデメリットもあります。

サブリースが成立するためには、不動産投資として成立するのが大前提です。長期的な視点で、継続的に利益を得られなければ、投資できるはずはないのです。

ですから、投資開始時だけでなく、定期的に明確な根拠の下で、収入から必要経費を差し引いた収支を予測し、目標としている利益を確保できているかどうかをチェックしていくことが大切です。

収入面から見ると

サブリースを活用した時、家賃収入はサブリース業者から得ることになります。サブリース業者が支払う家賃の原資は、入居者から得られる家賃収入と、それ以外にサブリース会社が得ている収入から充てられます。

この時に気を付けるポイントは、以下のような点が挙げられます。

・メインである家賃収入が賃貸相場から大きくかけ離れていないか?
・空室率などを適正に加味しているか?
・長い目で見て、保証されている家賃収入が適正かどうか?

これらの点を慎重に判断する必要があります。

通常、サブリース業者から保証される家賃は、相場の5~20%程度低い設定です。この差額が、サブリース業者の収益です。家主側から見れば、この差額が安定収入を確保するための保険料的な意味合いを持ちます。

「実現可能性が高いか?低いか?」という基準で判断し、不安であれば、家賃収入以外にサブリース会社が得ている収入についても確認すべきです。

5~20%程度の手数料は、安いにこしたことはありません。通常、豊富なノウハウを持ち財務能力も高く、信用力も大きい業者だと破綻リスクも低くなります。その分、安心感というも高まるので、必然的に費用は高くなります。

逆に安い場合は、理由があります。例えば、業務のIT化などを進めてコストダウンを図っているかもしれません。確認しておきましょう。

支出面から見てみると

賃貸管理業務をサブリース業者に任せるといっても、通常、物件の保守費用などは所有者である家主が負担します。仮に、毎月、一定期間で負担することで継続的な保守をしてもらえる契約になっていても、その内容を確認しましょう。

逆にサブリース業者側から考えると、どのようなケースで家主に費用負担を請求できるのかもチェックが必要です。

賃貸物件の場合、木造住宅の法的耐用年数(減価償却期間) が22年ですから、20年前後の投資期間を設定し、投資計画を立てるケースが多いと思います。ですから、最低限の保守はしても建物や設備が古くなったら「壊して建て替える」という選択を第一に考えるケースが多かったはずです。

サブリース業者にとっても、繰り返し新築住宅を建築してもらえれば、その分の利益も上げられるので好都合です。家主にとっても、その時代のニーズを取り込み、事業リスクを軽減できるので、右肩上がりの時代には悪い手段ではなかったと思います。

ただ、時代は変わりました。国内では、確実に人口減少&高齢化が進み、従来の賃貸経営を行うことは、徐々に難しくなっています。

サブリースの節税メリット

サブリースには、節税対策のメリットを考えられなくもありません。不動産投資をしている方の中には、現金収入よりも節税に視点を向けている方が多いのも事実です。なぜなら、サブリースには、次のような4点の相続税対策が期待できるからです。

① 貸家建付地としての評価額

賃貸アパートの建っている土地は、相続税の計算上「貸家建付地 」とされて、土地の評価額が減額され、節税対策につながります。また、家賃収入を原資に、相続税の納税資金を準備することができるので、納税資金対策としても使えます。

具体的には、借地権割合が70%の土地で満室の賃貸アパートを所有している場合、自宅(自用地)として利用している土地よりも約20%評価が下がります。計算式は、以下の通りです。

100%【自用地】-(70%【借地権割合】×30%【借家権割合】×100%【賃貸割合】)=79%【貸家建付地】

② 債務控除が引ける

通常、賃貸アパートを建てる際には、借金を伴います。この借り入れが、相続税の計算上、債務控除として差し引かれ、相続税額の引き下げに役立ちます。

③ 借家権としての評価額

賃貸アパートとしての建物は、相続税の計算上、通常30%程度差し引かれることになり、相続税額の引き下げに役立ちます。

④ 貸付事業用宅地等としての評価額

土地を評価する際、貸付事業用宅地等に該当する場合、小規模宅地等の特例 が利用できるので、200㎡まで50%評価になり、節税に結びつきます。ただ、近年、要件が厳格化されているので注意が必要です。

不動産投資は税制改正に注意を

ただ、不動産投資は何十年という長期投資を前提としているので、目標にしている投資期間の中で税制が改正される可能性はあります。特に裏ワザ的に情報提供され、相対的に有利な税制ほど改正される可能性が高いでしょう。

実務に精通している専門家であれば理解していますから、積極的に勧めることはまずありません。ただ、改正が噂され始めるとそのような制度を利用した手法を高額のセミナーやネットブックなどで情報提供する方がいるのも事実です。

税制は「変わるかもしれない」という不確定要素を意識しましょう。そもそも、節税を意識している家主さんの投資目的は「資産の保全」であるケースが多いので、広い視野で対応することをお勧めします。

サブリースを利用して不動産投資を検討するには、目標を明確にして、考えることが重要です。そうすれば、サブリース業者との付き合い方がわかります。

そもそも、大きな利益を得たいのであれば、手間ひまがかかります。自分自身で賃貸経営する知識やノウハウを得て、経営者として自ら行動することを選べば、費用を低く抑えられ、利益を得られるはずです。つまり、サブリースはしないという結論になるでしょう。

スタンスの違いで判断基準も変化

私は、長い間、ファイナンシャルプランナーとして働いています。恐らく数千人の大家さんとお話していると思います。とかく、サブリースの話になると良し悪しの意見は真っ二つに割れることがあります。その一つの理由は、不動産投資に対するスタンスの違いが挙げられます。

前述の通り、株主と経営者のどちらに軸足を置いて考えるかで視点は変わります。つまり、株主的な対応をする投資家にとっては、「任せて安心」は代えがたいものです。

一方で、経営者的に考える投資家にとっては、家賃の5~20%の費用分が利益から減ってしまうのでデメリットになるでしょう。考え方一つで、良し悪しの判断基準も変わってきます。

まず、自分自身がどのようなスタンスで不動産投資をするのか、という問いに立ち返って考えてみましょう。

(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)